上柳昌彦 ラジオの人

2025.06.20

あの時の夏

16日の週はどうしてこの時期にというほどの猛暑となり、私より若い方が熱中症で亡くなったとも聞きました。本当に注意いたしましょう御同輩と言いたくなります。

「昔の梅雨はしとしと降ったよなぁ」とか「梅雨が終わると夏空がドーンと広がってねぇ」とか「30度を超えると今日は相当に暑いねぇなんて言ってたよなぁ」などという梅雨から夏の日本の光景はもう帰ってこないのでしょうか。

このような中で停電や新幹線が数時間止まったニュースに接すると、猛暑でクーラーが使えなくなったらと考えてしまいます。

今から47年前、大学2年の春に実家を出て小田急線参宮橋の家賃16000円、風呂無し共同トイレの四畳半アパートで生活を始めました。

たとえ築40年、木枠の窓の古アパートでもただただ一人暮らしが嬉しかったことをよく覚えています。

周囲を高そうなマンションに囲まれていて、クーラーの室外機の熱風が吹き込んでくるような環境でした。

もちろん我が家にはクーラーなんぞありません。

夏休み中も実家にあまり帰らなかった私は網戸もない窓を開け放ち、まぁ風呂に入りながら寝ていると思えばなんとなるさと、大学4年間の夏を乗り切りました。

ニッポン放送に入社しても2年間そこに住んでいましたが、さすがに初めてのボーナスで窓枠用のエアコンを買って自分で取り付けたものです。

もちろん今でも都会でクーラー無しの方もいるとは思いますが、

私にはもう無理であります。命にかかわります。

3年前の6月下旬から7月上旬にかけ友達を訪ねて大阪へ。梅雨時の旅になると思ったら、これが異常な猛暑に。

35度を超える中、ついでに訪ねた奈良と京都の古刹の静けさにどこか違和感を覚えました。

しばらく肌を焼く日差しと熱せられた空気のなかで考えていると、あっと気が付きました。

真夏の関西特有、ワシワシシャーシャーと異常な大音量のクマゼミの鳴き声がまったく聞こえないのです。

7月上旬であるがゆえにクマゼミの幼虫はまだ地中にいて、あたりはただただ熱せられた空気に静かに包まれていたという訳でした。

聞こえないのです

ちょっと異常な体験でしたが、さぁ今年の関西はいかなることに・・・

ちなみに幼き頃に兵庫県で聞いたクマゼミの鳴き声、その生息地域がどんどんと北上しているそうです。

本当にうるさいですよぉ。