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2023.12.22

“世界のヤハギ”と称される矢作芳人さんに聞く競走馬の調教の世界。

調教師の矢作芳人さんが登場。

数々の名馬を輩出し、世界最高峰のレースを制するなど

日本のホースマンの夢とされる偉業を次々と成し遂げた原動力とは何か?

“世界のヤハギ”と称される矢作さんが調教師として大切にしていることとは何か?

 

 

矢作厩舎 HP コチラ

馬を語り、馬に学ぶ 名馬や個性的な馬から得た成功の秘訣・仕事術 (廣済堂)

コチラ

 

調教師とは

競馬の調教師は、スタッフ、調教助手、厩務員さんを使って、

馬の管理をする中小企業の経営者的な部分と、

特殊技能、馬を見る目、馬を育てる目という職人的な部分の

両方を兼ね備えている必要がある。

プロ野球の監督、GMをイメージしてもらうとわかりやすい。

調教する馬は、基本的には、自分自身が探してきた馬。

馬主さんからの依頼もあるが、その場合でも、牧場にいる小さい頃に

一度は馬をみて自分で決める。

特に自分は、他の調教師以上にスカウト部分を重視している。

年間の4分の1は北海道の牧場にいる。

馬の見極めはサラブレッドなので、血統というのが第一だが、

馬体の良さ、バランスを見る。

馬体の良さは、首、胴、足向きなど、基本的なものはあるが、

最終的にはインプレッション。好みであるかどうか。

ピンとくるか、ひらめく馬かどうかを大事にしている。

サウジカップや、ブリーダーズカップを制するなど、

日本の調教馬として史上初という記録がたくさんある。

地方から中央へ、中央から海外へというのは最初から考えていた。

どんなスポーツでもそうだが、やはり、日本一だと評価してもらいにくい。

しかし、世界一になれば評価してもらえるという思いが自分の中に強くあり、

世界に打って出て、世界で通用してこそ、

いろいろなところに認知されると考えている。

 

 

調教師を目指して

世界最高峰のレース、アメリカのブリーダーズカップを日本で初めて制した

ラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌなど名馬を育ててきた。

マルシュロレーヌは、地方競馬、門別競馬場で1着になったレースみて、

次はアメリカと思った。

そのひらめきは、経験などいろいろなものに裏打ちされているが、

最後はインスピレーションであり、夢であると思う。

夢をもっていないと挑戦できない。

正直言うとレース前は勝てると思わなかった。

しかし、その前にラヴズオンリーユーが同じ日に勝っていたので、

周りの雰囲気がこちらも勝つのではとなっていて、その勢いのまま勝った。

海外に行くときは2頭一緒に行く。

馬は集団性の動物なので、2頭だと精神的にも落ち着く。

女の子同士だったのもよく、相乗効果で勝つことができたと思う。

どの馬を連れて行くかは調教師としての計算。

調教師は裏方。裏方の中で全体を総括している存在。

自分は開成中学、高校を卒業。大学に行かず、調教師の道へ。

開成高校では劣等生だった。

好きなことを一生の職業にしたいと思い、

馬が大好きで、競馬が好きで、それを仕事にしたい、

人と違うことをやりたいという思いがあった。

その気持ちが今調教師という仕事をする上でも生きている。

 

 

矢作厩舎を開業~仕事の流儀

父は地方競馬の調教師。

高校卒業後、最初、父に反対されたが調教師の道へ。

父からJRAに行ってほしい、海外で修業してほしいといわれ、オーストラリアへ。

日本人が誰も行っていないオーストラリアをあえて選んだ。

孤独で、さびしい思いをしたが、厳しかった1年間があったので、今がある。

自分の調教師としての基礎を作ってくれたのがオーストラリア。

日本と大きく違っていて、視野を広げるという点で自分の引き出しが増えた。

日本に戻り、大井競馬場で父の手伝いを少ししたあと、JRAへ。

2005年に矢作厩舎を栗東トレーニングセンターで開業。

外から見ると非常に厳しいスタートだったが、

自分にとっては夢と希望しかなかった。前だけ向いてやっていた。

初年度から成績を上げることができた。

最初は血統的にも馬体的にもG1や重賞と呼ばれるレースに出せる馬は

あまりいなかったので、地道に下のクラスで積み重ねていった。

馬は感情を持った生き物なので、コミュニケーションは大事。

人の考えていることがわかっていると思う。

人間が明るくハッピーであって、話しかけてコミュニケーションをとって、

一緒に楽しく調教してレースにでるということをモットーとしている。

競馬は10回に1回しか勝てないスポーツ。

勝った時の喜びは、自分ひとりだけでない馬主さんやスタッフみんなで

共有できる。そのために頑張っている。

 

 

国内外のビックレースへの思い

有馬記念は1年の総決算、ファン投票で選ばれる大きなレース。

有馬記念に初めてでた2019年に勝った。リスグラシュー。

大事なレースということもあり、勝てない馬は出したくないという思いもあった。

今の日本の競馬はレベルが高く、

海外で勝つこと以上に有馬記念やダービーなどを勝つことは難しい。

有馬記念を目標に日本のホースマン全員は頑張っている。

サウジカップを勝ったパンサラッサがジャパンカップで引退。

引退は足の状態や全体の状態、種牡馬となるための時期など

全体をみて決める。

振り返ると地方から中央、中央から海外へという夢が叶っている。

自分はついている男。周囲の人、馬に恵まれている。

人に対しても馬に対しても自分の思いが伝わっていると思う。

「勝つんだ」という強い決意。スタッフもその思いを背負って頑張ってくれて、

それに馬もこたえてくれている。いい循環になっている。

今年の2歳馬、来年ダービーを走る世代の馬に多数いい馬がいる。

来年の有馬記念には2頭も3頭も出せるようにしたいと思う。

 

 

競馬の魅力

今年8月北海道の真狩村に「真狩サマーステーブル」が誕生。

自分の管理している馬全部を栗東の厩舎に入れることができないので、

その間外でトレーニングするが、夏の間、北海道の涼しい気候の中で

トレーニングする施設。小さい牧場。

馬は冬が得意、暑いのが苦手。

夏場はローカルの新潟、福島、北海道の函館、札幌でレースがおこなわれる。

函館、札幌のレースに出走する馬がここに集まる。

移動は大変。

関西から北海道への馬の移動はトラック。馬は立ったまま。

最近は高性能の車で温度管理もよくなったが

栗東から札幌まではほぼ1日かかる。

海外へは貨物便でコンテナのようなところに2頭いれる。

空調管理などに気をつかってもらう。

今の日本の競馬は世界的にトップレベル。

それに馬券というギャンブルの要素があり、

エンタテインメントとして優れていると思う。

サラブレットの美しさをみてほしい。

サラブレットという芸術品を見るような気持ちで

それにかけてもらえれば自分たちにとって最高。

 

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