株式会社エクセレントケアサポート 代表・大川寛正
金沢大学大学院を修了後、
2008年、医療機器メーカーに研究職として入社。
2020年に退社後、株式会社エクセレントケアシステムに入社。
2020年 8月、株式会社エクセレントケアサポートを設立、
現在は、代表を務めている。
竹内:本社が京都にあるんですね。
大川:そうですね。元々は徳島で設立しまして、今は、全国で50施設80事業所ほど展開させて頂いてもらっています。
竹内: 元々は徳島で設立なさったんですね。
大川:はい。
竹内:お父様が、エクセレントケアシステムの代表でいらっしゃって、2020年8月にエクセレントケアサポートを設立されたのが、大川寛正さんということですね。エクセレントケアサポートというのはどういうことをされている会社なんですか?
大川:エクセレントケアシステムで介護システムを運営してますので、そこで培った運営実績を元に、介護現場での課題を抽出して、その課題を解決するための商品、こちらを企画開発する会社になります。
竹内:例えば、介護ロボットとか、そういうものを開発されているということでしょうか?
大川:その通りですね。
竹内: 完全に理系ですね。
大川:そうですね。元々理系出身だったので、商品の企画開発に興味はありました。商品に目を向けたサービス展開をさせて頂いております。
竹内:エクセレントケアシステムの介護施設には、そちらで開発されたロボットを使ってらっしゃると思うのですが、どの介護施設にもあるものなんですか?
大川:全ての介護施設というわけではないんですけど、モデル的に導入をしたりはしてますね。あと介護ロボットといっても特に見守りセンサー。こちらは高齢者の健康の変化であったり、室内で事故とかをすぐに検知する事ができるシステムなんですけど、こういったシステムが我々の施設にも入っていて、これを介護業界全般に展開しているような動きをさしてもらってますね。
竹内:この見守りセンサーって、私も息子がまだ0歳で付けているんですけど、何か起きたり動いたりしたら、ピピピと知らせてくれます。いろんな種類のセンサーがあると思うのですが、エクセレントケアサポートで開発されてるのは、また独自の工夫をされているセンサーなんでしょうか?
大川:そうですね。寝ているだけでその利用者さんの心拍や呼吸数などのバイタルデータを測定できたり、転倒を検知するようなシステムにはなっていますね。
竹内:では介護施設で、こういうのがあったらいいなという需要から、生まれていくんですね?
大川:そうですね。我々施設を持っていますので、そこで生まれた課題を抽出して、それを解決できるような商品を具現化するような働きをしています。
竹内:2年目ということですが、いかがですか?
大川:1年目は、本当に突っ走ってきた印象なんですが、2年目は、ようやく戦略的に動こうかなというのは思ってますので、毎日が楽しいですね。
竹内:どうして、設立されようと思ったんですか?
大川:やはり、元々幼少期から人の役に立ちたいという想いがあったのですが、私は鍵っ子だったので小学校が終わってから祖父母の家へ行ってそこで育てられたというのもああります。祖父母達に恩返しがしたいというのが、大きいですね。
竹内:身近にご高齢の方がいたという事で感じることってありましたか?
大川:そうですね。年々、祖父母のできる事が変わってきていると肌で感じて実感していましたので、何かサポートしてあげたいという想いは強かったですね。
竹内:そういう想いがあって、その道に進もうと思ったきっかけはなんですか?元々は研究職で、すぐ今の仕事に携わっていたわけではないですもんね?
大川:そうですね。元々は研究職で別の会社にいたのですが、両親が運営している介護施設を運営する機会があって、そこで緊急搬送の現場だとか、終末期の看取りという現場を目の当たりにした時に、私は声が出ない程驚きました。職員の方がテキパキと正確に指示や活動されてるのを見て、感銘を受けたというのがありますね。
竹内:介護施設だと、色んな方の人生の最期を目の当たりにしますものね。私には想像できませんが…。
大川:本当にショックを受けたというか、同時に感激したというのもあったのですが。ただ、その職員の方々に目を向けてみると、高齢化が進んでいるという現状が見えてきて、調べてみると介護業界全体で、2025年には、約35万人ほどが介護職員不足になる社会課題が見つかったんです。なのでその社会課題に挑戦したいと思いました。私は商品開発の仕事をずっとしてきたので、新しい商品をもって、その社会課題を解決したいという想いから、こういう事業をさせて頂いております。
竹内:それが、介護ロボットということですね。
大川:そうです。介護職の方の業務負担軽減もそうですし、利用者様のQOL (クオリティ オブ ライフ)向上を目指して、それに貢献できるような商品作りをしたいなと思っていました。
竹内:そこから未来が変わってくるんだろうなというようには感じていますけれども、これから先、介護ロボットだけでできるような時代って来るんですか?
大川:20年30年後はそういう未来も想像できますが、近々の未来ではロボットと人間の共存。人間にできないことをロボットにしてもらおうと、そういうすみ分けが重要になってくるのではないかなと思いますね。
竹内:ロボットだけではできない部分があったりするんですか?
