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2022.11.11

認定NPO法人Homedoorの川口加奈さんが考えるホームレス状態を生み出さない社会

ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造をつくることを目的とした

認定NPO法人Homedoorの理事長の川口加奈さんが登場。

日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」や

「第31回人間力大賞グランプリ・内閣総理大臣奨励賞」など

数々の賞を受賞されている注目の社会企業家

活動をはじめたきっかけ、活動内容、そしてそこにある思いなど伺いました。

 

認定NPO法人Homedoor 詳しくはコチラ

 

川口加奈さんの著書:

『14歳で“おっちゃん”と出会ってから、15年考えつづけてやっと見つけた「働く意味」』

(ダイヤモンド社)

 

ホームレス問題との出会い。

14歳でホームレスの方に出会い、

海外には貧困があるとなんとなく知っていたが、

自分が毎朝毎晩通る通学路で、たった1個のおにぎりを求めて

こんなに並ぶ人がいるのかという驚きから、

自分にできることはないか探し始めた。

19歳・大学2年のとき、認定NPO法人Homedoorを設立。

もともとは就職し、土日のボランティアという形で

ホームレス問題に関わっていこうと思っていた。

しかし、友人から半ば強引に誘われ、始まったのがHomedoor。

Homedoorでは、ホームレスの人をはじめとする生活困窮状態にある人の

困窮状態からの脱出のサポートを行っている。

情報を届けるところから、Homedoorが用意する個室の宿泊施設に

滞在しながら次の家や仕事を探す手伝いをし、アフターフォローする。

日本は一度ホームレス状態になるとなかなか自力では脱出できない構造。

住所がないとスマホも持てず、家も借りられない。

自力で難しいところを“ちょっと”サポートすることで路上脱出できる。

その“ちょっと”を支援していけたらと思った。

働いている方の多くが廃品回収、カン集めの仕事をしている。

当時、10時間集めまわっても1000円。時給に換算すると100円くらい。

もっと稼げる仕事があれば、路上脱出できるのではないかという仮説から

Homedoorがスタートした。

右も左もわからない、ビジネスの基本もわからない、0(ゼロ)からのスタートだった。

 

 

Homedoorの設立  

同世代の中高校生がホームレスの人を襲撃する事件が起きていて

問題を伝える活動をできないかと考えた。

学校の先生がホームレスを襲ってはいけないと言うよりも、

友人がホームレスの人はこんな人だよ、と言うほうが

問題が伝わるのではないかと考えた。

それなら何か自分でもできそうと、活動を始めた。

高校2年生のとき、ボランティアの親善大使に選ばれた。

他の国の親善大使の人から「あなたの活動で何か問題はよくなったの?」

ときかれ、ハッとした。

自分はホームレス状態をちょっとよくする活動しかできていなかった。

ホームレスになりたくないと思ったらならずに済み、、

ホームレス状態から脱出したいと思ったら脱出できる。

そのような社会にしたいと思ってホームレス研究が進む大学に進学し、

Homedoorを立ち上げようと決めた。

“夜回り”の活動では、毎月1回、お弁当を届けるだけでなく、

そのときに、路上からでも働ける仕事があるというチラシを同封して

次の1歩につなげる活動をしている。

夜回りがすべての活動の基本。なるべく自分も参加を続けたい。

長くホームレス問題に携わっているので、

自分はこうしたらいいのではというポイントを見つけられる。

悪循環を好循環に変えるスイッチを押す役割だと思っている。

 

 

シェアサイクル「HUBchari(ハブチャリ)」

「HUBchari(ハブチャリ)」は、大阪市内に現在300拠点以上で

使ってもらえるレンタサイクルの進化版のシェアサイクル。

メンテナンスや拠点による台数偏りの是正、

電動自転車のバッテリー交換などの仕事を

生活困窮状態にある人に提供する事業を展開している。

シェアサイクルは拠点が多いほど利便性が高まるが、

最初はその拠点がなかなかつくれなくて悪戦苦闘していた。

今は年間約5000万円の売り上げになっている。

コロナ禍で、密を避ける移動が好まれるという時代の追い風もあり、

利用が伸びた。

働くにあたってのハードルをできるだけ下げたいと思い、

その人の普段つかっているもので、得意なことを仕事にできないかと

思ったときに浮かんだのが自転車だった。

ホームレスの人をゼロにする活動ではなく、

ホームレスの生活から脱出したいと思ったときに

脱出できる選択肢づくり。

それを多種多様にそろえることで、その人にフィットした方法で

脱出できるのではないかと思う。

ホームレスの人に「家をかりなさい」と押し付ける支援ではなく、

その人がこうしたいと思った時にサポートできるスタンスで

関わるのがいいと思う。

その人が扉を叩いたら開かれる。それが「Homedoor」。

 

 

意識していること 

『ニーズの代弁者になれるか』ということを意識している。

これは大学2年の起業した際に言われた言葉。

「自分がやりたいからやるのではなく、当事者のニーズを代弁する立場として

活動しなさい。そうしないと意味がない。」

といわれ、この言葉を大切に活動を続けている。

ホームレスの人が家を借りたということを自分の喜びにしない。

それによりモチベーションがあがったから活動を続けるということではなく、

何があっても一定であることが支援の質に影響する。

炊き出しをした当初は自分がなんとかしないと、という思いがあったが、

いつのまにか肩の力が抜け、自然体で、たまたま自分がやっている

というくらいの気持ちでいる。

支援が必要な人に、まずドアをあけてもらうことが重要。

Homedoorでは、いつでも無料シャワーを使える場を用意している。

相談したことはないがシャワーを使いにきているという人もいる。

いつもシャワーを利用している人が相談してみようと思った時に

サポートできたらと思っている。

誰しもホームレス状態になる可能性がある。

自分がホームレス状態になった時に

こういうサポートがあったらうれしいということを実現しているだけ。

ひいては自分のためでもあるのだと思う。

 

 

ホームレス問題の変化と今後の課題

ホームレス問題にかかわって15年。

Homedoor自体の認知度があがるにつれ、年々、相談者も増え、

コロナ禍の影響もあり、昨年度は900人近くという逼迫した状況になっている。

さらに、10代から30代の相談者がHomedoorへの相談者の

半数を占めるようになった。平均年齢は42歳。

求人先につなぐということはあるが、

相談にきている人の多くが非正規雇用を転々としている状況の人が多いので、

似たような仕事につないでも何かのきっかけで

また困窮状況になってしまう可能性がある。

貧困の再生産になりかねないので、

どういった就労支援をしていくということが今後の課題。

課題クリアのためには、体験的にも就労できる場を提供し、

その人に就労にあたっての課題があるのか

働く中でみえてくるポイントを共有しながら、どうしたらいいのかを話している。

厚生労働省の発表では年々ホームレスの人の数は減っている。

ネットカフェに寝泊まりしている、実質ホームレスの人たちが

水面下にいるがそこの数が把握できていない。

実態が見えず、支援がされにくいという現状がそこにはある。

 

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