株式会社ダイモール 代表取締役CEO 大杉謙太
1979年生まれ。
神奈川大学を卒業後、地元の地銀から内定をもらったが、
入社前の12月に就職先の銀行が破綻。
横浜のシステム開発会社に就職、
13年間システムエンジニアを勤め、
2015年、地元・石川県で、家業の金型製造業に転職した。
竹内:銀行が入社前に破綻するって災難でしたね。
大杉:そうですねね。まさにあれですね。家で朝のニュースを見てたんですね。そしたら、地銀が破綻したって言ってて、銀行名をみたら私の就職先だった。「これ俺の就職先じゃん!」みたいな話。
竹内:ニュースで知ったんですね。
大杉:そうそう、そんなことあるのかと思いました。
竹内:連絡が先にあるわけではなく、ニュースで。
大杉:そうそう。ニュースの方が早いんですね。
竹内:そうなんですね。じゃあ、そこは諦めざるを得ず、一気に路線変更ですよね。システム開発会社に就職されたんですね。
大杉:そうですね、元々、コンピューターとかプログラムの方には興味があって就職活動もしてたんですけど、大学の専攻自体が経済とか文系だったんで、なかなか内定をもらえなくて、銀行員はもういいかなみたいなというところだったんで、元のシステム開発会社の方に。あと、就職課に相談に行ったんですね。そしたら「そんなことがあったんだ」と。大学に入ってるシステム開発会社さんを紹介してあげるから、いま社長に連絡してあげるから行ってきなよって言われて。
竹内:大学がサポートしてくれたんですね。
大杉:そうですね。
竹内:2015年には、家業を継ぐということになったんですけど、元々家業の金型製造業は継ごうと考えてらっしゃったんですか?
大杉:迷ってましたね。長男だから継がないといけない。でもどうしようか。ITの方が好きだしみたいな、あと田舎よりも都会の方が好きだしみたいな。色々迷ってました。
竹内:お仕事の金型製造業っていうのはどういうことをされているのか教えていただいてもいいですか。
大杉:一番分かりやすいのは、鯛焼きの型。
竹内:他にはどういうものを作ってらっしゃるんですか?
大杉:鯛焼きの型、たこ焼きの型とかベビーカステラとか人形焼きとか、そんなもやるんですけども、会社全体でいうと100くらいやっているうちの大体1くらいなんですよね。でも一般の方にはイメージしていただきやすいので説明する時には大体この話をさせていただいてるっていうそんな感じですね。
竹内:一番の収入源ていうんですかね、メインのものって何になるんですか?大杉:メインのものは、火力発電所向けのタービンのブレードっていうものを作ってますね。正式名称で言ってみたんですけど、火力発電所のタービン。発電所のタービンって言ったら発電機のことですね。
竹内:それを作っていらっしゃる。全国の発電所ってことですか?
大杉:全国のというか世界のですね。
竹内:へぇ、それを石川県の会社で作っていらっしゃる。「下町ロケット」といいますけど、日本の技術が世界に行ってるんですね。
大杉:そうですね。
竹内:最後にこれからの夢、目標を教えてください。
大杉:日本の製造業をもっと面白く、楽しくですね。強くしていきたいっていう風に思っています。
竹内:強く、世界にも負けないようにってことですか?
大杉:そうですね。私は世界に負けないような製造業にって。既に負けてないとは思うんですけどもね。例えば、自動車だったら世界一のメーカーがいたりとかね。
竹内:はい。
大杉:だと思うんですけども、例えば、デザインとかオシャレさとか、そういう部分で日本人ちょっと真面目なので、あまり得意じゃないのかなと。
竹内:あ~、確かに。そういう面で力を入れていきたいんですね。
大杉:そうですね。例えば、3Dプリンターのこういう技術を開発しました。それを隠すんじゃなくて、みんなにより知ってもらって、みんなで協力して業界全体を盛り上げていくんだっていう。海外とかってわりとそういう情報共有するサイトとかがあったりするんですよね。日本って実は全くないんですよ。
竹内:そういうコミュニティーが無いんですね。
大杉:無いんですね。なので自分の考え出した技術っていうのを、簡単にインターネット上で公開できてで、それに対して日本中の製造業がそれを見て、石川県の小さい会社、なんだかよく分からないけど凄いことやってるなと。
竹内:はい。
大杉:じゃあそれをみようと、凄くいい結果が出たと。「いいね」を付けてあげるみたいな。ちゃんとうちもフィードバックがあるわけですね。日本全国から「いいね」がついて、実はもの凄く有名になっていると。
竹内:なるほど。
大杉:あとは、独自の商品開発をしたい。これまでのタービンブレードの技術とか3Dプリンターの技術とかを使って、独自の商品を作りたいよと。なんだけど、我々そういう意味でいうと最終製品を作るこのアイデアもなければ、デザインのノウハウも全然ないわけですよ。それを助けてくれる人、一緒にやってくれる人いませんかってことを簡単に気軽に発信して、そしたらデザイナーさんとかが気楽に一緒にやれる、そういうプラットフォーム、そういう世界を作っていきたいなと。
竹内:もっと開かれた、そして、みんなで高めあっていけるようなコミュニティーを作って行きたい。
大杉:そうです。
竹内:確かにそうですね、伝統的な分野ってそういうのが進みにくそうではありますよね。
大杉:はい。
竹内:これからの金型製造業の発展、期待しています。
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