ニッポンチャレンジドアスリート

2025.06.09

川口功人(デフ卓球)

1999年生まれ、横浜市出身の25歳。トヨタ自動車所属。幼い頃から聴力に障がいがあり、中学から横浜市立ろう特別支援学校に入学したことをきっかけに、卓球を始めました。2022年、ブラジルのカシアス・ド・スルで行われたデフスポーツの世界最高の大会、デフリンピックに初出場。男子団体で銅メダルを獲得しました。今年の11月に開催される東京デフリンピックでは、金メダルを目指します。

◾️中学からは一般の中学校ではなく、横浜市立ろう特別支援学校に進学した川口選手。ここで卓球と出会う。

「やっぱり聴覚にちょっと不安がありまして。しっかりと勉強したい、という思いがあって、しっかり授業に出れる学校に行きたいと思い、ろう学校の方に通いました。そこで卓球を始めました」

◾️それまで卓球は未経験だった川口選手。本格的に取り組もうと思った理由は? 

「まず、入学した学校が全国卓球大会で上位に入っていた学校ということもあり、すごくかっこいいな、という思いと、あとは部活体験で卓球をやるきっかけがあったんですけど、ラリーが続くのが楽しくて卓球を始めました」

◾️卓球部の顧問は、望月翔太先生。望月先生は、耳が聞こえない、聞こえにくい「デフ」の選手による世界最高のスポーツの祭典・デフリンピックの元・卓球日本代表だった。

「そのときは僕、全くわからなくて。入った後に、その先生がいる、というの知りました」

「卓球だけじゃなく、マナーとか礼儀にすごく厳しかったので、卓球よりもそちらの方をすごく色々と教えてもらました」

◾️望月先生と出会ったことで、川口選手の「デフリンピックに出たい」という思いが強くなった。

「小学校のときにバスケでデフリンピックに行きたい、という思いがありました」

「卓球は体力作りという目的で。卓球をやっていく中で、卓球の醍醐味というか卓球の楽しさを知って、卓球の方で頑張ろうと決めました」

◾️川口選手は高校卒業後、現在所属するトヨタ自動車に入社。地元の横浜を離れて、愛知県豊田市に移った。

「高校に進むときも同じだったんですけど、最終的にやっぱり強い卓球部に入りたい。ただ、仕事も両立で頑張りたいっていうところで。縁があって、トヨタ自動車も卓球部がありますので、卓球部に入部し仕事もやれる、というので、トヨタに入社することに決めました」

◾️2022年、ブラジルのカシアス・ド・スルで開催された前回のデフリンピック。川口選手は2021年5月、その国内1次選考会で優勝。ブラジル行きの切符を手にした。

「元々デフリンピックの選考会の前に、アジア大会の選考会もあったんですけど、そこに僕は勝てずに。そこで改めて僕はもっと練習しないといけない、というのがあって、普段の練習が終わってからもトヨタのチームメイトにお願いして居残り練習したりとか。トレーニングをもっと増やしたりとか。そういった普段の練習以外の取り組みていうところで、初めてのデフリンピックの選考会に優勝することができたと思っています」

「トヨタ自動車卓球部はすごく環境も良くて、チームメイトもみんな強くて。その中でなかなか勝てなかったので、努力が報われたというか。今まですごく苦しかったんですけど、そこに勝って、すごく泣きました」

◾️個人戦は残念ながら予選敗退でしたが、男子団体戦では銅メダルを獲得。卓球男子では、実に21年ぶりのメダル獲得だった。

「僕らの中で韓国戦が一番勝負どころで、その韓国戦で僕が2点を落としてしまって、チームで3対2で負けてしまったので、そこでもうダメだという風に思ってしまったんですけど。最後のオーストリアで自分が2点取って、韓国と日本とオーストリアが三つ巴になって、結果的に日本が上位2位になって準決勝、メダル確定になったので。良くも悪くも自分の中ではちょっと苦しい試合でした」

◾️いよいよ今年の11月、第25回夏季デフリンピックが、初めて東京で開催される。

「このデフリンピックというのは、東京でやる機会というのはなかなかないと思いますし、普段も海外で試合をすると応援に来られないかたとかも、地元開催ってなると見に来られるので、すごく嬉しいと思いました」

◾️川口選手は去年の9月に、東京デフリンピック出場が内定した。日本選手団の中では、全競技のなかで最初の内定者だった。今回、川口選手が出場する予定の種目は?

「今回はダブルス、ミックスダブルス、シングルス、団体、4種目出場します」

「東京デフリンピックに向けて各国の対策をしたりとか。10日間と長い試合になりますので、10日間(試合に)臨めるように今は体力作りにも取り組んでいます」

◾️東京デフリンピックに向け、川口選手に抱負を聞いてみた。

「まずは日頃お世話になっているかた、家族だったり、チームメイトだったり、会社だったり。そういうかたに感動を与えられるように、まずそこを頑張っていきたいっていうのと、せっかく出るからには、全種目メダルを獲得できるように頑張っていきたいと思います」

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