あさナビ

2023.12.22

桂宮治さんに聞く落語の魅力

落語家の桂宮治さんが登場。

31歳で落語家の落語の道に進んだ桂宮治さんの落語との出会いから

真打昇進まで、さらに落語への思いや、落語の魅力についても伺いました。

 

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落語の世界へ

小中学生の時は舞台に憧れがあった。

最初はドリフターズのように人を笑わせるコントをやりたいと思った。

中学生の時は、吉幾三さんらの新宿コマの座長公演をよく観に行っていた。

高校卒業後、養成所に入ったがすぐやめてしまった。

YouTubeで桂枝雀師匠の『上燗屋』をみて、落語なら好きになれるかもと

師匠探しを始めたのが30歳のときで、

一般的に落語を始める年齢としては遅かった。

自分の父親以上に愛せる人が世の中にいるのかという思いを持ちながら

師匠を探していろいろな寄席を回った。

面白い師匠はたくさんいるが、自分の体を預けるのは

何か違うと思っていたところ、

国立演芸場の落語会で、3代目桂伸司師匠が袖からでてきた瞬間に

この人だ!と思った。一目ぼれは人生の中でこれっきり。

弟子入りしたら理想通りの素晴らしい師匠だった。

営業マンをずっと続けようと思っていたが、

結婚すると決まったときに、

妻から「一生一度の人生だから好きなことやりなさい」と言ってもらい、

落語に出会い、結婚式の最後の新郎の謝辞で会社を辞めますと言った。

 

 

落語家の仕事

桂伸治師匠に入門し、2021年に真打に昇進。

落語芸術協会では前座期間が4~5年あり、

この間休みなく修業させていただき、

二ツ目に昇進して10年ぐらいで真打に推薦される。

目標として真打に推薦していただけるくらいまでに

ちゃんと家族を養えるような噺家になっていたいという思いはあった。

落語は娯楽のためにある。

人生の中で大事な時間を割き、お金を払ってまで来ていただけるような

存在になりたいとは思っている

寄席ではその日に何を話すか決める。

自分の中には何も考えずに、すぐに出てくる噺があり

寄席にいって、ネタ帳で、その日誰が何をやっているかをみて、

じゃあこれかなと決める。

これをみなさんからはすごいと言ってもらうが、

自分たちでは当たり前の作業。

本当に腹に入っている噺は何も考えずにでてくる。

お客さんの反応みて、間を考えるなどしながらもでてくる。

そのような噺を死ぬまでどんどん体に入れていく作業が自分たちの仕事。

ある先輩は「仕事が稽古、高座は回収」と言っていた。

 

 

落語への思い

30歳まで落語をきいたことがなかった。

たまたま桂枝雀師匠の『上燗屋』をみたときに、

こんな面白い芸能がこの世の中にあるんだと思った。

それまでは営業マンの仕事をしていて、

たくさんのお客さんに集まってもらって話をしていたが、

お客さんを幸せにできているのか、いらないものを買わせようと

しているのではないかという思いを持っていた。

そんな中、桂枝雀師匠をみて、同じ話す商売で、同じ人間なのに

こんなにいろいろな人を楽しませている、

みんな枝雀師匠に会えてよかったと思って帰るのだろうと思ったら、

お金稼げなくてもいいから落語をやりたいという感情になった。

桂枝雀師匠の映像を最初に見たことも、桂伸治師匠に出会えたのも

神様に感謝する気持ち。本当に出会いだと思う。

コロナ禍では仕事が何もなくなった。

久々に家族と一緒にいられたが、1か月くらいたつと、子供が3人いるので

落語家を辞めて別の仕事をしないといけないかと

夜眠るのもつらくなるほど、かなり考えた時期もあった。

ソーシャルディスタンスをとりながら、

久々にお客さんの前でやらせていただいたとき、

帰る時にお客さんから「久々に笑ったよ。ありがとう」といっていただき、

やめてはだめだ。何があってもこの仕事を続けていこう、

こんなに楽しんでくれる人がいる、ということを改めて気づかせてもらった。

 

 

落語の楽しみ方

他のエンタテイメントもよく観に行く。

舞台をやりたいと思っていた頃があったので、

舞台の上の役者の方をみるとかっこいいと思うし、見て刺激になる。

落語は誰の間も気にせず、全部自分で決められる。

主役も脇役も演出家としても、脚本家としても自由にできる。

お芝居を見た後、自分が落語をやるときに、

全部自分で自由にできることを感じる、

落語は噺の中で何役もやるが、落語は想像力で見てもらうので、

ちょっと雰囲気を変えるだけで、

お客さんが勝手に年齢や性別を想像してくれる。

お客さんに助けてもらいながらやっている。

子どもや学生に落語を聞いてもらうのが好きなので、

全国の小・中・高校に一人でいったりする。

子どもは想像力で見てくれるので、よく笑ってくれる。

子どものうちに一度でも落語を見てもらうと、

将来大人になってから落語に対してのハードルが下がる。

自分からみると、学校公演に行くというのは、

また寄席に戻ってきてねというという意味では鮭の養殖をしているよう。

大人になってから本当に寄席に来てくれる。

だから精力的にやっていきたいと思う。

落語は古典芸能ではなく、大衆芸能なので、誰が見ても聞いても

面白いと思ってもらえる芸能。一度、きてみてほしい。

 

 

これからの夢、目標

ちょっと疲れたとき、ストレス発散したいとき、

笑いたいなあ、泣きたいなあと思った時に、

落語にいってみようかなあと、思ったその時に、

寄席、落語会がなくならずあるように、

ずっと一生懸命がんばっていきたい。

初めて聞いたけど面白かった、楽しかったと思ってもらえる

努力を続けていきたい。

自分がいろいろな寄席や落語会にいったときに

面白いと思った人は出てきた瞬間から「この人大丈夫だ」という

オーラがあった。そういう存在になりたい。

出てきた瞬間にお客さんがホッと落ち着く、

この時間は絶対楽しめるとわかってもらえる雰囲気は出していきたい。

目の前にお客様がいてくれる喜び、笑ってくれる、泣いてくれる

楽しんでもらえるということが自分の原動力、一番励みになる。

自分たちには定年退職がない、

座布団の上まで歩いて行って戻ってこられる限り仕事ができる。

最後の最後まで絶対高座で手を抜かず、

その日の100%を必ず出す、その努力は続けていきたい。

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