スポーツ伝説

2023.03.17

2023年3月13日~17日の放送内容

【スキージャンプ 伊藤有希選手】
 今年2月5日、ドイツで開催されたノルディックスキー・ワールドカップ ジャンプ女子個人で、日本が誇る3人のジャンパーが快挙を演じました。その中心にいたのは、28歳の伊藤選手です。伊藤選手は14歳だった2009年から、世界の舞台で戦う日本女子ジャンプ陣の第一人者。17年にはワールドカップで初優勝を含む5勝を挙げました。その後は表彰台には登れても、優勝からは長く遠ざかっていましたが、この日は1本目からタイミングよく踏み切り、安定した空中姿勢でK点の130mを7mも超え、着地も決めてトップに立ちます。そして2本目、最後のジャンパーとして登場した伊藤選手は、しっかりと134.5mを飛び、着地にも成功。みごと6年ぶりの優勝を果たしました。
 この伊藤選手の喜びを、間近で共有した2人の日本人選手がいます。1人は、伊藤選手とともに女子ジャンプ陣を長年支えてきた高梨沙羅選手。前日の大会で3位だった高梨選手は、この日も安定のジャンプでまたも3位。2日連続で表彰台にのぼりました。もう1人は、2年前に左膝前十字靱帯断裂などの大ケガを負い、復活を目指していた丸山希選手です。この日はK点超えを2本揃え、初めての表彰台となる2位に入り、日本女子では史上初のワールドカップ表彰台独占。日本のメディアは、1972年の札幌オリンピックで表彰台を独占した日の丸飛行隊にちなみ、彼女たちを“なでしこ飛行隊”と命名しました。

   
【卓球 早田ひな選手】
 長い手足を生かした、男子顔負けの力強いショットを武器に活躍する、女子卓球の早田選手。黄金世代と呼ばれる2000年生まれの22歳です。しかし目標にしてきた東京オリンピックはリザーブでの選出にとどまり、大舞台に立つことはできませんでした。この悔しさをバネに、早田選手はいち早く次のパリ・オリンピックに照準を合わせて努力を重ね、力をつけていきます。昨年7月の国際試合では、東京オリンピックの女子シングルス金メダリスト中国の陳夢選手と対戦。惜しくも敗れた際に、相手が何を感じ、何を嫌がっているかをより意識しないと勝てないと実感。練習の段階からワンプレーごとにそのことを意識するようになり、試合中も客観的な視点でゲームを見る冷静さを養っていきました。
 今年1月に開催された全日本選手権では、張本智和選手との混合ダブルス、伊藤美誠選手との女子ダブルスを制し、三冠をかけて女子シングルスに臨みます。トーナメントの組み合わせで、強敵が揃う厳しいブロックに入った早田選手ですが、6回戦で成長著しい張本美和選手、準々決勝で平野美宇選手、準決勝で石川佳純選手を撃破。決勝では、18歳の成長株・木原美悠選手に逆転で勝利し、3年ぶりのシングルス制覇と、女子では史上4人目となる全日本選手権三冠を達成しました。

  
       
【カーリング ロコ・ソラーレ】
 世界ランク上位チームだけが出場できる、カーリングの最高峰シリーズ・グランドスラム。オリンピックでは平昌・北京と、2大会連続メダルのロコ・ソラーレのグランドスラム最高成績はベスト4止まりで、優勝はまさに悲願でした。ところが今年1月、第4戦のカナディアン・オープンで、ロコ・ソラーレはこれまでにない快進撃を見せます。どの試合も接戦を制してベスト4に勝ち上がると、鬼門の準決勝でも韓国チームに1点差で勝利し、初の決勝進出を果たしたのです。迎えた決勝は、世界1位の地元カナダチーム。格上が相手でも序盤から優位に進め、5対3で勝利。日本勢初どころか、アジア勢初となるグランドスラム制覇を成し遂げました。
 グランドスラム制覇の喜びも束の間、ロコ・ソラーレは連覇を懸けて日本選手権に挑みます。調整不足からか、スキップの藤沢五月選手と、セカンドの鈴木夕湖選手が試合中に転倒するハプニングもありましたが、それでも1次リーグを6勝2敗で1位通過。連覇をかけて臨んだ決勝のSC軽井沢戦では、国内のアイスにも馴染んできたのか序盤から優位に進め、7対5で優勝。チーム初の大会連覇を果たし、世界選手権の切符を手にしました。「目標は勝つことではなく、成長すること」と語る彼女たちが、世界選手権でどんな成長を見せてくれるのか楽しみです。

