高田文夫のおもひでコロコロ

2022.01.17

第20回『東京の風』

年明けバタバタしちゃって資料の整理もまゝならず、今回は「文夫の”文”の”雑文”」篇という訳で   それにしてもコロナ・オミクロン・豪雪・津波と天変地異な日常に驚天動地。

”浅草に エノケン六波が やってくる”

どうです?”エノケン・ロッパ”と並び称された喜劇王です。古川ロッパと第6波をひっかけた東京喜劇な一句じゃありませんか。ロッパと6波に気がついたのは私くらいのものですよ。全然不謹慎じゃありませんよ。

東京の演芸好きが諸手をあげて喜んだのは「笑点」三平降板と桂宮治の抜てき。セールスマン時代に その”べしゃり”(喋り)で一時代を築き腕を磨いて落語界へ入って来た”戸越銀座”のスターです。ここには あのロックな”CHAR”も居ます。「戸越銀座」いよいよ大ブレークです。

年賀状の片隅に「ブログ読んでます」のメモやら ライブ、落語会のロビーなどで「高田さん、ブログ楽しみです。我々には勉強になりすぎて。みんなから”センセー”と芸界で言われている意味が分りました」など言われ このブログもやり始めて良かったなと思う次第。下のイラストは祝レギュラーの宮治イラスト。いつもの佐野文二郎クンが見事に描いてくれてます。1月17日発売号の「週刊ポスト」です。

このブログと共に私の”文”を読みたい人は この「週刊ポスト」(1頁 毎週)、そしてクセが強い「月刊HANADA」(4頁 毎月)の中で”月刊TAKADA”を長いこと連載しております。あの雑誌は ちょっと右に寄っているんじゃないかとお思いの貴方、連載陣の名前を見て下さいよ。世の中をバカにしたような高田文夫・みうらじゅん・爆笑問題・村西とおる、そして なべおさみという強力なんだか弱力なのかよく分らない布陣です。

ラジオの交通情報でよく聞く「美女木(びじょぎ)ジャンクション」って何処にあるんだろうと思ってたら東京の隣 埼玉は戸田にあるんだネ。1月15日の「アド街ック天国」で談春も説明してた。「美女が来た~ッ」って村人が大さわぎしたから「美女”来”た」で「美女木」になったんだって。談春はガキの頃からサングラスにヒゲを描き戸田ボート(競艇)に行っていた。志らくとの人生のバクチは どっちが勝つんだろう。

3年ぶりになるのか?志の輔の1か月間渋谷PARCO劇場公演。また聞ける感動の「大河への道」である。志の輔も いっぱいの客前でやれる喜びをしみじみかみしめていた。日本地図を歩いて作ってしまった伊能忠敬のこの噺、いつきいてもジーンとしてしまう。これに感銘を受けた俳優・中井貴一がなんと映画化。中井貴一、松山ケンイチ、北川景子。松竹。5月20日全国公開。

我が「いち・にの・さんぽ会」メンバー、わたなべ君がプロデューサー補をつとめた(補が情けない)映画「前科者」が1月28日から公開。有村架純、磯村勇斗、森田剛と並ぶ中に マキタスポーツが いしだ壱成のようにハゲちらかした刑事役で出ていていい味。ラジオの”東京ポッド”が時間帯が遅くなっちゃったので最近きいてない。

色んな本を読んでいたら「いまラジオで一番東京の匂いがするのは高田文夫」とあったのが嬉しい。少年時代 私が最も憧れた喋り手が青島幸男、永六輔、大橋巨泉であった。みごとに皆な東京の下町で早稲田大学。私は逆を行く渋谷生まれ世田谷育ち、山の手で日芸。”のてっこ”の東京風味も いいものだ。談志は晩年「落語は江戸の風が吹いてなければいけない」と断言したが、いま私は言える。「ラジオは東京の風が吹いてなければいけない」。落語もラジオも偉大なるローカル文化なのだ。

正月に1時間ニッポン放送で放送していた欽ちゃん(萩本欽一)とオードリー若林の「キンワカ60分」が とてもよかった。遠慮せずどんどんフトコロに入っていく若林の東京っ子独特の人なつっこさがいい。「コント55号のネタ 僕らに下さいよ、二郎さんも春日も一緒でしょ」「ちがうんだーよ」欽ちゃんが何故野球へ行ったか、何故大学へ行ったかなど若林しかきき出せない話だった。終わって若林が ひとりしゃべりの感想で「欽ちゃんと喋ってたら近所のおじさんみたいで良かったなあ。喋ってると なんかツキジ(築地)とか八丁堀の風景がバックに浮かんでくるのよ」・・・町の子(築地)ならではの雑感。田舎っぺにはこんな言葉は出てこないだろう。地方出身者をバカにしたと怒る人も居るのだろうが、住みにくくなってしまった東京っ子の町の人間としての意地もある。TVつけりゃ みーんな関西弁 あ~ゝ。やっぱり薩長がいけないんだ。江戸を、東京を返せ。

ビールもラジオも舞台も生が一番。舞台へ出ると まだまだ結構うけるし、なによりお客様が喜んでくれるので今年も機会があれば出ようと思う。我々はお女郎さんと一緒で「人に好かれて なんぼ」の商売。前売りが始まったものでは3月5日(土)19時 江戸東京博物館大ホールにて「ロケット団 定例集会 其の104」にてスペシャルゲストとしてこの私が出演します。なかなか着火しない湿ったロケットに いつ火がつくのか。3月16日(水)17時30分 銀座ブロッサム「立川志らく独演会」に私がゲスト出演です。日大問題から笑点問題、立川流問題に恵問題まできっと語られることでしょう。

そうそう 野末陳平翁が90才 卆寿となりました。黒メガネの相方 野坂昭如も今はなく・・・最後の友人 立川談志も没10年。私の相方 景山民夫のイラストは今月末発売の「月刊HANADA」に描かれています。

 

2021年1月17日

高田文夫

 

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筆者
  • 高田 文夫
    高田 文夫
    高田 文夫

    高田 文夫

    1948年渋谷区生まれ、世田谷育ち。日本大学芸術学部放送学科在学中は落語研究会に所属。卒業と同時に放送作家の道を歩む。「ビートたけしのオールナイトニッポン」「オレたちひょうきん族」「気分はパラダイス」など数々のヒット番組を生む。その一方で昭和58年に立川談志の立川流に入門、立川藤志楼を名乗り、'88年に真打昇進をはたす。1989年からスタートした「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」は4半世紀以上経つも全くもって衰えを知らず。