おいでよ!花音道場

2021.07.15

熱海取材

押忍、前島花音です。

先週9日の金曜日に熱海、伊豆山地区へ取材に行ってきました。

その時の様子、感じたことを今日はお伝えしようと思います。

 

当日は午前中雨が降ったりやんだりで、一時強い雨が降る瞬間もありました。

 

土石流が起こった岸谷(きだに)付近の様子。霧があり山頂付近は見えませんでした。

私が到着した8時半ごろの時点で、小崩落により作業が中断されていて、警察や消防、自衛隊の方々が待機している姿が見えます。

 

 

土石流が流れ込んだ逢初橋。

写真では近くで映りませんでしたが、赤い橋は一部が破損し、泥まみれです。看板も取れかかっています。

規制線の奥の民家を見ると、1階部分が土砂で突き破られていたり、壁にびっしりと土砂の跡がついていたり、また、斜めになっている家屋もありました。

近所の方が様子を見ていたのでお話を伺うと、「友人の家が規制線の奥にあるけれど、遠くから見ても一階の車庫の部分に土砂やがれきがいっぱいに詰まっているのが分かる。友人は無事だが、あの家に戻ることが出来るのは1年以上かかるだろう」と仰っていました。

また、橋を渡った場所にあるホテルに住み込みで働いていた方は「今は建物がどうなっているのか全く分からない。思い入れのある職場だからとても不安。」と表情を曇らせていました。

写真の奥にあるように、周りには2~3mの土砂やがれきの山が詰まれていました。

捜索作業が中断されている時は、積まれたがれきを、重機が回収し、処理場へ運んでいきます。がれきの山の中にいくつもの民家の柱や、大きな金属のようなものがあり、それほどの威力のものが一瞬にして迫ってきたことに恐怖を感じてしまい、足が竦みました。

私が取材した金曜日は、発災から7日目です。徐々に勢いは収まっているものの、土砂の混じった茶色い水が「ゴーッ」という音を立て、まだ強い勢いで流れていました。

 

橋の近くの釣具屋さん「フィッシングワールド セブンエイト」では、8日から支援物資の配布を開始していました。トイレットペーパー、ティッシュ、パンがあります。

近所の方々に周辺のお店の方が声をかけ、支援物資があることを伝えていました。

逢初橋付近でも、ライフラインに問題のないご家庭が多く、そこは救いだということなのですが、橋を渡った奥にスーパーがあり、車で行ける所が限られているため食料の確保などが難しい方もいるそうです。高台に住むお年寄りのために、重いものを運んでいる姿もありました。

 

一時、逢初橋を離れてから、作業が再開したかもう一度見に行った時にお話しを伺った方は、「友人がまだ見つかっていない。友達の家やいつも言っていた場所が元の姿から想像できない様子になっていた。レスキューの方々は本当によくやってくれていて、少しずつかもしれないが、どんどんがれきも減ってきている。感謝しています。」と仰っていました。毎日、規制線から様子を見ているそうです。

 

8日から通行を再開した「熱海ビーチライン」

私が行った9日を含めた3日間は「40㎞以下、ハザードランプは必ずつける」という規定付きでした。

支配人の山口さんに伺うと、「土石流が幸いなことにビーチラインを避けているが、漁港には茶色い水が流れ込んだまま。これ以上の事故を防ぐため、この速度で命を絶対に守れるように」とのことでした。

山口さんは毎日漁港付近の様子を巡回して確認を続けられています。

 

熱海ビーチラインは2日の大雨の時点で通行を停止。ただ当日様子を見に行ったところ、海岸付近に流れ込む土石流に驚き、恐怖を感じたそうです。

当日の写真を見ると、土石流の勢いが分かります。

発災当日、3日の様子を納めた動画を見せて頂いたのですが、2度ほどのがけ崩れがあり、その後岸谷で起こった土石流の時は、大きな音がして驚いたそうです。漁港まで流れ込んできた土石流は、まるで大きな生き物のように小屋を押し出す勢いで流れ込んでいました。海へ、茶色く濁った水がどんどん流れ込み、海が染まっていく様子もありました。