大川:どうしても人間は考えて行動する生き物なので、その人に合った適切なケアをといったときに、ロボットはなかなか学習でききれていないというのがありますし、きめ細かい部分は人間がしないといけないかなというのはありますね。
竹内:共存してやっていくのが近々の未来ということですね。介護業界においてロボットってどんどん増えてるんですか?
大川:ここ数年増えてきていますね。国も補助金や助成金で介護施設にどんどん導入していってくださいというスタンスをとってきています。
竹内:お父様は、それまでエクセレントケアシステムの中で、ロボットを開発する会社はなかったと思いますが、そのような寛正さんの決断になんとおっしゃっていたんですか?グループにとってはすごく大きな力になりそうですよね。
大川:知人から、エクセレントケアサポートは大きな会社になるよと父が言っていたというのはよく聞くのですが、直接言われたことはないですね。
竹内:でも、そういう意味では、寛正さんは、お父様とは別の角度から介護に向き合おうと思われたんですよね。それはどうしてですか?
大川:私は医療業界で十何年働いてきたというのはあるのですが、ちょうど昨年会社を離れて、エクセレントケアシステムに入社した時に、介護として私が力を発揮できることは少ないと感じました。やはり何十年働いてくださる方々がいる中で、私ができることは何か課題を解決できるような商品を提案、開発・企画するのが私の使命かなと思いまして、別の角度からというかたちにはなりましたね。
竹内:それまでは、医療機器メーカーで働いていらして、何がきっかけで退社して違う道へ進もうと思われたんですか?
大川:両親が運営している介護施設に見学に行ったというのが一番大きいですね。
竹内:たまたま見学に行かれたんですか?
大川:医療業界で注射器の研究をしていて、どういった使い方をするのか勉強で行ったのですが、何回か別の理由で見学した時に色んな現場を見て驚いたのがきっかけですね。
竹内:思い切った決断ですよね。いずれはと思っていたんでしょうか?
大川:心の中では、自分が起業して何かを成し遂げたいというのはあったので、それが少しずつ具現化できているかなというような気がしますね。
竹内:それで今は、ご自身がこれまでやってきた事を活かせるようなことをされているんですね。ちなみに次に開発してみたい物って何かあったりしますか?
大川:今は、商品として社会的課題を解決するために動いているのですが、地域包括システムのようなトータルで挑戦できるようなシステム作りをやりたいなと思っています。商品の一部だけでなく、いろいろなサービスを付随させたりだとか、そういった事をやりながら挑戦できるようなシステムを作りたいと思っています。
竹内:地域を巻き込みながらということですか?
大川:そうですね。今一つのプロジェクトでも、ある特定の都市ですね、スマートシティだとか、そういう形で進めている物もあります。
竹内:スマートシティってなんですか?
大川:ICT(情報通信技術)とか最先端の製品を取り扱いながら地域の人が暮らしやすい社会を目指して、作り上げていくことですかね。
竹内:会社で開発した商品を地域の方が使えるようにしていくってことを、次に取り組んでいるということですか?
大川:商品だけではなく、システム全体としてパッケージで考えて、その中の一部で商品があるという位置付けにしたいと思っています。
竹内:介護施設に限らずということですか?
大川:そうですね。医療系であったり、極端な話、宅配サービスを一つのシステムで管理できるだとか、一人で住まわれている高齢者の方がなかなかそういうのができないけど、遠隔で対応できるとか。
竹内:医療介護ネットワークみたいなものを作り上げていくというのが今の目標なんですね?
大川:そうですね。私の夢の一つです。
竹内:それは、介護スタッフのためにもなりますよね。
大川:そうですね。あと地域格差というのが非常にあると思います。地方に行けば行くほど高齢化率というのは高くなっていきますので、独居の利用者さんが多いので、その人達をどうにか助けたいという想いがありますね。
竹内: 今日本の介護で、一番の大きな問題点はなんですか?
大川:介護職員の不足ですね。私の個人的な夢でもありますが、介護業界や介護の職業に憧れてもらえるような業界にしたいというのがあって。介護の業界で働いていると、「すごいね」の後に「大変だね、がんばってね」という言葉が続くんですよね。そこを「羨ましい」と言われるような職業にしたいと思います。
竹内:そのためにはなにが必要とお考えですか?
大川:介護業界でも、ICT技術を用いた最先端の取り組みをしているということをもっと業界内外へ発信することで、色んな方に興味を持って頂けるかなと思っています。
竹内:これから介護施設がどうなっていくのか、私も楽しみだなと思います。私も最近、祖母が介護施設へ入ったばかりなので、そこで幸せな毎日を送ってほしいなと心から思うので、そこが充実してくれたら嬉しいなと思っています。なのでよろしくお願いします
大川:こちらこそ、よろしくお願いいたします。
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