おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
11/26は、映画のチカラに引き込まれる3本をご紹介。
2本目は、日本人監督がジョージアの現実を描いたドキュメンタリー
『アダミアニ 祈りの谷』

北はロシア、そしてヨーロッパとアジアの狭間にあるジョージア=旧グルジア。
舞台は、そのジョージアの東の山岳地帯、美しい自然が広がるパンキシ渓谷。19世紀、チェチェンから移住してきたイスラム教徒の末裔、キストが暮らしています。
ロシア連邦からの独立を目指したチェチェン紛争時、キストの多くは祖国の独立戦争に身を投じました。そして、第二次チェチェン紛争の時、大量に生まれたチェチェン難民や独立派ゲリラが目指したのがこのパンキシ渓谷だったのです。やがて治安は悪化、「テロリストの巣窟」と汚名を着せられ、のちにISとも関係づけられます。

主人公は、チェチェン紛争で二人の息子を失ったレイラ。娘のマリアムと美しい庭が自慢のゲストハウスを経営しています。
レイラの従兄弟のアボは、旅行者をコーカサスの山々へ案内するガイドさん。10代からチェチェン紛争を戦った戦士アボもまた、重いトラウマに苛まれているのです。
ここに住む人々は、心に傷を抱えながらも、なんとかテロリストの巣窟という汚名を返上し、故郷を復興させようと懸命に生きています。
タイトルの“アダミアニ”とは、神が最初に創造したアダムを語源とするジョージア語で、その意味は“人間”。そう、この作品は故郷を愛し、平和を求める人間の物語なのです。

レイラは純粋で優しくとてもチャーミングな女性。でも辛い戦争を経験して、女性として母として強くなければならないという思いがひしひしと伝わってきます。
そして、レイラをはじめとした女性たちが、パンキシからテロリスト色を払拭して、観光地として新しい風を吹き込もうと努力する姿に、女性の平和への祈りの心を感じました。
そんな中でも次々と起こる新たな問題。それでも、人間として平和を祈り努力する姿…1人でも多くの方が、この祈りに賛同すれば、世の中が変わるきっかけになるのではないかと思いました。

最後に、パンキシ渓谷で3年間に渡って彼らを記録し続けた竹岡寛俊監督の言葉です。
「破壊されるのは一瞬だが、人間の傷が癒やされるのには途方もない年月を要する。社会の分断や暴力が蔓延する暗い時代だからこそ、困難に立ち向かう彼らの生き様に目を向けてもらいたい。」
アダミアニの祈りが、世界に届きますように…。

『アダミアニ 祈りの谷』
12月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
公式サイト:http://inorinotani.com
監督・撮影|竹岡寛俊
撮影|山内泰
編集|Herbert Hunger
音楽|Julien Marchal
共同プロデューサー|Jia Zhao
製作|クロスメディア・テムジン・アダミアニフィルム
共同製作|MUYI FILM
配給|アークエンタテインメント
2021年|日本・オランダ|カラー|120分|ビスタ|5.1ch
レイティング G
©2021 ADAMIANI Film Partners

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