あなたは、熊本県の阿蘇地域と聞いて、どんなイメージを持っていますか?
今日の舞台は、熊本県阿蘇郡南小国町。九州のほぼ中央、阿蘇外輪山のふもとにあり「露天風呂巡り」の入湯手形を発案したことで、全国的に知られるようになった「黒川温泉」をはじめとする温泉地です。阿蘇の豊かな自然は「世界ジオパーク」や「世界農業遺産」に認定されています。阿蘇山といえば、噴火によってできた大きく、丸く凹んだ地形のカルデラが有名です。阿蘇山は「日本の山として、最初に外国の文献に載った山」らしいです。あの辺りの、広大な草原の景色は、皆さんご存知です?僕は一度行ったことがあります。まあ見事な景色。鮮やかな緑色が「わーっ」と終わりなく広がっていて、よく見ると、放牧されている牛や馬がぽつんぽつんといて、のんびりと草を食べている。日本とは思えないほどの、雄大な景色。その草原は何と千年の歴史があります。そんな大自然で育てられた牛が「あか牛」。ちなみに「あか牛」の生産量は、熊本県が日本一だそうです。あか牛の放牧は阿蘇の風景に、なくてはならないものと言われています。そんな中「黒川温泉旅館組合」が、この「あか牛」を取り巻く地域資源を、次の100年につなごうと「つぐもプロジェクト」というものをスタートさせて話題になっています。一体どんなプロジェクトなのか
「黒川温泉旅館組合」の事務局長、北山元さんにお話し伺います。
晴の輔 「つぐもプロジェクト」とはどのようなコンセプトなのでしょう?
北山「黒川温泉がある熊本県阿蘇郡南小国町は『あか牛』を中心とした『3つの地域資源の循環』がありまして、一つは、千年以上前から人の手で野焼きなどをして、維持してきた、阿蘇の広大な草原の循環があります。その草原の草を食べて放牧した『あか牛』。その牛の、うんちを、たい肥にして野菜を育て、お客様に提供する「環境の保全」と「農業畜産」の両立をした循環型農法っていうものもあります。黒川温泉は、江戸時代300年前から旅館としてずっと続いてきておりまして、人の循環を作ってまいりました。このような『三つの循環』を『あか牛』を中心にして、また次の100年に継いで行こうというのがこの『つぐもプロジェクト』になります。」
晴の輔 景色と農業と観光!「あか牛」が軸!「つぐもプロジェクト」の名前の由来は?
北山「これは『造語』でして、「つぐ」は、これから100年継いで行くの『つぐ』。『も』は牛の鳴き声の『も~』です。『つぐも~』『つぐも』となりました。(笑)」
晴の輔 言葉の響きが「docomo」みたいな感じでちょっと携帯電話会社的な感じがしました。
北山「黒川温泉にある、旅館、飲食店に、ご協力いただいて『あか牛ファンド』をやっています。対象の施設で『あか牛の料理』を食べていただくと、一食に付き50円が寄付・基金となります。その積み立てたお金で、南小国町の『あか牛PR』活動、イベント、あるいは『あか牛』を購入する原資にするなどですね。お客様には黒川温泉に来て『あか牛メニュー』を食べていただければ『つぐもプロジェクト』に参加を頂けることになります。」
でも、継ぐこと考えると100年先だったら「100円」にしてしまえば?と一瞬思ってしまいました。
北山「(笑)100年継いでいくためには、地域の協力が必要なので、お店やお客様の、大きな負担にならない、金額設定にさせていただいています。」
晴の輔 南小国町にとって「あか牛」とはどんな存在なのですか?
北山「大人になって、食用になるまで育てて、地域の飲食店・旅館に卸すことを、目的にしているので『地域で育ったものを、地域で食べていただく』、この仕組みのためには、非常に大きな、これからの未来につながる存在であると思っています。」
晴の輔 「南小国町で生まれ育った牛ですよ」と堂々と言いたい。
北山「そうです。特に旅館では、その一言があるだけで、価値が上がります。それが阿蘇の草原を守ることにもつながります。それが伝えられるのは、非常に良いことであると思っています。」
晴の輔 地元である、阿蘇の恵み、生態系を崩さないように、地元の人に知ってもらいたい。「阿蘇周辺の自然の恵みに、感謝しているよ!」そんな気持ちから「つぐもプロジェクト」になっていったのだろうと感じます。
北山「この景観こそが、私たちの価値であるという『アイデンティティ』を持っております。その中の派生した取り組みとして、この『つぐもプロジェクト』が始まったのですね。」
晴の輔 なるほど。
「どっちだ!?晴の輔」。
毎週スタッフから二者択一のお題が出ます。私がそれを選ぶというコーナーでございます。
『温泉に浸かりたい』
それとも
『あか牛料理を食べたい』
どっちだ!?晴の輔」
えっ!温泉か料理か?どっちか選べ?って俺は…
決めました!
「温泉に浸かって、あか牛料理を食べたい」
そりゃそうでしょ、両方やるよ!せっかく行ったのだし「あか牛」を食べる事によって100年先に繋がるのだからね。「あか牛料理」一食でご50円の基金ですよ!50円!
今日は「地域資源を次の100年に繋ぐプロジェクト!熊本県・南小国町の黒川温泉が取り組む『つぐもプロジェクト』とは?」というトピックスでお届けしました。あか牛を中心に酪農、農業、温泉施設や飲食などの観光業が、全てが繋がっている町。それを100年先につなげる取り組みですよ。僕なんか、5年先のことも考えてないですからね。100年後の南小国町の景色を見てみたい!
そんな「つぐもプロジェクト」に
それではまた、次回もお会いしましょう!立川晴の輔でした。
-WEB版こぼれ話し1-
晴の輔 このプロジェクトをはじめたきっかけは?
北山「もともと南小国町出身である旅館の代表と、米農家の40代の同級生二人が、10年くらい前から、このような取り組みを、次世代にどう残そうか?という想いを、ずっともっており、その取り組みは、小さくても地域の雇用や、活性化につながると感じていました。それが2020年ようやく形になるチャンスがきたので、お客様に提供するという流れができました。
晴の輔 その二人が「赤い糸」で結ばれていたのですね。(笑)地元の未来を見据えたプロジェクト。
北山「この町では、お二人とも中心人物で、青年部時代から取り組んでいて、つながりました。」
-WEB版こぼれ話し2-
北山「昔は、農家では必ず『あか牛』を1頭は飼っていて、田畑の作業のパートナーとして飼われていた身近な存在だったようです。その後、農業が厳しくなり専業農家が減るにつれてあか牛の数も減っていきました。現在は町内に『あか牛農家』が20件程度いらっしゃいまして、ほとんどが、仔牛まで育てて販売する『繁殖農家』で、仔牛をお肉になるまで数年間育てる『肥育農家』はほとんどいません。ただ、そうなりますと地域に『お肉』が残りません。どこで飼育されてきたのか分からないことになりますので、継続する、繋げるためには、町で育てることが必要です。繁殖農家から肥育農家への挑戦でもあります。
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