おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
8/4は、この夏ご覧頂きたいヒューマン・ドラマを3本ご紹介。
2本目は、メキシコから届いた少女の揺れ動く心を瑞々しく描いた人間ドラマ
『夏の終わりに願うこと』
父・トナの誕生日パーティーのため、母と一緒に祖父の家を訪ねる7歳の少女・ソル。
病気でひとり実家に戻り療養中の父に早く会いたいのに、夜のパーティーに備えて身体を休めているからと、なかなか会わせてもらえません。
従姉妹たちと無邪気に遊びまわることも、大人たちの話し合いに加わることもできず、いらだちや不安が募るばかり。
やがて父とやっと会えた時、それまで抱えていた思いがあふれ出し、ソルは自分の中に芽生えた“新たな感情”を知ることになるのです。
よろこび、悲しみ、希望、落胆…波打つ感情の変化に戸惑いながらも、ラストで少女が願ったこととは?
1日を通して揺れ動く少女の心を瑞々しく描ききったのは、これが長編二作目の新鋭リラ・アビレス監督。
「メキシコ映画の新たなパイオニア」とも評され、世界で注目を集めています。
ソル役は、映画初出演にして主演のナイマ・センティエス。
たった一日でいろんな感情を体験した少女の顔が、すべてを悟ったような大人の女性の顔に。その変化が素晴らしかったです。
ソルの目線で描かれる物語は、まるでドキュメンタリー映画のようでした。
大好きな父や祖父、おじおば、いとこたち…その会話から少しずつ、家族がどんな生活をし、どんな苦しみを背負ってきたのかがわかります。
大家族が多いメキシコとは違っても、家族の話は誰でも共感できる部分がありますよね。
そして、多かれ少なかれ、物心つく頃に大切な人を亡くす経験をした方も多いと思います。
この作品の魅力の一つは、おうちの周りでソルが触れ合う自然や生き物たちの描き方。
草むらや庭にいる、カタツムリ、アリ、カマキリ、そして、金魚、オウム、カラス、犬…家族の生死にわさわさする人間の思いとは別に、自然の中で淡々とその生をまっとうする生き物たち。人間は自然の一部であることを改めて思い出させてくれます。
夏の終わりに儚くきらめくメキシコの太陽に照らされて、ふと幼い頃の大切な記憶が浮かび上がってくるそんな不思議な体験ができました。
自分もその場にいて、ソルの家族と一緒にすべてのことを経験したような気分になりました。
家族と過ごす切なくも優しいかけがえのないひと夏の体験。少女の願いを見届けて下さい。
『夏の終わりに願うこと』
8月9日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!
公式サイト:8/9 公開・映画『夏の終わりに願うこと』公式サイト (bitters.co.jp)
監督・脚本:リラ・アビレス
出演:ナイマ・センティエス、モンセラート・マラニョン、マリソル・ガセ、マテオ・ガルシア・エリソンド、テレシタ・サンチェス
2023年/メキシコ・デンマーク・フランス/カラー/95分/スタンダード/原題:Tótem
日本語字幕:林かんな 配給:ビターズ・エンド 後援:メキシコ大使館
© 2023- LIMERENCIAFILMS S.A.P.I. DE C.V., LATERNA FILM, PALOMA PRODUCTIONS, ALPHAVIOLET PRODUCTION
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