 

ビーチライン沿いの様子を車内から見てみると、当日滝のような勢いだった水流も少しずつ落ち着いているものの、土嚢が詰まれ、がれきや土砂がたまっています。

ブログを更新している15日現在、熱海ビーチラインは、30㎞、ハザードランプはつけての走行という規制付きで無料開放をしています。

(国道135号線の復旧状況を見て、対応していくそうです。詳細は「熱海ビーチライン」のfacebookページをご覧ください。)

 

避難所となっている施設の1つ、ニューフジヤホテル。

避難されている方の中には友人がまだ安否不明だという方もいらっしゃいました。

観光地・熱海ならではのホテルが多い環境ということもあり、プライバシーが確保された避難所ではあるものの、家に帰ることのできない疲労、またもし一時帰宅したときに何かあったらという不安が大きいと話していました。

14日の午後5時の発表時点で、ニューフジヤホテルへの避難者は523人。

現在ライフラインは、水道・ガスはおおむね復旧しているものの、被災地区では電気が滞っている所もあるそうです。

 

商店街や熱海銀座はいつも通りに見えます。だからこそ、被災地と同じ熱海にも関わらず、全く違う場所のように思えて、とても怖かったです。

 

2年前、台風15号、19号を取材したときもそうでしたが、取材させて頂いた方みなさん、とても真摯にお話をして下さいました。

お疲れの中、お話をお聞きするのは大変心苦しいのですが、発災時の様子や直面する生活の現状などをお聞きし、それをリスナーのみなさんへお伝えすることが唯一私のできることだと思っています。

自分の足で赴き、自分の目で見た現場を、これからも伝えていこうと改めて感じました。

 

 

取材していく中で、住んでいる方々に実際にお話を伺ったり、現場の状況を目の前にすると、土石流の恐ろしさをより一層身に染みて感じます。

近所にお住まいの70代の方が仰っていた、

「60年以上住んできてこんなことなかったし、あるなんてまったく思っていなかった。熱海は良いところで災害なんてなかったのに。友人の家も、働いていた場所もこんな風になってしまって、悔しい。悲しい。」という言葉が忘れられません。

自分に置き換えて考えても、自分が生活している所で、こんなこと起こるはずないと思ってしまいます。普段備えている!と思っていても、いざという時慌ててしまって何をしたらよいか分からない…という方も多いのではないでしょうか?

 

でも、実際、いつ、何が起こるかわかりません。

普段から、ほんの少しでも関心をもって、いざという時どうしたらよいか、まず何をするか、家の導線をどう確保していくか、知っておくだけでも全く違うと思いますので、お時間ある時に、是非以下のサイトを確認してみてください。

 

「重ねるハザードマップ」https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=35.371135,138.713379&z=5&base=pale&vs=c1j0l0u0

「キキクル」https://www.jma.go.jp/bosai/risk/#zoom:5/lat:34.016242/lon:134.978027/colordepth:normal/elements:land

「土砂災害から身を守るには」https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/doshyasaigai.html

 

そして、現在ニッポン放送では、被害にあわれた方々を少しでも支援するため、支援金・義援金をお受けしています。

詳しくはこちらまで、

あなたからの善意のご寄付をお待ちしています。

 

熱海銀座にあり、いつもニッポン放送を聞いてくださっている「寿し忠」さんにも伺ったところ、土石流の影響を受けていない中、なかなか観光地の人出が少なく困っている、ただコロナの影響もありなかなか現地の方も来てほしいと言いづらい状況だそうです。

なかなか外出できない日々が続きますが、感染拡大に気を付けながら、多くの方が熱海の観光地に足を運べるようになることを願っています!