08月30日山形県 上山市(かみのやまし)

街歩き「上山編」

戦国時代の武将、最上氏の最南端の城塞として、
いくつもの攻防の舞台となった上山城。
江戸時代に入り、土岐氏の治政下で城下町まで含めた施設が整い、
壮麗な城郭は「羽州の名城」として広く知れ渡りました。
月岡・天神森にそびえることから、
「月岡城」とも呼ばれています。
現在は堀跡や石垣が当時の姿をとどめています。
三層の天守閣は、取り壊された後、290年ぶりに再建されたもの。
内部は鉄筋コンクリートの作りでエレベーターが設置され、
上山の文化や歴史を知る資料館となっています。

「2階と3階は、上山城の領主の歴史や、古代の土器などが展示されているんだ。
  うわ〜、この大きな銅像は何? 出羽嶽?
   へえ〜、関脇まで昇進した上山出身のお相撲さんなんだ。
     凄い、身長は2m4cm、体重180kgもあったのねえ」

最上階からは、上山の町並み、さらに蔵王連峰を一望。
春にはシダレザクラとソメイヨシノが織りなす、ピンクのじゅうたんも
見応え充分なんだとか。

かつては数々のいくさの舞台となった城塞が、
今では町の平和を静かに見守っています。

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近代短歌史に輝かしい業績を残した歌人・斎藤茂吉。
その生家は上山北部、金瓶の地にあります。
茂吉は医師・歌人として大成した後も、
ふるさとの自然を忘れず、多くの秀歌を残してきました。

「斎藤茂吉記念館」は、茂吉の生家の近く、
東に蔵王連峰を仰ぐ景勝地「みゆき公園」のなかに、
1968年、昭和43年にオープン。
年間を通して、多くの茂吉ファンが訪れます。

建物自体がアートを感じさせる記念館の中へ。

「70歳で斉藤茂吉が亡くなるまでの業績や時代の変遷を
  わかりやすく紹介しているのね。
   茂吉の遺品も、いろいろ展示されてる」

終焉の時を迎えるまで、この地を愛した茂吉。
季節がすすめば、辺り一面は、蔵王の山並みが紅葉に色付き、
ひと足早い雪景色もまた格別です。

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上山の民俗行事「カセ鳥」。
毎年2月11日、ケンダイというミノをかぶった若者が、
見物客に祝いの水をかけられながら練り歩く、350年もの歴史を誇るお祭りです。
そのカセ鳥をモチーフにしたご当地グルメが、
「長好亭みさき」の「カセ鳥ラーメン」。

昔ながらの日本家屋を思わせる内装で、まるで田舎に遊びに行った気分です。

「一体どんなラーメンなんだろう。…出てきた、出てきた。
  へえ〜、スープは透明で、凄く上品な見た目。
   お味はと‥
    ん〜、塩麹の鶏清湯スープが、さっぱりしていて美味しい。
     麺は細めで、ストレートなのね。」

チャーシューも、塩麹に漬け込んだ鶏のもも肉を焼いたもの。
やわらかくて、とってもジューシーです。

ヘルシーな味わいは、女性にも大人気。
伝統行事から生まれた新名物は、知る人ぞ知る逸品です。


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自然に満ちた市民のいこいの場所、「上山市民公園」。
春から秋にかけて、季節の草花が花壇いっぱいに広がります。
また季節を通してグラウンドゴルフやゲートボールなど、
様々なスポーツも盛んに行われています。
公園のシンボルは、蒸気機関車『C58』。
かつて地球と月の距離を2往復半も走ったというパワフルなSLです。

この公園で、毎年9月に開催されるのが、「全国かかし祭り」。
1971年、昭和46年から毎年開かれ、全国各地から様々なかかしが参加します。
世相を反映したものや人気のキャラクター、スポーツ選手をかたどったもの、
伝統的なものなど、500を超える「かかし」が、会場いっぱいに展示されます。

「へえ、アニメのヒーローでしょ、芸能人をモチーフにしたものでしょ、
  それに上山の名物も、かかしになってる。
   ゴージャスなものから、思わず笑っちゃうものまで、
    本当にいろいろなかかしがあるのね」

どこか懐かしく、斬新なアイデアが詰まったかかしは、
老若男女が楽しめる秋の風物詩。
自然豊かな上山の秋に彩りを添えています。

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<街歩きパートの曲紹介>

上山の町歩きと併せてお届けした曲は‥

  M1‥スティング、「ホエン・ウィー・ダンス」
  M2‥オリビア・ニュートンジョン&デヴィッド・フォスター、
      「ベスト・オブ・ミー」
  M3‥ヴァネッサ・カールトン、「サウザンド・マイルズ」
  M4‥ニーナ・マドゥ、「ジャスト・キャント・ゲット・イナフ」
  M5‥エンヤ、「オリノコ・フロウ」
  M6‥エルトン・ジョン、「ユア・ソング」でした。


<旬彩季候〜味の歳時記>

四季、時とともに移りゆく春夏秋冬。
そして、美しい気候風土から生まれる味覚。
日本の旬のお話を、季節の歌とともにお届けする『旬彩季候〜味の歳時記〜』。
今回、注目する旬は…『パプリカ』

日本は古来より、海の幸、山の幸に恵まれています。
そして、季節の節目ごとに、ささやかな御馳走をしつらえて、
年中行事を営んできました。
私たちは、食べることによって健康を維持し、成長していきますが、
その原点は旬の食材を知り、上手に摂ることにあります。
出始めの「走り」、最盛期の「盛り」、そろそろ終わりになる「名残り」。
三つの旬は、初物を喜び、旨みを味わい、
移りゆく季節の名残りを惜しむ…という、日本人の心の表われ。
季節にそった“食の知恵”を知ることで、食生活を豊かなものにしたいですね。
今回、ご紹介する旬彩気候は、『パプリカ』。
赤、オレンジ、黄色など色鮮やかで、肉厚で、甘みがある…いわば大型のピーマン。
実際ピーマンの一種であり、
また“ししとう”(獅子唐辛子)などと同じ、唐辛子の仲間です。
原産は南アメリカ。
コロンブスが新大陸発見とともにヨーロッパへ持ち帰った唐辛子を
ハンガリーで品種改良して誕生。
日本には16世紀、ポルトガル人によって伝えられました。
1990年代に輸入解禁になって以来、輸入量が増加。
今では韓国、オランダ、ニュージーランドからの輸入が9割近くを占めていて、
1年中出回っています。
残り1割ほどが国産で、今の時期収穫されるものは「名残り」です。
栄養豊富で、ビタミンCはピーマンのおよそ2倍、カロテンはおよそ7倍とも。
ビタミンCを熱や酸化から守る働きを持つので、加熱調理しても失われにくく、
さらに、通称“若返りのビタミン”と呼ばれるビタミンEも含まれるので…
健康と美容のためにも、パプリカを積極的に食べるようにしたいですね。

パプリカは特徴である色味と甘みを生かして、
炒め物、焼き物、サラダにマリネ、
また、輪切りにして目玉焼きなどの型にしたり…色々な料理に使えます。
油と相性が良いですが、色と歯触りを生かすために加熱は短時間にしましょう。

    M1‥EPO、「音楽のような風」
    M2‥井上陽水・安全地帯、「夏の終わりのハーモニー」