あさナビ

  • TOP
  • ブログ一覧
  • 青山学院大学陸上競技部監督の原晋さん 箱根駅伝優勝への道のり
2022.12.30

青山学院大学陸上競技部監督の原晋さん 箱根駅伝優勝への道のり

青山学院大学陸上競技部長距離ブロックの原晋さん登場。

今年、箱根駅伝を優勝に導いた原監督の指導方針やリーダー論、

選手たちとの寮生活、

そして、2023年の箱根駅伝連覇に向けての意気込みなど、

箱根駅伝が100倍楽しくなるお話を伺いました。

青山学院大学陸上競技部 HP コチラ

 

箱根駅伝

この時期になると、最近は、ワクワクというか、

プレッシャーを感じてきた。

この時期になると選手の構成が決まってくる。

今年も勝つというのが読めるが、強い学校が多く出てきている。

あとは学生をいかにその気にさせるかだが、

ここは自分の得意なところ。

いかにテンションをあげて、気持ちよく

スタートラインに立たせるか、という段階。

この大会を目標に大学に入学してくる。

高校時代の5000mがひとつの指標になるが、

ランキングが1番から100番の選手の95%、

年代によっては99%の選手が関東の大学に進学している。

箱根駅伝は、関東のローカルの駅伝の見方もあるが、

実質は全国の選手が関東に集まっているので、

それだけハイレベルの戦いがおこなわれる。

テレビの中継では出身校をテロップで出しているので、

出身地の方々が応援する。

全国の皆さんが箱根を見ているという構図ができている。

 

部員たちとの寮生活      

12月29日が箱根駅伝の選手の区間エントリー日で、

区間の割り振り、補欠の選手が決まる。

1度割り振られたら、補欠の選手から入れ替えるしかできない。

本番までの間に不慮の出来事で出られなくなった選手がでたときに、

補欠の選手をいれることになるので、

エースの選手を補欠にしておき、当日、選手変更する

ということがチーム戦略としておこなわれている。

駅伝当日に120%の力を発揮する子と

半分しか力を発揮できない子がいる。

21の大学の中で青山学院原監督夫婦だけが

寮に住み込んで生活をしている。

なので、この子はメンタルが強い、弱いなどがざっくりとわかる。

寮生活をしていなかったら自分は不安。

グランドレベルだけでなく、見えないところでどう行動しているのか不安。

それが直結しているのが陸上長距離。自分はわりと見えていると思う。

男子部員18歳22歳の若者を預かっているが、男は単純。

恋をし、彼女ができるとハイテンションになり、成績もよくなる。

魔法みたいなもの。しかし、魔法が解けると3倍下がる。

振られるタイミングだけは間違えるなと心に念じている。

逆に付き合うなら駅伝前にしてほしい。

 

箱根駅伝でのドラマ      

箱根駅伝は、往路の戦い、復路の戦い、優勝争い、

シード権争いなどいろいろな局面でドラマがある。

たすき渡しのときに倒れ込む選手とそうでない選手がいる。

トップで走っている選手は調子が良いので、

たすき渡しは笑顔で余力がある。

2番手、3番手の選手や、シード権争いの選手は

必至なので倒れ込むことが多い。

走っている選手の後ろから声をかけているが、

自分は、プラスな面を言っている。

手に届きそうな目標を掲げて、テンション高く声をかける。

24時間同じ屋根の下で生活し、5時からおきて朝ごはん、

夕食も一緒に食べ、お風呂も入り、といった疑似家族の体験、

兄弟としての体験、時にはライバル。

そういった形の生活をしているからこそ、

駅伝の舞台でも4年生のために勝たせてあげたい

下級生にシードというお土産を渡したい。それが表現されるのが箱根駅伝。

箱根駅伝は20kmを超え、距離が長いので、辛い。

途中苦しくなったときあきらめないのは、

先輩たち、後輩たちの思いがあるからこそ頑張れるのだと思う。

箱根駅伝はひとりひとり、1チーム1チームにドラマがある。

 

原監督のリーダー論    

監督をやりながら、大学で教授も勤めている。

リードシップ論演習、リーダー論、組織論を専門にし、

箱根駅伝で培ったノウハウを転用して学生に指導している。

リーダーの育成に大切なことは理念の共有。

組織をまとめる上では、理念の共有をして行動指針を作る。

最後はリーダーが決断する。リーダーは決断する力だと思う。

決断するということは責任をもつということ。

何が正しいかよくわからない時代においては、

リーダーがある程度これでいくということを示さないといけないと思う。

なかなか示さないリーダーが最近多いと思う。

駅伝のチームのキャプテンは

19年間で1度だけ自分が決めたことがあるが、

それ以外は学生が話合ってキャプテンを決め、

自分が承認するしくみをとっている

キャプテンは、陸上競技の選手能力の高さでえらぶのではなく、

チームをまとめる能力。

競技能力とチームをまとめる能力は別と考えている。

意外な人選もあった。その時には、できるのか?

考えなおした方がいいのでは?と本人言う。

覚悟がないとだめ、それでもやると言ってきたら一緒にやろうと言う。

監督には監督の、学生には学生の立場の責任がある。

それぞれの立場でリーダーマインドをもって取り組むことが

チームが成長することだと思っているし、そう伝えている。

 

現代の大学駅伝       

今年11月の全日本大学駅伝終了後「昭和の駅伝は終わった」とコメント。

十数年かけ、ようやく自分が唱えていたこと

そのようなチーム、選手が多くなった。

各大学監督、選手が明るくなった。

「青山はちゃらい」と言われた時期もあった。

しかし、青山が箱根駅伝4連勝、5回、6回勝つうちに、

「青山の原のスタイルはZ世代の若者には有益。

こっちのほうがいい」 と変化した。

結果として各大学がとても強くなった。

大会新記録など、好記録連発している。

今まではマイナス面をどう伸ばすかという視点の指導者が多かったと思う。

自分はプラスの面をさらに伸ばそうという視点でとらえているので

各選手のマインドがドーンと広がった。

まるで炭酸水のふたが開いた瞬間に飛び出すような感じ。

寮生活も今までは先輩が後輩を抑えていた。

それが、上級生はよき兄貴分として指導、下級生は兄貴分のためにと

一緒に目標を共有する同士として頑張るという姿勢が定着しつつある。

このような意味で「昭和の駅伝は終わった」と感じる。

正しいことをしていれば誰かがみてくれているし、評価してくれる。

言い続けること。

陸上界の発展、学生スポーツの発展のためには

こちらの方が絶対にいいという思いで言いづつければ

それが正しいことであれば、必ず誰かが振り向いてくれる。

そのような信念で19年やり続けている。

 

最新番組ブログ
    パーソナリティ
    • 黒木瞳
      黒木瞳
    • ルチア