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09月06日山口県 長門市

街歩き「長門」

JR山陰本線「長門古市駅」から車で北へ向かっておよそ20分。
日本海に面した宇津賀地域の北の端に、
「龍宮」と呼ばれる場所があります。

この一帯は玄武岩でできていて、
岩の奥には龍宮があると言われてきました。

打ち寄せる波が岩の隙間に入り、岩の奥で圧縮された空気によって
海水が勢いよく噴出する様は、龍が天に向かって登るように見え、
「龍宮の潮吹」と呼ばれています。

その『龍宮の潮吹』のすぐそばにあるのが、
今年、アメリカのニュース専門放送局CNNが
“日本の最も美しい場所31選” に選んだという、
元乃隅稲成神社。

海をバックに赤い鳥居が高台に向かって123基 連なります。

「お賽銭箱は…一番最後の大きな鳥居の上にある、あれ!?
  あんなに高いところにお賽銭を投げるの?」

見事に賽銭を投げ上げると、願いが叶うのだとか。
お参りにも、熱が入ります。

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長州藩士・村田清風。
幕末の混乱する情勢の中、長州藩の財政改革を行い、
また教育の普及にも尽力しました。

JR長門市駅から、車で東へおよそ10分のところにある村田清風記念館。
村田清風と、同じく長州藩士で村田の影響を受けて改革を行った
周布政之助にまつわる資料があります。

長州藩が、収入源とするために生産に力を入れたもの、
それが防長四白、
4つの白い色の特産物、米、塩、紙、蝋を指します。
記念館にはこれらの生産用具や、生産方法なども展示されています。

そして、記念館のそばに残っているのが、
村田清風の生家で、19歳まで過ごした場所「三隅山荘」。

「落ち着いた佇まいの家。
  晩年の清風は、ここに青少年を集めて 教育にあたったのね」

吉田松陰も訪れたという「三隅山荘」。
耳をすませば、今も学びの声が聞こえてくるようです。

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日本海の豊富な海の幸が魅力の長門。
しかし、最も熱いのは「やきとり」なのです。
長門市は人口1万人あたりの焼き鳥店舗数が、日本トップクラス。
市内のあちこちで、やきとりの店を見かけます。

長門でやきとりがさかんに食べられるようになったのは、戦後のこと。
海産物で栄えていた長門では、鶏の餌となる魚のアラが豊富に手に入りました。
そこで、養鶏業も合わせて発展していったと言われ、
全国的にも珍しい、養鶏専門の協同組合が存在します。

「さて、長門自慢のやきとりをさっそくいただきましょう。
  テーブルには、ガーリックパウダーと七味唐辛子。
   んっ? これをつけて食べるのが長門流なのね。
    どれどれ…うん! パンチがきいた味で、これはビールがすすむわ」

おもしろいのは、やきとりの店なのに、
地元の新鮮な刺身や干物など、海の幸のメニューも豊富なこと。
長門の町で盛り上がっているのは、
あくまでも「やきとり屋」なのです。

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長門市内5箇所にある温泉郷。
古くから湯治場として有名な「俵山温泉」、
弘法大師が夢に見て発見されたと伝わる「湯免温泉」、
高台からの景色も楽しめる
「黄波戸温泉」と「油谷湾温泉」。
そして、「長門湯本温泉」。
JR長門市駅から車で南へ10分ほど。
音信川の両側に
大きな旅館や落ち着いた雰囲気の宿が並びます。

公衆浴場は2箇所。日帰り入浴できる宿や、公園の足湯など、
温泉の楽しみ方はたくさん。
「すこーし硫黄の香りのする、軽めのお湯ね。
 温泉気分がたっぷり味わえるわ」
湯上りの肌は、もちろんすべすべ。

「長門湯本温泉」の人気スイーツは、温泉まんじゅうではなく、
「吉冨幸進堂」のワッフル。
しっとりふわふわの生地に、あふれんばかりのカスタードクリーム。
素朴な味わいが、温泉街の雰囲気にぴったり。

冷たいワッフルを食べながら、川面を吹く風を感じてお散歩。
いい休日です。

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<街歩きパートの曲紹介>

長門の町歩きと併せてお届けした曲は‥

  M1‥アレサ・フランクリン、「小さな願い」
  M2‥マーヴィン・ゲイ、「ホワッツ・ゴーイン・オン」
  M3‥メリー・ウェルズ、「マイ・ガイ」
  M4‥スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ、
      「リアリー・ゴット・ア・ホールド・オン・ミー」
  M5‥テルマ・ヒューストン、「ジスウェイ」
    そして
  M6‥シャニース、「アイ・ラヴ・ユア・スマイル」でした。



<旬彩季候〜味の歳時記>

四季、時とともに移りゆく春夏秋冬。
そして、美しい気候風土から生まれる味覚。
日本の旬のお話を、季節の歌とともにお届けする『旬彩季候〜味の歳時記〜』。
今回、注目する旬は…『しま鯵』

日本は古来より、海の幸、山の幸に恵まれています。
そして、季節の節目ごとに、ささやかな御馳走をしつらえて、
年中行事を営んできました。
私たちは、食べることによって健康を維持し、成長していきますが、
その原点は旬の食材を知り、上手に摂ることにあります。
出始めの「走り」、最盛期の「盛り」、そろそろ終わりになる「名残り」。
三つの旬は、初物を喜び、旨みを味わい、
移りゆく季節の名残りを惜しむ…という、日本人の心の表われ。
季節にそった“食の知恵”を知ることで、食生活を豊かなものにしたいですね。
今回、ご紹介する旬彩気候は、『しま鯵』。
大衆魚として知られるアジの仲間ながら高級魚。
特に天然物は漁獲量が少ないので、真鯛以上の値が付くこともあります。

名前の由来は、体の側辺に黄色い縦の“縞”があること。
そして、もともと伊豆諸島や八丈島など“島”でよく獲れていたこと。
このような理由から、しま鯵と呼ばれるようになった、といわれます。

「アジという魚は“味”が良いことから、その名前が付いた」
という説があるほど万人に好まれていますが、
そんなアジの中で最も美味しい!と評判なのがしま鯵。
食感がよく、適度な脂と、特有の旨み成分“グルタミン酸”が多く含まれるので、
生食がベスト。刺身や寿司は絶品です。

また、直火で表面を軽〜く炙って、タタキにして食するのもGOODです

    M1‥稲垣潤一、「夏の行方」
    M2‥荒井由実、「あの日に帰りたい」