05月01日大阪府 大東市(だいとうし)

街歩き「大阪府大東市」

JR学研都市線の「野崎駅」前から
まっすぐ東に伸びる野崎参道商店街を歩くこと、およそ10分。

今から1300年ほど前に開かれたとされる寺、慈眼寺が見えてきます。
ご本尊は十一面観世音菩薩。「野崎観音」として親しまれています。

5月1日から8日までの8日間行われるのが、
有縁無縁のすべてのものに感謝のお経をささげる行事「野崎まいり」。

江戸時代から300年以上続き、大阪市内から参詣に訪れる様子は、
落語の「野崎詣り」や
江戸時代の浄瑠璃作者・近松半二による
「新版歌祭文」のお染久松の恋物語に描かれ、
昭和に入ると東海林太郎が歌う「野崎小唄」も人気を呼びました。

かつては、船で参詣する人も多く、
船でゆく人と、陸を歩く人が声をかけあい、それはそれは賑わったんだそう。

「ふうっ、綺麗な新緑の中、この石段を上れば…
  野崎観音さんをお参りできる…!
   境内から大勢の楽しそうな声が聞こえてくるわ、大道芸かしら」

今も、江戸時代と変わらぬ賑わいを見せる「野崎詣り」です。

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野崎観音のすぐ後ろにある、標高314.3mの飯盛山。
観音さんから およそ1時間で山頂へ到着するハイキングコースとして、
多くの人に親しまれています。

「つり橋があったり、小川のせせらぎがあったり、
  んーっ、緑の木々に囲まれて、いい気持ち」

額にうっすら汗をかいたら、そこは飯盛山の山頂です。

戦国時代、山頂には飯盛城がありました。
城主は、織田信長に先駆けて畿内一円を支配したと言われる三好長慶。
その規模は当時としてはかなりのもので、
全盛期は、南北に650m、東西に400mにもなる、大きな城でした。

今も石垣が各所に残り、
飯盛城跡の記念碑と、
南北朝時代にこのあたりで起こった
四條畷の戦いで自害した楠木正行の銅像が建っています。

晴れた日には、大東市街や大阪市内、兵庫の六甲山系も見渡せます。

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大東市では、市内の素晴らしい風景や、史跡、文化財、自然などを
「大東八景」として紹介しています。

その中のひとつ、
大東市北西部「御領地区」には、かつて水郷風景が広がり、
昭和40年頃まで農業用水路が地域の「道」としても使われていました。

今も水路の一部は「御領せせらぎ水路」として残り、
風情ある街並みとともに、「大阪まちなみ賞」にも選ばれています。

「静かな街…。水の流れる音と、鳥の声。
  水路に、蓮の花が咲いている!」

水路沿いの家には、舟へ荷物を運び込むための船着場や、
荷物を保管する「段倉」が残されています。

生活とともに歴史を刻んできた、水辺の風景がありました。

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大東市と東京・江東区に本社をかまえる、川村義肢株式会社。
義足や義手といった義肢、人体用シリコーン製の「人工ボディ」から、
リハビリ訓練機器、日々の暮らしをサポートする住宅の改修まで行っています。
日本最大の義肢装具制作工場には、世界各地から視察団が訪れます。

明治34年、1901年、広島に生まれた川村一人は、
16歳の春、縁あって大阪の義肢会社に入社。
需要が拡大する戦時中も身を粉にして働き、昭和21年、川村義肢を開設しました。

川村義肢では、会社見学ツアーを行っています。
「歴史展示室」では、義肢装具の歴史に触れることができます。
技術者の努力で、ひとつひとつ改良を重ねてきた様子がわかります。

「中庭では、車椅子に乗って体験走行ができるのね。
  歩いていたら気にならないくらいの段差が、
   とても危険な高さだって感じるわ…」

体験してみてわかることがたくさん。

全ての人が住み良い街へ…
大東市の掲げるスローガン「あふれる笑顔 幸せのまち 大東づくり」へと
つながります。

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<街歩きパートの曲紹介>

大東の町歩きと併せてお届けした曲は‥

  M1‥アン・マレー、「デイドリーム・ビリーバー」
  M2‥ナタリー・コール、「風のシルエット」
  M3‥チャーリー・ハンター feat.ノラ・ジョーンズ、「モア・ザン・ディス」
  M4‥ルイ・ホフステン、「パワー・トゥ・ザ・ピープル」
    そして
  M5‥ザ・バード&ザ・ビー、「愛はきらめきの中に」でした。


<花鳥風月〜旬の言の葉>

四季、時とともに移りゆく春夏秋冬。
そして、自然の流れにそうように存在する、数々の言葉。
彩りのある日本語を、季節の歌とともにお届けする
「花鳥風月〜旬の言の葉〜」
今回、注目するのは…『鯉のぼり』

中村 日本には日々の暮らしに溶け込み、
心和ませるいくつもの風物詩が1年を通じて巡ってきます。
それらが季節の景色を彩り、風にのって薫り、聴こえ…私達のまわりを包むことで、
趣きのある言葉が紡ぎ出されます。
花鳥風月、季節ごとの草花や生き物、旬の味覚、年中行事、詩まで、
日本の気候風土に寄り添うように存在している数々の言葉を知ることで、
日常生活を心豊かなものにしたいですね。
今回、ご紹介する旬の言の葉は、『鯉のぼり』。

色とりどりの鯉の形を模した“のぼり旗”。
5月5日「端午の節供」に子供の健やかな成長を願って掲げられることから
「皐幟」とも呼ばれます。
鯉の形が取り入れられたのは、一説によると
激流を上りきった鯉が龍になったという中国の故事から。
鯉は立身出世の象徴として縁起が良いとされ、
江戸時代の町人たちの間に独自の風習として根付きました。
鯉のぼりの色は、家族を表わしています。
1番大きくて黒い鯉・真鯉は父親、赤い鯉・緋鯉は母親、
小さくて青やピンクの鯉は子供たち。
また、五色の吹き流しは、
古代中国の「陰陽五行説」に基づいています。
この世の万物は陰と陽の2つの気と、木・火・土・金・水
の5つの行で成り立っているという考えで、
順に、木の色は青、火は赤、土は黄、金は白、水は黒、この5色です。
♪屋根より高い鯉のぼり…♪
アナタのお家の、またご近所の鯉のぼりは、
春風のなかで気持ち良さそうに泳いでいるでしょうか?


  M1‥山下達郎、「アトムの子」
  M2‥つじあやの、「風になる」