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03月20日千葉県 旭市

街歩き「旭市」

旭市の南東にある刑部岬から、
その東に位置する銚子市名洗までの海岸線、およそ10km。
高さ35メートルから60メートルの断崖絶壁が続く「屏風ケ浦」。

イギリスのドーバー海峡に面した石灰岩の白い壁に似ていることから、
「東洋のドーバー」ともよばれます。

「うわぁ、離れたところから見てもすごい迫力。
  地層がくっきり。地球の歴史、大地の唸りを感じるわ」

屏風ケ浦の南の端、刑部岬の突端にある上永井公園。
ここにある、スタイリッシュな展望施設が「飯岡刑部岬展望館〜光と風〜」。

屏風ケ浦とは反対側を見ると、そこは九十九里浜の始まり。
展望館の屋上展望台からは、湾曲する九十九里浜が一望できます。
晴れた日には、遠く富士山の姿も。

「へえ、ここから見下ろす夜景の街灯かりの中から
  「LOVE」という文字を見つけたカップルは結ばれるって噂もあるの?」

誰が言い出したのかわかりませんが、
二人で同じ景色を見て、同じことを感じる、
こうして仲が深まるんでしょう。

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農業の盛んな旭市。
かつて北部には、椿海と呼ばれる大きな湖がありました。
江戸時代中期、この椿海の干拓が始まりました。
しかし皮肉なことにこの干拓によって、周辺の村は水の確保に困り、
また水害や干ばつにも悩まされることになりました。

長年用水の整備が行われてきましたが、
水の問題が解決したのは、戦後になってから。
この干拓地は干潟八万石と呼ばれています。

江戸時代、農民が農業で安定した生活できるよう指導した人物がいます。
大原幽学。尾張藩に生まれた幽学は放浪生活の末、長部村、現在の旭市に住み、
ここで世界で初めての農業協同組合である「先祖株組合」を作りました。

JR総武本線・旭駅から北に、およそ9km。
大原幽学の拠点は、大原幽学遺跡史跡公園として整備。
ここに大原幽学記念館があります。

「幽学がどうやって効率的な農業をすすめたのか、よくわかるわ。
  生活用品はみんなでまとめて安く買ったり、
  bより多く米を収穫するために、田んぼの形を変えて、家も移転させたのね」

こうした幽学の元には、たくさんの人が集まりました。
しかしこれが幕府に怪しまれることとなり、取り調べの末、有罪。
失意の幽学は1858年、安政5年、自らその生涯を閉じました。


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太平洋に面した旭市。
飯岡漁港は、千葉県内第2位の水揚げ量を誇ります。
九十九里浜では、江戸時代からイワシ漁が盛ん。
今も豊富な種類のイワシが揚がります。
当時から続く伝統の味が「丸干しイワシ」。
イワシを塩漬けにして、天日で半日干したもの。

「頭からまるごと食べられる丸干しイワシ。
  …うん、おいしい。これは朝ごはんにもいいし、夜は絶対お酒にも合う」

実は旭のうまいもの、魚だけではありません。
養豚が盛んで、豚肉生産は県内1位、全国4位の出荷額を誇ります。
10種類以上のブランド豚があり、
それぞれ飼料や育てる環境に工夫したおいしい豚肉です。

「トンカツもいいけど、鮮度の良いモツも楽しめるのね」

食べ比べしてみたい、ブランド豚です。

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旭駅から北へおよそ2キロ。
広大な都市公園、袋公園は、旭の春の名所です。

公園にある大きな溜池は、干潟八万石を作った時、
村々の用水を確保するために整備された溜井堰のひとつ。
溜池の周囲およそ1,400mの遊歩道沿いに、500本の桜が植えられています。

「溜池のこちら側にもあちら側にも桜。
  ゆったりした気持ちで水辺を散歩できて…素敵なお花見スポットね」

溜池の上に大空を泳ぐように、
およそ80匹のこいのぼりも揚げられています。

また、溜池では、へら鮒つりを楽しむ人の姿も。
うららかな春の日差しの中、思い思いの時間を楽しみます。

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<街歩きパートの曲紹介>


旭の町歩きと併せてお届けした曲は‥

すべてザ・ビートルズのナンバーで
  M1‥「ラヴ・ミー・ドゥ」
  M2‥「イエスタデイ」
  M3‥「イン・マイ・ライフ」
  M4‥「ストリベリー・フィールズ・フォーエヴァー」
  M5‥「ヒア・カムズ・ザ・サン」
    そして
  M6‥「ハロー・グッドバイ」でした。


<旬彩季候〜味の歳時記>
四季、時とともに移りゆく春夏秋冬。
そして、美しい気候風土から生まれる味覚。彩季
日本の旬のお話を、季節の歌とともにお届けする『旬候〜味の歳時記〜』。
今回、注目する旬は…『ワラビとゼンマイ』

日本は古来より、海の幸、山の幸に恵まれています。
そして、季節の節目ごとに、ささやかな御馳走をしつらえて、
年中行事を営んできました。
私たちは、食べることによって健康を維持し、成長していきますが、
その原点は旬の食材を知り、上手に摂ることにあります。
出始めの「走り」、最盛期の「盛り」、そろそろ終わりになる「名残り」。
三つの旬は、初物を喜び、旨みを味わい、
移りゆく季節の名残りを惜しむ…という、日本人の心の表われ。
季節にそった“食の知恵”を知ることで、食生活を豊かなものにしたいですね。
今回、ご紹介する旬彩気候は、『ワラビとゼンマイ』。
どちらもシダ植物の一種で、全国各地で採れます。
ワラビは主に野原や、山地などの日当たりの良い場所に群生し、
ゼンマイは主に渓流のそばや、水路の脇などの水気のある場所に自生します。

新芽を食用にし、どちらも先がクルンと巻いているものを摘み取ります。
その際、外見上の最大の違いは、ワラビは小さな芽が3つあること、
ゼンマイは大きな芽が1つで、巻き具合も渦巻きであることです。

それぞれ名前の由来には諸説あり、
ワラビは藁を焼いたものに似ていることから「藁の火」が転じたといわれます。
またゼンマイは新芽の渦巻き状態が、穴の空いた古い銭に似ているということから「銭」と「巻き」で、「銭巻(ぜにまき)」が語源とも。
食材としての特徴は、ワラビはヌメリとクセの無い味、ゼンマイは独自の食感です。
山菜そばに、おひたし、和え物、佃煮など、和食に活躍の春の味です。

    M1‥松田聖子、「制服」
    M2‥森山直太朗、「若者たち」