古美術永澤 presents ミッツ・ザ・コレクション

2023.01.02

2022年12月28日放送『吉田拓郎メロディーズ』

音楽への造詣が深いミッツ・マングローブが、

毎週様々なテーマと共に70年代・80年代・90年代の音楽を

ミッツ・マングローブ自身の解釈でお届けしていく番組『ミッツ・ザ・コレクション』。

今回は1時間のスペシャル拡大バージョンでお送りしました。

テーマは『吉田拓郎メロディーズ』。

先日ニッポン放送での

「オールナイトニッポンGOLD」が惜しまれつつも最終回を迎えた

吉田拓郎さんの「メロディメーカー」としての魅力を、

彼が他の歌手やグループに提供した楽曲を中心にお届けしました。

 

まず1曲目は、吉田拓郎さんで「やさしい悪魔」。

こちらは拓郎さんが1977年3月に、

時のトップアイドルグループ・キャンディーズに提供したヒット曲。

今回は拓郎さん自身がセルフカバーしたバージョンでお送りしました。

 

続けて2曲目は、キャンディーズ「アン・ドゥ・トロワ」。

こちらはキャンディーズが「解散発表直後」にリリースしたシングルです。

奇しくも「別れて旅立ってゆく心情」を描いた歌詞ではありますが、

実はまったくの偶然だったとのこと。

1977年のヒット曲でした。

 

そして次にお送りしたのは、70年代前半にヒットした「拓郎メロディーズ」を3曲続けて。

まずは、かまやつひろしさんで「我が良き友よ」。

こちらは1975年にリリースされ、かまやつさん自身のNo1ヒットとなった楽曲です。

かまやつさんにはその後「水無川」という楽曲も提供しており、

拓郎さん曰く「ご自身の作曲活動における傑作のひとつ」だそうですが、

今回は世代を越えて親しまれている「我が良き友よ」を。

そして続けてお送りしたのは、ザ・モップスで「たどりついたらいつも雨降り」。

ザ・モップスは、1972年に鈴木ヒロミツさんがボーカルとして在籍していたロックバンド。

拓郎さんヒストリー的にもかなり初期の提供曲ですが、

実はこの曲は拓郎さん自身が広島のアマチュアバンド時代に

すでに歌っていた楽曲で、

歌詞を書き変えて提供に至ったという経緯があるそうです。

そして、続けてお送りしたのは、山田パンダさんで「風の街」。

山田パンダさんは、フォークバンド「かぐや姫」のメンバーのひとり。

こちらはなんとバッキングコーラスに、

当時スタジオミュージシャンとして

コーラスアレンジを担当した山下達郎さんを始め、

あの「シュガーベイブ」のメンバーが参加しているのも聴きどころです。

 

続いては、吉田拓郎さんと特に結びつきの強かった

「渡辺プロダクション」の歌手たちへ提供した楽曲を3曲続けて。

まずは、中尾ミエさんが81年にリリースした「風の中で」。

中尾ミエさんは学生時代の吉田拓郎さんがファンレターを

書いたこともあるというぐらい憧れたスターアイドルだったそうです。

さらに、いしだあゆみさんが78年にリリースした「今夜は星空」。

この曲はミッツさんが所属するグループ「星屑スキャット」の

超初期のテーマ曲として、毎回ライブの1曲目に歌っていた思い出深い曲なんだそう。

そして小柳ルミ子さんに74年に提供した「赤い燈台」。

独特のコード進行や譜割り、トリッキーな曲構成、

そんな「拓郎節」と呼ばれる楽曲たちに、

歌姫たち各々の魅力が絡まっていく様も含めてお楽しみください。

 

9曲目の「吉田拓郎メロディーズ」は、由紀さおりさんで「ルームライト」。

ミッツさん曰く、「昭和歌謡マニアから最も愛されている拓郎メロディのひとつ」。

昭和の情緒とアーバンな新時代感が絶妙にブレンドされ、

それを表情豊かな由紀さんがサラリと歌う楽曲です。

 

10曲目は、吉田拓郎さんで「Have A Nice Day(気ままに写そう編)」。

ミッツさんのご両親は70年代、広告やCMを作る仕事をしていたため、

「吉田拓郎とCMソング」というイメージがとても強かったそうです。

確かにオリジナル作品とは別に、

数多くのCMソングを作ってきた側面が吉田拓郎さんにはあります。

そこで、当時人気シリーズだった

フジカラーフィルムのCMソングを今回お聴き頂きました。

 

続いては、テレサ野田さん「ラブ・カンバセーション」。

1978年のシングル。

洋楽センスに溢れ、拓郎さんが

「単にフォークの人ではない」ことを教えてくれるオシャレ曲です。

そのまま続けてお送りしたのは、太田裕美さんで「失恋魔術師」。

松本隆さんの歌詞もさえており、ただのAメロ・Bメロ・サビだけで

終わらせないトリッキーな展開というのは、

まさに拓郎メロディの真骨頂とも言えます。

この時代は、他にも石野真子さんの「狼なんかこわくない」や

木之内みどりさんの「東京メルヘン」など、

トップ女性アイドルたちへたくさんの楽曲提供をしています。

 

