ピアノ経営塾株式会社 代表取締役 保科陽子
愛知県生まれ。
3歳からピアノを習い、国立音楽大学では、
教育音楽学科 幼児教育を専攻。
音楽教室に勤務した後、独立。
ピアノ講師を指導する他、
生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチの資格を取得、
2014年、「ピアノ経営塾」を始めた。
竹内:保科さんのお衣装がとっても華やかですね。
保科:ありがとうございます。
竹内:全体的に光沢感のある、肩が少し出ていて、お花が描かれているのかな?素敵ですね。ピアノ講師という職業的なイメージにぴったりなお洋服ですね。
保科:褒めていただきありがとうございます。やっぱり職業柄、どうしてもそういう風な見られ方をするので。着るものに関しては、私はそんなにお洒落ではないかもしれないですけど、皆さんお洒落な方が多くて。舞台っていうと、いつも着られないような服が着れるし、生徒さんも凄く着飾っていらっしゃるから。少し非日常的な華やかな場っていうところがあるので。衣装は皆さん好きな方が多いですね。
竹内:音楽講師を育てるお仕事をされているということですか?
保科:本当におこがましいですけれども。私はピアノの先生として演奏や指導をするというのは、やっていなくて。主に今までうちの業界であまりなかった、経営的なサポート、経営の指導っていうとですけども、ピアノの先生って個人事業主で、演奏も小さい頃からされてきたので、それはバッチリできる。指導に関しても皆さん研鑽を積まれてるし、それをサポートしてくれる上の先生がいるんですけども、唯一足りないのが経営指導なんですよね。
竹内:ピアノの先生の経営というのはどういうことですか?
保科:個人事業主として生徒さん、保護者とやり取りする中、どうしてもお金とか税金の問題だったり、音大で教えてくれない部分があって、集客もそうですね。そういうところで、独りぼっちで分からずに独学で教室を回してる方が多かったので、何かサポートできたらな、ということで。
竹内:確かに、近所の口コミで生徒さんを増やす方もいらっしゃるとは思うんですけれども、保科さんは、例えばどういう風にして顧客を増やす戦略を立てられるんですか?
保科:バブルの頃は生徒さんも多かったですし、ピアノの先生が集客する必要はなくて、口コミだけでどんどん来てたんですね。でも、本当に時代が変わって、ネットが登場してから非常に様変わりしたんですね。口コミで生徒さんに来ていただいてる先生もいますけど、本当にそれがどんどん少なくなって。やっぱり生徒さんがいなければ経営も成り立っていかないので。最近一番力を入れてるのはネット集客のところをお伝えさせていただいて、ホームページだったりSNSの投稿だったり、YouTubeなんかもやってみようよということで。教えることもあるかなと。
竹内:ピアノは私も学んでいたんですけれども、今思い返すと楽しかったっていうよりは、母親から追いかけ回されて(笑) 毎日、ピアノの前に座らせられて、「一時間はしないとだめよ~」みたいな感じでっていう記憶がやっぱり強いので、楽しかったっていうよりはそっちになっちゃったんですよね。
保科:その辺のイメージを実は払拭したくて。お母さまが子どもさんを連れてくるんです。やっぱり三歳とか四歳の子どもさんが自らピアノを弾きたいっていう場合は結構レアで、お母さんが習わせたいって来るんですよね。その時にお母様が言うんですよ「私みたいな教え方はしないでください」と。「私は自分の先生からガツガツ練習しなさいと・・・親にも言われて、すっかりピアノを嫌いになって途中で辞めてしまった」と。これを変えないとと。お母さんたちには今のピアノ教室には、そのような先生はほとんどいらっしゃらないですと。とにかく楽しく、その子がピアノを長く続けるように。そう教える必要があることは先生たちも重々分かっているから。昔のような先生は今はいないと思いますと言いきりたいけど。もしかすると若干いるかもしれませんけど大丈夫です。安心して連れてきてくれれば、そんな悲しい教え方はしないからっていうのを、今みんなで考えてるところですね。
竹内:どうしても小さい子だと、ピアノの前に静かに座るっていうこと自体がちょっと難しかったりすると思うですけど、楽しんでもらう工夫はどういうところにされているんですか?
保科:やっぱりその子の興味関心をまず知っておく。うちには、小学校1年生の“鉄っちゃん”がいるんですけど、やっぱりハッキリしているんですよ。これは好きとかこれは嫌いとか。今やってるのは駅メロです。駅メロをやろうって言ったらハマって。先生はそういう切り口をすごく持ってらっしゃっているので。
竹内:そっか、好きな音楽やるのが一番楽しいかもしれないですね。
保科:掴みはね。モーツアルトとかショパンとかも弾いて欲しいけど、それは先に残しておけばいいから。まずはピアノって楽しいなとか身近に広がってる音楽が自分も弾けるなみたいな。
竹内:ちょっと驚いたことがありまして、ピアノの先生って年収100万円でも凄いと言われる業界って、ビックリしたんですけど。
保科:そうなんですよ。
竹内:でも、保科さんが教えてらっしゃるピアノの先生方は年収500万円の方も多数いらっしゃる。
保科:そうなんです。みんな凄いんですよ。経営を知らなかっただけで、ちょっとコツを教えてあげて、集客だったりお金のやり取りだったりで。みんなリッチになってきてます。
竹内:でも意外でした、年収100万円でも凄いって言われる業界だったんだっていう。
保科:なんかお金持ちのイメージがありますかね。
竹内:そうですね、ピアノの先生ってお嬢様っていうリッチな印象ありますね。
保科:なるほど。昔はそういう先生もいたんですけども、やっぱり芸術家だからお金に対してあまりこう。
竹内:分かる気がしますビジネスというよりは…
保科:気持ちが強くて(笑) 教えてさえいれば、お金いらないみたいな、そんなやり取りをしちゃってるんですけど。それだと業界がこれから先あれだと思うんですよね。見た目は皆さん華やかだから、なんかギャップがあるんですよね。ギャップ埋めようよと。ビジネスとして自信をもってやっていいんじゃないかと。
竹内:今後の夢は?
保科:まだまだ力不足なんですけど、一応私が繋がってる先生が全国で増えてきてるんですね。ピアノの先生をもっと子供たちが憧れる職業にしたいなって、そういうことを話しています。見た目はみんな華やかなんだけど、内情が伴わない。ピアノの先生のところで生徒さんが伸びてきて。音大に行きたいって言った時、中には「止めなさいよ、音大に行っても食べれないからね」って言う先生もいて。それはやっぱり悲しいなと思って。自分がきちんとビジネスが出来たら、「やりようによってはしっかりとビジネスとして立ち上げられるから、音大に行きなさいよ」って言える世の中にしたいと。
竹内:そうですよね。
保科:そのためにもまず、私が情報発信局となってピアノをもっともっと経営的にも上手く行くような、そういう立ち位置を作って。先生たちから自分の生徒にそんな悲しいこと言わないように、そういう先生を増やすのが今の夢です。
竹内:芸術の分野は大事ですからね。素晴らしいと思います。
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