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5/31の2本目は、小児病棟の予測不能でスリリングな一夜をリアルタイムで追う、まるでドキュメンタリーのような緊迫のヒューマン・サスペンス
『アダムの原罪』

患者でごった返すある病院の小児科センターに、左腕を骨折した4歳の男の子アダムが入院してきました。栄養失調で痩せこけたアダムは発育が遅れ、骨が脆くなっています。
裁判所は、移民のシングルマザー・レベッカがアダムに適切な食事を与えていないと見なし、彼女の面会を制限する命令を下しました。
自らもシングルマザーである看護師長のルシーは、息子と引き離され、親権を失うことを恐れるレベッカに寄り添おうとします。
しかし、レベッカの軽率な行動、上司や同僚からのプレッシャーで追いつめられたルシーは、母子を救いたい気持ちと病院が従うべき司法制度との間で板挟みになっていくのです…。

看護師ルシーの背中を追うカメラワークに、自分も一緒に病院を走り回っているような気分になります。
そのルシー役は、フランスの実力派レア・ドリュッケール。
孤立したシングルマザー、レベッカには、『あのこと』で脚光を浴び、話題作が続くアナマリア・ヴァルトロメイ。

監督は、2021年の長編デビュー作『Playground/校庭』で、鮮烈なデビューを飾ったベルギーのローラ・ワンデル。
医療従事者はすべての患者をケアしたい、母親は愛する我が子をずっと抱きしめていたい…ワンデル監督が長編2作目で描こうとしたのは、そんな“当然のこと”がままならなくなってしまった現代社会の歪みです。

法律や厳格なルールに従うしかない医療現場では、人手不足も相まって、子供のためではなく、ルールを守ることだけに必死に見えます。
そんな中、親子を救うことを諦めないルシーに、希望が見えました。
そんなルシーを裏切るような行動をとるレベッカが信じられませんでしたが、彼女が置かれた困難な状況を思うと切なくなります。

アダムが最後に発するセリフにハッとし、女優二人の演技が光る言葉少ないラストシーンにグッときました。
タイトルの『アダムの原罪』のアダムは「特定の人物ではなく私たちすべてを指している」と監督は言います。人間が人間であること=過ち、喪失、希望…それらすべてを抱えても生きることを諦めないで欲しい、そんな監督の思いを感じました。

『アダムの原罪』
6月5日(金) 新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
公式サイト:映画『アダムの原罪』公式サイト
監督・脚本:ローラ・ワンデル(『Playground/校庭』)
製作:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:レア・ドリュッケール(『CLOSE クロース』) 、アナマリア・ヴァルトロメイ(『あのこと』『モンテ・クリスト伯』)
2025年/ベルギー、フランス/フランス語/79分/16:9/5.1ch/原題: L’intérêt d‘Adam /英題: Adam‘s Sake /日本語字幕:岩辺いずみ/提供:ニューセレクト/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム/後援:駐日ベルギー大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
ⒸDRAGONS FILMS – LES FILMS DU FLEUVE – LES FILMS DE PIERRE – LUNANIME – FRANCE 3 CINÉMA – BE TV & ORANGE – PROXIMUS – RTBF (TÉLÉVISION BELGE) – SHELTER PROD

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