そしていよいよ80年代です。

時代とともに音楽のトレンドや登場人物たちも大きく変化した時代においても、

引き続き「拓郎メロディーズ」は、たくさんの歌い手たちから重宝されます。

そんな中から、まずは風見しんごさんの83年のデビュー曲

僕、笑っちゃいます」をお聴きいただきました。

欽ちゃんファミリー出身の風見さんの前には、

「イモ欽トリオ」が大ヒットを記録していましたが、

「拓郎メロディ」はそんな80s的テクノ歌謡のノリにも生きる、

鋭いポップな感性を発揮しています。

そのまま続けてお聴き頂いたのが、

森山良子さんに75年に提供した「歌ってよ夕陽の歌を」。

こちらは80年代以降に

森山さんがアレンジを新たにセルフカバーしたバージョンです。

「きわめてフォーク的」なイメージの強かった拓郎メロディーですが、

ひとたび打ち込み系のアレンジを施されても、

しっかりとその魅力を失わないどころか、歌い手ともに熟成する。

改めてソングライターとしての

センスと力量を感じずにはいられない1曲ではないでしょうか。

さらに続けてお聴き頂いたのが、

研ナオコさんが85年にリリースした「六本木レイン」。

「これは歌詞・曲・そして時代感あふれるアレンジすべてにおいて、

『ベスト拓郎メロディー』かもしれません」とミッツさん。

85年辺りになると、ともすれば「拓郎メロディ」が

少し懐かしいものになっていた可能性もある中、

やはり「こういう曲は吉田拓郎にしか書けない」と改めて痛感させてくれる曲です。

 

そうこうしている内に時代は平成になり、90年代へ突入。

ここで、とんでもない「拓郎メロディー」が生まれていたことを

ミッツさんは後になって知ったとのこと。

なぜなら、この曲の作曲者は、「入江剣」という名前だったから、なんだそうです。

これは拓郎さんがデビュー前にホンキで考えていた

ご自身の「芸名」だったんだそうです。

酒井法子さん1990年のヒット曲「幸福なんてほしくないわ」お聴きいただきました。

 

90年代中盤、吉田拓郎さんにとって、

そして「吉田拓郎と対峙する世間」にとって、大きな出来事となった

「LOVELOVEあいしてる」というテレビ番組がスタートしました。

デビュー直前のKinKi Kidsが

一気にスターダムへ駆け上っていく過程に、

吉田拓郎という人物の存在はとてつもなく大きなものでした。

続いてお送りしたのは、

「LOVELOVEあいしてる」が終了してから10年後の2011年に、

久しぶりにKinKiのふたりへ提供された楽曲です。

作詞も拓郎さん本人によるもの。

KinKi Kids「危険な関係」お送りしました

 

そのまま続けてお聴き頂いたのは、

松本明子さんが99年にリリースしたシングル「ステラ」。

松本明子さんと言えばずっと渡辺プロダクション一筋で活躍してきた方。

ここでまた「ナベプロ」と「拓郎メロディ」が

再会を果たすとだけあって、実に素晴らしい作品となりました。

 

続いての「拓郎メロディーズ」は、EVEで「ドン・ファン」。

元は神田広美さんという

女性アイドルに提供された78年の楽曲なのですが、

それを、ミッツさんが愛する最強の女性コーラスグループ

「EVE」の3人がカバーしたバージョンでお送りしました。

 

お別れの曲は、吉田拓郎さんで「全部だきしめて〜tropical〜」でした。

また番組でも、

いろいろな吉田拓郎の音楽にフォーカスしていきたいと思っていますのでお楽しみに。

番組に関する感想・ご意見・ご要望などありましたら、

mco@1242.com までお寄せください。

お葉書は、

〒100ー8439 ニッポン放送「ミッツ・ザ ・コレクション」まで。

次回のレギュラー放送は、2023年1月1日(日)17:30〜です。

どんなテーマでどんなセレクト楽曲が繰り出されるのか、お楽しみに!

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パーソナリティ
  • ミッツ・マングローブ
    ミッツ・マングローブ
    ミッツ・マングローブ

    ミッツ・マングローブ

    ドラァグ・クィーン・歌手・タレント。総じて「女装家」。
    1975年 4月10日 神奈川県横浜市生まれ
    10代中盤ををロンドンで過ごす。 慶應義塾大学法学部を卒業後、 英国ウエス卜ミンスター大学に入学。商業音楽全般を学ぶ。帰国後2000年ドラァグ・クイーンとして東京でデビュー。以降、各地のクラブを中心に様々な活動やイベントの主催をする傍ら、05年に星屑スキャットを結成。07年スナック「来夢来人」にて丸の内初の女装ママに。
    09年頃からテレビでも活躍。
    2011年「若いってすばらしい」で歌手デビュー。2012年3人組コーラスグループ“星屑スキャット”のメンバーとして「マグネット・ジョーに気をつけろ」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2018年星屑スキャット1stアルバム「化粧室」をリリース。野外フェスティバルへの出演含め精力的に活動中。
    2019年星屑スキャット初の全国ツアー「あ々喉仏」開催。
    2021年4月中野サンプラザを含む星屑スキャット全国ツアー「色、色々」開催。