高田文夫のおもひでコロコロ

2021.12.23

第17回『銀幕同窓会』

すいません。なんだかんだ忙しくて3週間もあいちゃったみたいで・・・。この連載やってるの皆様覚えてました?冗談じゃないよ、ネットフリックス映画「浅草キッド」を劇団ひとりが作っちゃうから びた一文、出演もなんにもしてねぇのにナイツの塙と私が宣伝に駆り出されちゃって あっちこっちでやたら「深見千三郎」「ビートきよし」の話だよ。もうクッタクタ。捕鯨船で煮込まれるのかと思ったよ。事情をよく分ってない編集者なんて「塙さんとか高田センセよく喋ってますけど”浅草キッド”って塙さんが主役なんですか、ン?原作ってもしかして高田センセ?」違うっつーの。まさにそんな勢い。いい作品に仕上がってますので勇気を出して見てやって下さい。

3週間の間に色んな事がありすぎたでしょ。錦鯉のM-1も嬉しいけど、もっと嬉しい三平「笑点」降板。それより嬉しいヤクルト20年ぶりの日本一ですよ。20年ぶりときいて ふと気がついた逸品があった。あれはたしか2001年の3月のこと。う  ん 想い出すなあ。大学が江古田にあったもので安くて沢山見られる名画座へ行くなら池袋の文芸坐。よくお世話になったものだが 当時の諸事情やら金銭的な問題で1997年に残念なことに閉館となった。なんとかならないものか。当時の永田稔支配人と色々考えつくし あれこれ手も打った。そして なんとなんと2000年の暮に新文芸坐として復活する事になったのだ。名画座が奇跡的に帰ってくる、この事を映画ファンそしてマスコミに知らせなければいけない。私は「銀幕同窓会」として3月の毎週末、同世代の男達に声をかけ1時間私との映画トークとゲストが選んでオールナイト上映する3本を選出した。ひと一倍映画を愛し 私のひと声で意気に感じて駆けつけてくれる粋な連中が5人。もう二度と揃わない夢の夢のオールスターだった。折角毎週すごい人が来てくれるのだから何か記念になるものを自分の為に残そうと思った。そうだ!!映画だからカチンコだ。こうして集めた私のお宝中のお宝、私が所有するものの中で最も大切なものかもしれない。カチンコにゲスト達のサインを毎週集め 記念だからと好意で新文芸坐に預けた。新文芸坐の方達も大切にロビーに飾ってくれたりしてたが時はどんどん流れ……ヤクルトの20年で「アッそうだ あれもたしか20年」と今回想い出し問い合わせたらキチンと残しておいてくれた。万が一アルバイトの人かなんかが意味も分らずポイッと捨ててたら・・・と思うとぞっとする。それでは御覧下さい。高田のお宝カチンコです。

ヨダレが出そうでしょ。私の文字でタイトル「銀幕同窓会」。黄金の5人とも言うべき 右から「あの高田文夫」すぐ隣に勿論「ビートたけし」その隣のサインだけで、もう泣けてきちゃいます。「大瀧詠一」とあるのです。もう二度と書いてもらえないサインです。そして私がいつも「あの」と書くものですから洒落っ気のあるジュリーは「この沢田研二」としたためました(余談ですが私と全く同じ誕生日です)。アルファベットで気取って書いたのは「イッセー尾形」です。この5人の中に入って書いては・・・価値が下がるかな・・・と気をつかってCAMERAの処にサインを書いたのは私と同業(景山民夫の幼なじみ)の高平哲郎という訳です。毎週土曜深夜これだけの方達と1ヶ月5週過ごしたのだから私も果報者です。トークのあとは永田支配人とゲストと私で毎週近くの小さな寿司屋へ行って呑み語りあいました。あそこの座布団こそジュリーが大瀧さんがたけしが・・・皆坐ったのだから超逸品かもしれません。

記念にハイライトシーンをまとめた本が下のものです。天下のジュリーには気をつかって文字として記録には残さないよう配慮しました。サブタイトルも渋く「高田文夫と映画育ちの団塊者たち」(白夜書房)としました。出版用に追加で中野翠、高橋春男(元々は映写技師で当時は人気漫画家)とも対談しております。

少しだけサービスに記しておきますとイッセー尾形が選んだ「僕の喜劇映画ベスト3」は「幕末太陽伝」(フランキー堺の超名作)「にっぽん泥棒物語」(三國連太郎)「吹けば飛ぶよな男だが」(なべおさみ)たけし氏には私の方から「我がワースト3を選んでくれ」と言ったらみごとに選んできてくれました。自分がからんだ映画で ひどかったもの3本である。「夏の秘密」(82年アイドルグループ パンジー主演のもの。ラーメン屋のおやじで出演)「コミック雑誌なんかいらない」(内田裕也)「みんな~やってるか!」(ビートたけし監督)

話があっちゃこっちゃへ行ってすいませんネ。20年ぶりに大切なものが帰ってきたのでこういう話になりました。次回はまた年内にすぐ。タイトルが「おもひでコロコロ」だからまあ仕方がないか。次回は私の作詞作品ばかり集めた「夜のノーヒットスタジオ」になります。

 

2021年12月23日

高田文夫

  • ビバリーHP導線
筆者
  • 高田 文夫
    高田 文夫
    高田 文夫

    高田 文夫

    1948年渋谷区生まれ、世田谷育ち。日本大学芸術学部放送学科在学中は落語研究会に所属。卒業と同時に放送作家の道を歩む。「ビートたけしのオールナイトニッポン」「オレたちひょうきん族」「気分はパラダイス」など数々のヒット番組を生む。その一方で昭和58年に立川談志の立川流に入門、立川藤志楼を名乗り、'88年に真打昇進をはたす。1989年からスタートした「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」は4半世紀以上経つも全くもって衰えを知らず。