上柳昌彦 ラジオの人

2025.11.07

放送作家藤井青銅さんのこと

1970年代の後半から80年代にかけてはぐーたら大学生で酒を飲んだり見様見真似でラジオドラマを作ったりで、ラジオ自体をあまり聴いていなかったと記憶しています。

しかしながらニッポン放送の「夜のドラマハウス」は時々チェックしていました。

その際に女性アナウンサーの「脚本フジイセイドウ」というナレーションは妙に心に残っていました。

そして1981年にLFに入社してしばらくして、その方は藤井青銅さんという放送作家さんであることが分かったのでした。

当時は「夜のドラマハウス」や「伊藤蘭 通り過ぎる夜に」「松田聖子 夢で逢えたら」などの構成をされていて、先輩からは「青銅さんは『星新一ショートショートコンテスト』で賞をもらった人なんだよぉ」と教えられ、高校時代に星新一さんの作品をご多分に漏れずに読みまくっていた世代なので、ただただ羨望のまなざしで遠くから青銅さんの仕事を見ていたのでした。

当時のニッポン放送社内はレイバンのサングラスをした人が何人も出入りし(お一人はLFの名物ディレクターのドン上野さん)

そこここでコーヒーとたばこの煙の中で打ち合わせや、時には制作部と営業部の人が廊下を挟んで怒鳴り合いをしていたりとう賑やかというか騒然としたというか、いつもお祭り騒ぎのような場所でした。

正直、果たして私はここでやっていけるのだろうかと不安だらけでありました。

そのような中で青銅さんはいつも穏やかな笑顔を浮かべて物静かな感じで原稿を書き様々な番組に立ち会っていらっしゃいました。

初めて仕事をご一緒した記憶はあいまいなのですが、強烈に覚えているのは当時人気大絶頂の沢田研二さんが毎週ラジオドラマの番組をやられていて、そこに私がちょい役で呼ばれことがあったのです。

作品は小林信彦さんが原作の「唐獅子株式会社」で脚本は藤井青銅さん。

物語に登場するダーク荒巻という人物はなんと横山やすしさんが演じ、収録当日は当時の横山やすしさんの趣味のボートレーサーの格好でスタジオにお見えになったことを鮮明に覚えています。

などなど思い出話は尽きないのですが、その藤井青銅さんが11月8日㈮と11月16日㈮公開になるYouTube「おしゃべりぞーん」に新作の小説「黄昏ラジオ」(ハルキ文庫 本体780円+税)

そして2007年に1970年代後半からの青銅さんの駆け出しの放送作家時代を描いた「ラジオな日々」(朝日文庫 本体900円+税)を引っ提げて登場です。

(最近はパソコンの文字しか見ませんが、久しぶりに青銅さんの直筆を拝見しました。

味のあるいい文字なんですよぉ。懐かしい!)

オードリーのオールナイトニッポンで若林さんのトークを本番前に聞いてアドバイスをしていることでおなじみの青銅さんに、そのあたりの事も伺っています。

「読んでから観るか、観てから読むか」どこかで聞いたフレーズですが、ラジオ好きのみならず,物つくりのザワザワした現場が好きな方にはお勧めの本とYouTubeになっていますので是非に!

YouTubeで「おしゃべりぞーん」で検索を!チャンネル登録もお願いいたします!

ちなみにハルキ文庫の「黄昏ラジオ」の帯の裏には朝日文庫の「ラジオな日々」の広告が。そして朝日文庫の「ラジオの日々」の帯の裏にはハルキ文庫の「「黄昏ラジオ」の広告がそれぞれ載っていました。

素敵なコラボであります!

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