竹内由恵のT-Times

2022.05.19

5月12日(木)放送 NPO法人JCPFP代表 井上 昇

NPO法人JCPFP代表 井上 昇

 

1952年、北海道小樽市生まれ。
1976年、横浜国立大学経済学部卒業。
国内大手銀行を早期退職後、
ファイナンシャルプランナー として独立。


竹内:ファイナンシャルプランナーは、どんなお仕事なんでしょうか?

井上:1980年代にアメリカから日本に入ってきた職業です。人によって色々なとらえ方があるんでしょうけど、平たく言えば生活、特に現在から老後まで長期間にわたって豊かに生活していくためにはどのようにしたらいいだろうという提案をするのが仕事です。

竹内:なるほど。

井上:たとえば、相続が発生すれば、「節税」と言っていますが、法律の範囲内でなるべく税金を減らしてより多くの資産を次の世代、お子様に渡していくにはどうしたらいいんだろうかと、世代をまたいでトータル的に提案をさせていただきます。提案するだけでなく、ご一緒に解決してそれを実践していくというスタンスです。もちろん面談をして「こうしたほうがいいです」とご指導することもありますが、ファイナンシャルプランナーの根本は、お客さまのそばについて一生伴走していくという仕事ですね。

竹内:じゃあ、本当に長い付き合いになる方が多いですね?

井上:失敗して嫌われなければそうです。長いお付き合いをする覚悟で相談をお受けしています。

竹内:ファイナンシャルプランナーとしては、どのくらいのキャリアになるんですか?

井上:49歳の時に銀行を早期退職してファイナンシャルプランナーの仕事を始めました。いま69歳ですから、20年になります。

竹内:49歳で早期退職というのは早いですね。どういう経緯があったんですか?

井上:当時、金融機関が厳しい状況あって、国が公的な資金を入れて、金融機関の立て直しをすることになりました。何をするかと言うと、一番お金のかかるところ、人件費とシステム開発にメスを入れた。人件費を削る意味で、退職金を多めに出すから早期退職しなさいと。20年くらい前、そういう流れでした。

竹内:その後、ファイナンシャルプランナーに?

井上:はい、あるFP会社の「FP独立プログラム」という講座を受けました。こうやって独立して稼ぎましょうというもの。数十万円の受講料でしたが、退職金も出たので、ちょっと奮発して受けてみようかなと思ったんです

竹内:それをきっかけにご自身で独立しようと。

井上:独立するためのプログラムでしたから、講座を受けた時点で当然のこととして独立を目指しました。ファイナンシャルプランナーの資格は人気がありますが、実は、独立をしてちゃんとファイナンシャルプランナーとして事務所を構え、ファイナンシャルプランニングの相談が出来る人がほとんどいないんです。

竹内:あ~、そうなんですね。

井上:資格を認定している団体の一つ、NPO法人日本FP協会には、いまや20万人近い資格認定会員がいます。なのに、いつまでたってもFP事務所は増えません。私が受講した独立プログラムは、アメリカからファイナンシャルプランナー資格を持ち込んで資格制度を整えた方が、実務ができるファイナンシャルプランナーを養成するために始めたものでした。なんとかして日本にも自分の資産の状況やライフプランについて相談できる場所を作り上げていかないといけないということで。日本には、資格を持ってる方は何十万人もいますけど、業界がないんですよね。

竹内:そうなんですね。

井上:保険営業の仕事でFP資格を持っている、銀行の窓口で資格を持っている、不動産会社に勤めていて資格を持っているといった人はたくさんいます。でも、ファイナンシャルプランニングをメインの業務として生業を立てている方がほとんどいないので。どこに行けばファイナンシャルプランニングの相談ができるか分からないという状態です。

竹内:そんなに少ないんですか?

井上:最初に私がお話ししたような意味合いの独立ファイナンシャルプランナー、各県一人か二人いるのかな、全国で50から100人くらいかなと思います。ファイナンシャルプランナーのとらえ方は人それぞれなので、これは私が言っているだけですけど。

竹内:井上さんはスゴいところに目をつけられたんじゃないかなって。

井上:そういう意味では需要はありますね。でも我々を守ってくれる保険も業界もないんです。金融機関だったら金融庁のような業務を所管する省庁も法律もない状態で。あるのは日本FP協会の倫理規定だけ。それに則ってるだけなので。逆に言えば、お金を稼ごうと思うと意外と自由にできる状態。これからファイナンシャルプランナーを取り締まる法律ができたりすれば、だんだん締め付けが厳しくなってくるでしょうけど。

竹内:なるほど。井上さんが代表を務めておられるNPO法人JCPFPは何を目指しておられますか。

井上:独立してちゃんと相談に乗れるファイナンシャルプランナーを作っていくことです。このNPOは、先ほどお話しした日本にFPを持ち込んだ方が、独立プログラムを受講して独立したFPのために作ったものです。私が引き継いだからには、この手で日本に独立FPの業界を創りたいと考えています。

竹内:井上さんはがお仕事をする上でのどんな信念をお持ちですか?

井上:これは銀行で培われたものですけど、昔の銀行員ですので、顧客に何かあった時に、自分たちは「準公務員」の意識で徹底的にサポートしますよというのがモットーでした。当時は、今のようにコンプライアンスという概念は厳しくありませんでしたから、銀行としても預金や融資のことだけでなく何でもサポートしてあげなさいと。

竹内:そうなんですね。

井上:問題が解決するまで伴走していきましょうと。そういう時代の銀行にいましたし、今もそんな感じですね。何か問題があって悩んでいらっしゃる方が相談に来られるので、それを一緒に解決することが非常に楽しいですね。ファイナンシャルプランナーの醍醐味です。

竹内:今後の井上さんの目標は?

井上:まあ極論を言ってしまえば、「お金のお医者さん」になることです。お医者さんが定期的に健康診断をするように、年齢に合わせて、例えば二十歳になったらみんなライフプランを作るとか、そんな流れが出てくれば、面白い気がしますね。

竹内:ホントそうですね。そんなふうになったら役に立つなって思いますね。是非実現してほしいと思います。

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