 

【高校野球 2013センバツ決勝】
 春の風物詩、センバツ高校野球。2013年の決勝戦は、埼玉の浦和学院高校対愛媛の済美高校というカードになり、2年生エースの対決となりました。浦和学院のエースは、現在千葉ロッテマリーンズで活躍するサウスポー・小島和哉投手。初戦でいきなり完封勝利を収めた小島投手は、準決勝も5安打1失点の完投勝利を挙げて決勝に進出。ストレートの球速は130キロ中盤ながら、球の出どころが見えにくいフォームでバッターのインコースを突き、変化球も多彩。緩急で相手打線を翻弄するタイプのピッチャーです。一方の済美のエースは、現在東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍する安樂智大投手。初戦で2年生として甲子園過去最速の152キロをマークして注目を浴び、13個の三振を奪って新怪物誕生と騒がれました。しかも延長13回を一人で投げ抜き、232球の完投勝利。その後も全試合で完投したにもかかわらず、準決勝では9回に151キロを投げ、驚異的なスタミナでも話題になりました。
 注目の決勝戦を前に、日程面で両投手に明暗が分かれます。浦和学院は、準々決勝と準決勝の間に休養日が1日あった一方、済美は準々決勝から決勝まで3日連続の試合。3連投で決勝のマウンドに上がった安樂投手のストレートは、140キロ超えがわずか1球のみ。5回には打球処理で体勢を崩すなど、明らかな疲労が見え始めます。結果、この回に集中打を浴びて7失点。続く6回にも2点を失い、交代となったのです。対する浦和学院の小島投手は、8安打を許しながらも我慢のピッチングで済美打線を1点に抑え、みごと完投勝利。42イニングを投げて失点はわずか3と抜群の安定感を見せ、浦和学院初の全国制覇に貢献したのです。

   
【高校野球 2022年センバツ大阪桐蔭高校】
 2022年、春のセンバツ高校野球の大阪桐蔭高校といえば、圧倒的な攻撃力を抜きには語れません。中でも準々決勝から決勝戦にかけての3試合は圧巻でした。準々決勝では、6回に伊藤櫂人選手が1イニングで2本のアーチを放つなど、大会最多タイとなる1イニング3本のホームランを記録し、この試合だけで合計6本のホームランを浴びせ17対0と圧勝します。準決勝では、超高校生キャッチャー・松尾汐恩選手がホームランを含む4安打と大当たりで、13対4と勝利を収めます。迎えた決勝戦は、大会屈指の好投手・山田陽翔投手を擁する近江高校でしたが、松尾選手が2試合連続のホームランを放ち、山田投手をノックアウト。後続のピッチャーからも3本のホームランを重ね、終わってみれば18対1と圧勝。大会を通じて、チーム11本塁打というセンバツ新記録を樹立し、優勝を果たしました。
 優勝に貢献したのは打者だけではありません。このとき2年生ながら準々決勝、決勝の2試合で先発を務めたのは、サウスポーの前田悠伍投手です。140キロ台のストレートと100キロ台のカーブに鋭く曲がるスライダー・チェンジアップなどを織り交ぜて緩急自在。松尾選手との超高校級バッテリーは、大会前から注目を浴びていました。この年、前田投手はセンバツ準々決勝で6回を1安打、12奪三振。決勝戦でも7回を投げて2安打11奪三振と、2年生とは思えない華麗なピッチングでチームを優勝に導いたのです。
  

来週のスポーツ伝説は……
3/20(月) プロ野球 平田良介選手
3/21(火) プロ野球 金子千尋投手
3/22(水) プロ野球 増井浩俊投手
3/23(木) プロ野球 門田博光選手
3/24(金) サッカー ペレ選手
           お楽しみに!!

    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

    • 過去の番組ホームページはこちら