あなたは、小学生の時、何係り・何委員をやっていましたか?

編集長の立川晴の輔です。小学生だった時、何かの当番や何かの係りをやった記憶はありますか?その日の当番の日直や給食当番、掃除係、図書委員や児童会活動、そんな授業以外で子どもたちが係を担う活動のことを「特別活動」、略して「特活=TOKKATSU」という言い方をします。どこの小学校でもあるこの「特活」ですが、これ、日本以外の国々=世界の国々から見ると、とても珍しいことなのですって。

そんな日本人が“当たり前のこと”だと思っていることをおよそ700時間も撮影した長編ドキュメンタリー映画『小学校〜それは小さな 社会〜』が話題になっていて、それを元にした短編作品『Instruments of a Beating Heart』は、今年のアカデミー賞の「短編ドキュメンタリー映画賞」にノミネートされました。日本の作品がノミネートされたのですからね~世界から注目を浴びています。
そこで今日は、監督をされた山崎エマさんに、作品作りのキッカケなど、お話しをうかがいたいと思います。

© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour
晴の輔 「日本の小学校を舞台に作品を撮りたい!」と思われたキッカケは、何だったのでしょうか?
山崎「私は大阪の公立小学校に6年間通ったあと、インターナショナルスクールを経て、ニューヨークの大学に進学しました。そうした経験を経て大人になって振り返ったとき、小学校で学んだ“当たり前”だと思っていた価値観が、自分の強さの源になっていたことに気づきました。海外の友人たちに、日本の小学校で行われている『運動会』や『給食』について話しても、なかなか理解してもらえませんでした。そうした経験から、日本の教育は非常に独特なのだと実感しました。そして、それらを映像として記録すれば『日本の社会の本質が見えてくるのではないか』と思ったことが、きっかけになりました」

© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour

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シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中

山崎「自分ではまったく意識していなかったのですが『普通にしているだけなのに』と思っていることでも、『すごい、ちゃんとしていますね』『責任感ありますね』と褒められることがあって。それがなんだか自分のこととは思えず『いや、日本人なだけなんですけど…』と思ったときに、じゃあなんで自分はこうなったんだろう?と考えたくなったのです」

© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour
シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中
晴の輔 原風景がやっぱり小学校時代だった!
山崎「そうなのです」


エイジプトでの上映
© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour

フィンランドでの上映_1
© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour

フィンランドでの上映_2
© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour
山崎「どの国で上映しても、特に欧米では『自分たちのやり方とまったく違う』という反応が多く見られます。日本ではもちろん勉強もしますが『生活面も教育の一部』として重視されています。私の映画では特に、生活の中での学びや、集団・コミュニティの中で自分の役割を果たし、他者の役に立つことを学んでいく姿を描いています。そして、それに伴う責任やプレッシャーについても考えさせられる内容になっています。しかし、そもそも学校は「勉強をする場所」と考えられている欧米では、このような感覚はあまり一般的ではありません。また、欧米では個人と集団を明確に分けて捉える傾向があり、日本のように『生活も教育の一環である』とする考え方とは、根本的に異なっているのです」

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シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中
晴の輔 チラシに書かれていることなのですけど「6歳児は、世界のどこでも同じようだけれど、12歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている」って、そういうことなのかなと思いました。
昨年シネスイッチ銀座で公開された際の『小学校〜それは小さな社会〜』のチラシ
山崎「ざっくりとした印象ですが、私の中では、世界中どこへ行っても5〜6歳くらいの子どもたちはだいたい似ていて、自由で伸び伸びしているように感じます。ところが、日本では小学校を卒業する頃の6年生、つまり12歳の子どもたちには『本当に日本人だな』と思わせられるような独特の雰囲気があります。私は30校ほどの小学校を訪れて撮影先を決めたのですが、どの学校に行っても校舎の造りがほとんど同じで、まるで共通の文化がそこにあるようでした。そうした体験を通して、小学校こそが日本の文化を形づくっている場所なのだと強く感じるようになりました」
晴の輔 東京の世田谷区立塚戸小学校で150日間、およそ一年かけて700時間ほど撮影されました。子どもの成長を感じるわけです。それと同時に先生方の苦悩と成長も、目の当たりにされましたか?

© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour
シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中
山崎「苦悩ばかりではありませんが、一つの学校が抱える課題として、先生方を取り巻く環境は『ブラック』と言われるほど過酷で、本当に大変な状況です。実際、教師になりたいという人が減っているというニュースもよく耳にします。それでも、教師という仕事は、やりがいや生きがいを感じられる、本当に素晴らしい職業です。子どもたちの成長を見守り、導いていく。その意義を社会に伝えることで、先生方の負担をどう軽減していくか、みんなで考えるきっかけになればと思っています。そして、感謝や尊敬の気持ちが向けられる、そんな素敵な職業としての教師に、もっと光を当てたいという思いもありますね」


© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour

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シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中
山崎「誰もがかつては小学生だったはずですが、大人になるにつれて時間が経ち、それぞれの立場や環境に置かれる中で、改めてその頃のことを深く考える機会はあまりないのではないかと思います。ドキュメンタリーというと、少しかたい印象を持たれるかもしれませんが、子どもたちが成長していく過程で生まれる、さまざまな感情の揺れやドラマに触れていただけたら嬉しいです」
【どっちだ!?晴の輔】
毎週スタッフから二者択一のお題が出ます。私がそれを選ぶというコーナーです。
晴の輔さんが、今回の山崎エマさんの作品をもう一度見るなら・・・
・改めて映画館で見たい
それとも
・小学校の教室で見たい
どっちだ!?晴の輔
あぁ、小学校の教室で見たら、また味わいが違うかも…映画館か?教室か?…えー、あ、決めました!
「小学校の教室で見たい」

今日は「東京・世田谷区の公立小学校での学びが世界から注目されている!?」というトピックスでお届けしました。今の日本は教育のマイナス面を突く記事が多いような気がします。でもね、日本の公立小学校の当たり前が世界から見ると素晴らしいのです!ということを映画にしてくださったエマさんの実行力。この実行力はエマさん自身が、日本の学校・アメリカの大学と、多様な学びを経験されているからだと感じました
そんな「山崎エマさん」に

短編作品、『Instruments of a Beating Heart』は、YouTubeでご覧いただくことが出来ます。そして、映画『小学校〜それは小さな 社会〜』は、全国の映画館で上映中です。詳細は、コチラの公式サイトでご確認ください。
それでは次回もお会いしましょう。立川晴の輔でした。

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