音源を聴く

04月03日愛知県 岩倉市編

街歩き「岩倉市」

岩倉駅から西に1.5キロのところにある岩倉市史跡公園。
1947年、昭和22年、畑から弥生式壺形土器が出土、
昭和26年に発掘調査が行われた結果、弥生時代の住居跡も見つかり、
大地遺跡として県の文化財に指定されました。

この時発掘された竪穴式住居が、公園内に復元されています。
東西7m、南北4m、四隅が丸くなった長方形。
一般的な竪穴式住居よりも大きく、
内部は2つのスペースに分かれていたと考えられています。

「地面を少し掘って、支柱を立てて、その上に萱か何かの草を葺いてあるのね。
  入り口は人ひとり通れるくらいの細さだけど、
 ………うわぁ、中は広い!」

薄暗い内部は、20畳ほどの広さ。
意外にも、夏は涼しく、冬は暖かい住居だったと言われています。

史跡公園には室町時代の農家の型式を現在に伝える古民家「鳥居建民家」も。
主柱と梁が鳥居のような形で組まれているため、「鳥居建」と呼ばれます。

弥生時代から、室町、江戸時代の住居へ…。
人の住まいの歴史を見ることができました。

-----

戦国時代から江戸時代前期にかけて活躍した武将、山内一豊。
妻は内助の功でおなじみ、見性院。
司馬遼太郎の「功名が辻」で知られています。

一豊は、1545年、天文14年、山内盛豊の子として岩倉の地で生を受けました。

岩倉駅から東に歩いて4分。
神明生田神社の境内に山内一豊誕生地碑があります。

「ここで生まれたと言われているのね。
  神社のすぐとなりが、岩倉城跡。
   下剋上の多い戦国時代、このあたりでも激しい戦いがあったんでしょうね」

1559年、永禄2年、一豊15歳の時、岩倉城が織田信長に攻められ落城。
父・盛豊は岩倉方の武将として、城と運命を共にしました。

一豊は逃げ延び、諸国を放浪。
織田や豊臣に仕え、秀吉の死後は、徳川家康の味方に。
1600年、慶長5年に土佐20万石の領主となり、高知城を築城しました。

波乱万丈な山内一豊の人生は、ここから始まっていたのです。

-----

岩倉市のほぼ中央を南北に流れる五条川。
川沿いにはおよそ1400本の桜が植えられ、
日本のさくら名所100選にも選ばれています。

桜の花びらがはらはらと舞い降りる川には、
岩倉ならではの風景、鯉のぼりが泳ぎます。

これは「のんぼり洗い」と呼ばれ、
鯉のぼりを仕立てる途中の、糊おとしの作業です。

市内に2軒ある幟の店の職人が、
春の川に鯉のぼりを持って入り、
はけのようなもので、糊を落としていきます。

「空を泳ぐ鯉のぼりは見たことがあるけど、川を泳いているのって初めて!
  色あざやかで、とてもにぎやかね」

大きな鯉のぼりの仕立てには、
工房の狭い水槽より五条川の水に浸すほうが都合がよかったため、
この「のんぼり洗い」が行われるようになったのだとか。

はじめて見るのにどこか懐かしい、日本の風景です。

-----

岩倉の味といえば、「名古屋コーチン」。
ゆっくりと時間をかけて育てられた鶏は、うまみやコクを含んだ最高の味。
地元の郷土料理「ひきずり鍋」にしていただきます。

すき焼き鍋に、一口大に切った名古屋コーチン、
ネギなどの野菜、焼き豆腐や糸こんにゃくなどを入れ、
砂糖、醤油、酒で味付け。食べる時は、溶き卵をつけて。

「鶏肉のすきやきね。いただきます。
  うん、おいしい!
   名古屋コーチンの弾力、この歯ごたえがいいわね。
    お肉のうまみや甘みも存分に感じるわ」

名古屋コーチンを使った料理は他にもたくさん。
素材の味が一番分かる塩焼きや親子丼もイチオシ。

肉のおいしさを生かした料理で、おなかいっぱい、幸せな時間です。

------
<街歩きパートの曲紹介>

岩倉の町歩きと併せてお届けした曲は‥

  M1‥ブライアン・アダムス、「ヘヴン」
  M2‥スティング、「セット・ゼム・フリー」
  M3‥ネーナ、「ロックバルーンは99」
  M4‥ロッド・スチュワート、「セイリング」
  M5‥バーブラ・ストライザンド、「スター誕生〜愛のテーマ」
    そして
  M6‥ワム!、「フリーダム」でした。


<花鳥風月〜旬の言の葉>

四季、時とともに移りゆく春夏秋冬。
そして、自然の流れにそうように存在する、数々の言葉。
彩りのある日本語を、季節の歌とともにお届けする
「花鳥風月〜旬の言の葉〜」
今回、注目するのは…『タンポポ』

日本には日々の暮らしに溶け込み、
心和ませるいくつもの風物詩が1年を通じて巡ってきます。
それらが季節の景色を彩り、風にのって薫り、聴こえ…私達のまわりを包むことで、
趣きのある言葉が紡ぎ出されます。
花鳥風月、季節ごとの草花や生き物、旬の味覚、年中行事、詩まで、
日本の気候風土に寄り添うように存在している数々の言葉を知ることで、
日常生活を心豊かなものにしたいですね。
今回、ご紹介する旬の言の葉は、『タンポポ』。
春になると花茎を伸ばし、黄色や白の花をつけるキク科の多年草。
昔から日本にあった在来種と、海外から持ち込まれた外来種があり、
現在日本にはおよそ20種が自生しています。
花が咲いた後、ふんわりしたタンポポの綿毛を見付けると
フーッと吹き飛ばしたくなりますね。
漢字では、かまぼこの蒲に、公に、英語の英と書いて「蒲公英」。
または、漢方で根を乾燥させた生薬の名前からとも呼びます。
名前の由来には諸説あります。
かつて茎の両端を割いて、日本の伝統的な楽器・鼓のような形にする
子供の遊びがあったことから鼓草と呼んでいました。
さらに本物の鼓を叩くと「タン・ポンポン」という擬音に聴こえることから、
この音を短くしてタンポポになったという説が有力です。
英語名は「ダンデライオン」。
これはフランス語で“ライオンの歯”を意味する「ダン・ド・リオン」からきていて、
タンポポの葉の縁のギザギザ具合がライオンの歯に似ていることから
このように呼ばれるようになった、とされます。

  M1‥松任谷由実、「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ」
  M2‥やなわらばー、「思い出のアルバム」