#60 クチコミを機にマーケティング戦略も変える！「花王株式会社」DX戦略推進センター ECビジネス推進部生井秀一さんをお迎えしました！

毎週金曜日の21時20分からお送りしています「望月智之イノベーターズ・クロス」

パーソナリティは、株式会社いつも取締役副社長の望月智之とホリプロアナウンス部の高橋茉奈です！

様々な分野で活躍するプロフェッショナルな方々「イノベーター(革新者)」をゲストにお迎えして、実業家でプロのマーケターでもある望月が、「その分野の未来に向けたお話」を伺う番組です！
イノベーターズクロス

イノベーターゲストは前回に引き続き…「花王株式会社」DX戦略推進センター ECビジネス推進部生井秀一さんです！

新卒で「花王」に入社後、企画営業職を担当。
2012年に、Kao corporationへ出向。ヘアケアブランドマーケティングを担当した後、Eコマースの担当へ。

2018年、「先端技術戦略室」在籍。
2021年、「DX戦略推進センター」設立し、現在に至る。花王のEC拡大に向けて、ECビジネス全体戦略として活躍。

体験型小売店舗b8taに出店した『SPOT JELLY へそごまパック』

高橋：今回も、いろんなお話をうかがっていきます！

望月：体験型小売店舗「b8ta(ベータ)」に出店したと伺ったのですが、その狙いは何でしょうか？

生井：物を売らない小売業は新しいなと思いまして、カメラが何台も付いていて、お客さんがその商品に触って比較検討している潜在層のデータは、ECサイトでは取れないと思い、b8ta(ベータ)さんと一度取り組みしてみようとなり出店を決めました。

望月：オープンイノベーション・プラットフォーム組織「ファンテック Lab&Biz」が企画・開発した限定販売の商品だということですが、どんな商品ですか？

生井：うちはブランドがいくつもあって、ブランドを通して商品を出すってなかなか難しいんです。一定の規模がないと出ないんです。でもやっぱり困っているニーズはあって、うちも技術的なシーズはあるわけです。要は困ってるN1（エヌイチ）に対して商品を出そうということで作ったのが「ファンテック Lab&Biz」なんです。で、今回出させてもらったのが、へそごま除去パック『SPOT JELLY へそごまパック』です。へそのごまを取るパックです。ゼリー状なので、あなただけのへその形に埋まってすぽっと取れるっていう。取り方の怖さもちゃんと取り除いて、新しい困っている人たちへのニーズも解決するという、そういう商品です。

望月：確かにニッチだけど、悩んでる事っていっぱいあって、それを解決するのって、探すこともできないし、あったらいっぺん使ってみたいな、なのはいっぱいありますよね。

生井：購入者アンケートで、我々が当初想定していたのと違う使い方をされた方がいて、へその手術の際に医療行為の前にへそのごまを取るのに使ったそうです。こういったことも社会的意義があり、美容とは違う新しいニーズで、これもN1（分析）じゃないですか、いいことしたな、みたいな声も上がってきています。

クチコミを機にマーケティング戦略も変える！

望月：以前、花王の「ピュオーラ泡で出てくるハミガキ」という商品では、ECの口コミをきっかけに、マーケティング戦略を転換したことがあったとか？これはどんな口コミだったんですか？

生井：さっきのへそごまパックと近いんですけど、Amazonのレビューを見た時に、研磨剤が入ってないから電動歯ブラシにめっちゃおすすめ、みたいなのがありまして。

望月：歯磨き粉の中に大体研磨剤入ってるイメージありますよね。

生井：はい。だから電動歯ブラシで結構削り過ぎちゃうと。それを泡で洗うと、研磨剤入ってないから歯が削れないという、そういう価値があるんだっていう気付きがありましたね。それを発見したんです。レビューで。

望月：絶対気付けないですよね、まさか泡だから電動歯ブラシと一緒に使われるべきだみたいなのって。

生井：実は、まんべんなく洗うために泡がじわーっと染み込んできてしっかり洗える価値が泡の価値なんです。で、これが口の中で泡で広がるとまんべんなく洗えると、もともとはこれがピュオーラの訴求だったんです、まんべんなく洗いましょうっていう。

花王が目指すオンラインとオフラインの連携

望月：花王が目指すオンラインとオフラインの連携についてお伺いしたいんですけど、オフラインがなくなるわけじゃないのか、オンラインになっていくのか、どうお考えですか？

生井：オフラインは形は変わると思いますが、なくなることはないと思います。情報はオンラインで取るが、オンラインだけでは体験できない、香りを嗅ぐ、大きさを試すなどのリアルの体験価値はすごく重宝されると思います。B8ta(ベータ)さんと組ましてもらったのもそうですが、リアルでやる価値とはなんなのか、もう一度問いただされていると思います。リアルでしっかり取り組む重要性が今後の課題だと思います。

望月：ちょっと話が変わるんですけど、音声コマースとか音声みたいな、ラジオはまさにそうなんですけど、映像とはまた違う、音声ってどうですか？

生井：めちゃくちゃ来ると思っています。スマートスピーカに「洗剤ください」というと「アタックおすすめ」とリコメンドされるわけです。棚どりがボイスコマース上でどうなっていくのかという。見るのも疲れるので声で買う、という時代になってくると思うので、棚取りの仕方がだいぶ変わってくると思います。

望月：音声がもっと来るといいなと思います。

生井：確かに、期待しています。