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2026.03.06

ZEROCO楠本修二郎さんに聞く、食材の鮮度を長期間高品質に保つことができる世界初の技術。

ZEROCO株式会社、代表取締役社長の楠本修二郎さん登場。

長期保存で生鮮食品が美味しくなる、

冷蔵庫でもない、冷凍庫でもない、『ZEROCO』とは、

東北で古くから用いられる生活の知恵「雪下野菜」からヒントを得て、

独自の技術により低温・高湿(温度約0度、湿度100%)の庫内環境を実現した技術について

開発のエピソードはもちろん、『ZEROCO』が目指す食の未来についても伺いました。

 

※ 下にスクロールしていただくと、放送内容をご覧いただけます。

 

ZEROCO HP コチラ

 

「ZEROCO」って何?

「ZEROCO」は世界で初めて実現した0度で保管する技術。

自分たちはこれを、冷蔵でも冷凍でもない“第3の保管技術”と呼んでいる。

一般的な冷蔵庫はプラスの温度帯、

冷凍庫はマイナス10度以下の温度帯だが、

そのどちらでもない“徹底した0度”を、

温度ムラなく安定して保てるのが大きな特徴。

さらにもう一つの特徴が、庫内の湿度を

ほぼ100%に近い状態で安定させること。

0度で高湿度、しかも温度や湿度のムラがない環境をつくることで、

食材や食品の状態をとても良く保つことができる。

この発想のヒントになったのが、

日本の雪国に昔からある「雪下野菜」。

野菜を雪の下で保存すると、

長く持つだけでなく、甘みが増すことが知られている。

日本の雪は湿度が高いため、雪の中の温度はマイナスになりにくく、

自然と0度近辺が保たれる。

凍らないので細胞が壊れず、食材の品質を守れる。

自分は東日本大震災をきっかけに「東の食の会」を仲間と立ち上げ、

東北の食文化を世界へ発信する活動をしてきた。

その中で農業、漁業からしっかり「食」を支えないといけないという

強い使命感のような気持ちが強く芽生えたことが

「ZEROCO」を開発する原点になっている。

 

 

鮮度だけでなく美味しさも引き出す「ZEROCO」 

「ZEROCO」は、0度・高湿度という環境を安定して作り出すことで、

食材の鮮度を長期間高品質に保つことができる世界初の技術。

例えばパプリカは、ZEROCOで3か月ほど保存することができるが、

食べてみると新鮮そのもの。しかも甘みが増したように感じられ、

えぐみも少なくなっている。

つまり、ただ長持ちするだけではなく、

食材そのものが美味しくなっていくのが大きな特徴。

発想のもとには雪下野菜の考え方があるが、

重要なのが湿度の質の違い。

雪下野菜の場合は湿度が高い反面、水分が付着してしまうため、

取り出すとすぐに菌が繁殖して劣化してしまう。

一方、ZEROCOの庫内は高湿度でありながら

ミストが発生しない状態を保っている。

中に入ると、しっとりしながらもさらっとした環境で、結露も起きない。

水分が食材に付着しないため、

菌の繁殖を防ぎながら保存できるのがポイント。

設備としては飲食店のウォークイン冷蔵庫のような形で、

収穫した野菜を段ボールのまま入れるだけという非常にシンプルな運用。

ZEROCOで保存したニンジンやジャガイモを使うと、

カレーやシチューなど料理そのものの味わいも良くなる。

自分よりも先輩の研究者の方々が長年研究を続けてきた技術で、

7~8年前から三つ星レストランなどでも使われ始め、

自分もこの事業に参画することになった。

ZEROCOで保存した食材

 

ZEROCO開発の苦労

世界初の技術であるZEROCOで一番難しいのは、

徹底した0度のコントロール。

さらに湿度を飽和状態、つまりミストが発生する手前で止め、

相対湿度を90%台に安定して保つこと。

この温度と湿度の安定性を保つことが非常に高度な技術。

自分たちはこの技術を大型化し、生産地の近くに

約400坪規模の0度保管庫を実現。

400坪の空間全体を温度ムラなく0度に保ち、

さらに湿度も均一に維持するのはとても難しい。

そこを安定させ、モニタリングできる仕組みが技術の核になっている。

チームには外食産業の自分のほか、

京都の料亭「菊乃井」の常務や農業・流通の専門家など、

現場を知るメンバーが集まっている。

普及を目指すため設備の外側は一般的な冷凍庫パネルを使い、

内部の冷却や加湿、循環の仕組みを独自技術として特許化。

保存できる食材は野菜や果物、肉、魚などほとんどの食品だが、

海ぶどうのように低温に弱いものは不向き。

魚は内臓を取らず丸のまま数週間保存でき、熟成して旨味が増す。

また一度ZEROCOで保存してから冷凍すると、

氷結晶が大きくならずドリップも出にくい。

大阪・関西万博ではその果物を使ったスムージーを提供し

砂糖なしでも驚くほど美味しいと好評だった。

 

 

料理も世界へ届けるZEROCOの可能性

ZEROCOの技術でできることは大きく二つある。

ひとつは、新鮮な食材をそのまま長期間保存できること。

もうひとつは、料理そのものを世界に届けられる可能性を持っていること。

例えば自分が作った料理を一度ZEROCOに入れて予備冷却し、

そのあと通常の冷凍庫で冷凍して海外へ送る。

すると、細胞が壊れない状態で保存できるので、

作った料理をほとんど加工せずそのまま世界中に届けることができる。

ある経済学者の方から「これは食のレコーディングですね」と言われたが、

これは音楽や映像が録音や録画によって世界中に広がったように、

食も作り手の料理をそのまま世界に届けられる可能性があるという意味。

これまでの食品は、一度加工して食品会社が整え直してから

流通させる必要があったが、

ZEROCOならそのプロセスを大きく変えられるかもしれない。

自分は日本の食をもっと輸出産業として広げていきたいと思っているし、

同時に世界のフードロスをゼロにすることも大きな目標。

今はまず農業や漁業を支えるために大型のZEROCOを生産地に設置し、

さらにZEROCOのトラックや輸送コンテナの開発も進めている。

 

 

第一次産業の未来を変えるZEROCOの役割

農業や漁業という第一次産業は、人類の歴史の中でずっと

「収穫と同時に始まる腐敗や劣化とどう向き合うか」

という戦いを続けてきた。

ZEROCOによって食材を長期間キープできるようになると、

在庫を持つことができ、出荷のタイミングを調整しながら、

売りたい価格で売りたい場所に届けることができる農業に変わっていく。

今、日本の農業は担い手不足という大きな課題を抱えている。

だからこそ若い人たちが「農業で起業しよう」と思える

環境を作ることが大切だと自分は思っている。

例えば経済を学んだ若い人が自ら畑を耕し、在庫を持ち、

マーケティングやブランディングをしながら

世界に向けて売り出していく。

そんな農業の形を目指していきたい。

自分の作ったものが世界中で「おいしい」と評価されるというのは、

とても健全で夢のある目標だと思う。

もちろん国内の食料自給率を高めることも大切だが、

付加価値を高めた海外展開も同時に考えるべき。

農業や漁業だけでなく、流通や加工、飲食、ホテル、

介護施設、病院まで、食産業は非常に幅広い分野に広がっている。

これまで分業で動いてきた産業が、これからは一体のチームとして連携し、

日本の食文化を世界へ届けていく。

そのような未来を作っていきたい。

 

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