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2022.01.14

国際スポーツジャーナリストの岩瀬孝文さんに聞くスキージャンプ競技の世界

国際スポーツジャーナリストの岩瀬孝文(よしふみ) さんが登場。

およそ1カ月後に控えた北京オリンピック・パラリンピック。

知っているようで知らない注目競技「スキージャンプ」の世界を

伺いました。

 

岩瀬さんのコラム コチラ

スポーツノルディックJP  コチラ

 

 

スキージャンプについて            

オリンピックでおこなわれるスキー競技のジャンプ。

飛距離にして120mを飛べる大きなジャンプ台ラージヒルと

だいたい90mとべるノ-マルヒルがある。

個人戦は女子はノーマルヒル。男子はほとんどがラージヒル。

そのほか、団体戦がある。

選手たちも飛ぶことに恐怖はあるが、

トップ選手たちはそれを練習やメンタルで乗り越えている。

原田雅彦選手は、試合後、夜、すすきの でお酒を飲むと

正気にもどり、怖くなってくると話していた。

船木和喜選手は、ジャンプが好き、飛んでいるのが楽しい。

だから50歳を超えるまで飛ぶといっている。

今でも飛距離がでないときは自分に怒り、

取材陣の周りを一言も言わず帰っていく。

メダリストのメンタリティは違うと感じる。

選手たちは負けず嫌い。あの人に勝ちたい。ここで絶対表彰台にのぼるぞ!

という思いがあるが、本当に勝つ選手はそれをも超越している。

勝つのがふつう、当たり前。極端に喜ばない、

さあ次へ、海外勢とどうやって戦おうかという頭になっている。

 

日本チームの強さ    

日本のスキージャンプは世界の中でもかなり強い。

選手ひとりひとりの個性がある。

ドイツ、ノルウェー、フィンランドなどは皆でひとつのメソッドを決める。

日本はまず自由に飛ばせる。個性を大事にする。

そのため、風が悪くて他の国が全滅しても、

日本は飛べる人がいて一人、二人は残る。これが日本の強み。

天候、コンディションの状況に応じて、

ポイントがプラスになったりマイナスになったりと細かい規定があり、

ほぼ公平に運営されるようになっている。

飛ぶ順番の優位性は以前はあったが、

今はメンテナンスがしっかりしているので、優位性はない。

笑顔で飛ぶ選手がいる。

葛西選手は、飛んでる最中に飛距離がでて優勝できるのがわかり、

嬉しくて笑ってしまうと話してくれた。

そのような写真が撮れると自分も嬉しい。

 

ルールの改正と道具の進化          

板の長さ、ジャンプスーツの重さなど細かい規定がある。

長野オリンピックの頃はブカブカのスーツで、

飛んでいる最中に空気が入り、背中や腰のあたりが風船のようになり

距離がでた。

それがあまりに甚だしいということで、今はタイトになった。

ボディから1cmほどでしか余裕がなく、空気を遮断。

昨年11月のワールドカップでの日本の小林陵侑選手が

「スーツ規定違反」で予選失格になり、理不尽な裁定といわれたが・・・

ベルトのあたり通常4ミリの余裕があるが、やせたため、

余裕が10mmになってしまった。そこを指摘され失格になった。

その前の試合で小林選手は2位になり、15位の中に4人日本人が入ったので、

取材する側からいうと、またチェックをいれて、

日本人の足を引っ張るんだろうなと思った。

選手は悔しいだろうが、今シーズンはこういう流儀か・・・ととらえ、

逆にチームが結束した。また一段階上がれるような準備をすることになった。

日本とフィンランドは仲が良く交流がある。気質が北海道、北東北と似ている。

フィンランドから基礎技術を取り込んでいる日本選手もいるし、

フィンランドからきたコーチが日本のバネのあるところを吸収して

持ち帰ったりしている。

 

フィンランドチームの公式プレスコーディネーター       

スキージャンプの写真を撮る際、自分の得意な撮る場所があり、

大倉山ジャンプ台でいうと自分は踏切から60mのあたりで撮る。

カメラマンの方々は90mぐらいまで入る。

撮影は、あまり考えず、自然体で、来るものをすっと抑える感じ。

1回のジャンプに対し、3枚程撮る。

フィルムカメラの頃は1枚に集中して撮っていた。

今は連写なので、新聞社の方は6枚~10枚撮っている、

1998年の長野オリンピックではフィンランドチームの

公式プレスコーディネーターを務めた。

この時日本チームはメダルを取ると確信したので、

スタッフは固定しており、応援もいるし、

自分はどうしようかと思った時にフィンランドチームから声をかけられた。

96年ごろからフィンランドと行き来をしていたこともあり、。

面白いと思い、フィンランドチームに加わった。

コーディネーターとしては、白馬村にフィンランドハウスを建てた。

これは、温泉、サウナ付ログハウス。

調理人は3人。フィンランドから食材を持ち込み、その場にフィンランドを作った。

そこに日本の新聞社や出版社を呼び、サウナ文化をアピールしたりした。

選手たちもここでフィンランド料理を食べ、多くのメダルを取り、大成功だった。

 

 

北京冬季オリンピックでのスキー競技への期待     

北京冬季オリンピックで自分が期待している日本人選手は

ワールドカップで勝利している、小林陵侑選手、高梨紗羅選手。

高梨選手は小柄だが、ものすごく飛ぶ。

弾丸のように飛び出し、いい風がくるとのっていき、距離をのばしていく。

写真を撮っていてもほれぼれする。

小林選手は柔らかく体を使う。

斜めから風がきても体をちょっとずらして風を全部味方にしていくように飛ぶ。

3段階くらい伸びていき、最後着地しそうになっても

そこからさらに10mくらい伸びる。

重要なのが踏切。助走からの飛び出す瞬間の方向性や、

蹴るとき、それが合うか合わないか、そこに技術の違いが出る。

昔、船木和喜選手は蹴らないでそのまま低く飛ぶタイプだった。

原田選手は蹴って、滞空時間が長く、カメラを構える時、

次が原田選手だと思うとレンズをあげないといけない。

そうしないとはみ出てしまう。

今はスーツが改良され、同じようなところにでてくるが。

その中でもひとりひとり個性があるのが日本選手。

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