おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
7/9は、自分の意志ではどうにもならない状況下、人々の心の叫びを描いた3本をご紹介。
2本目は、不条理な迫害の歴史の中で、愛と自由の本質を見つめた静かな衝撃作
『大いなる自由』

私はこの法律を知らなかったのですが、ご存知ですか?ドイツ刑法175条。
1871年に制定された男性同性愛を禁じる刑法で、ナチスの元で厳罰化され、戦後はそのまま東西ドイツに引き継がれました。西ドイツでは1969年に21歳以上の男性同性愛は犯罪ではないとされ、1994年になってようやく撤廃された法律。
およそ120年間で14万人もの罪のない人々が処刑されたと言われています。

この作品は、第二次世界大戦後の1945年から始まります。
男性同性愛を禁じた刑法175条の下、ハンスは自身の性的指向を理由に繰り返し投獄されます。
同じ部屋の服役囚ヴィクトールは「175条の違反者」であるハンスを嫌悪し遠ざけようとしますが、腕に彫られた番号から、ハンスがナチスの強制収容所にいたことを知ります。
己を曲げず何度も懲罰房に入れられる「頑固者」ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知しているヴィクトール。反発から始まった二人の関係は、長い年月を経て互いを尊重する絆へと変わっていきます。
終戦後の1945年、恋人と共に投獄された1957年、そして刑法改正が報じられた1968年―――3つの時代を行き来しながら、「愛する自由」を求め続けた男の20年以上に渡る闘いを描いていきます。

どんなに理不尽でも、自分ではどうすることもできない法律という壁。
ナチスであれ、戦後の新しい世界であれ、昔からの人間の感覚は変わらないのですね。多様性と叫ばれている今でさえ、そうかもしれません。

ドイツは2017年から同性婚も認められて、LGBTQに優しい国というイメージがありましたが、175条が撤廃されたのが1994年ですから、多様性に向かう流れが急激だったのですね。
その流れのはるか昔、自分の自由と尊厳を求めて常に闘ってきたハンスはなんと強いのでしょう。
ラストシーンは、悲しいような、「ああ、やっぱり」って苦笑いが出るような、不思議な感覚に陥りました。
相手を想う人の情というのは、どんなところでも生まれるのだということに希望が見えました。
多くの方々が理不尽と闘い、自身の尊厳を守ってきた歴史、世界中が大いなる自由で溢れるのはいつになるのでしょうか?

『大いなる自由』
7月7日(金)、 Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
公式サイト:https://greatfreedom.jp/
監督・脚本:セバスティアン・マイゼ/共同脚本:トーマス・ライダー
出演:フランツ・ロゴフスキ、ゲオルク・フリードリヒ、アントン・フォン・ルケ、トーマス・プレン ほか
2021年/オーストリア、ドイツ/116分/1:1.85/カラー/原題:Große Freiheit /英題:Great Freedom /字幕翻訳:今井祥子/字幕監修:柳原伸洋
配給:Bunkamura
©2021FreibeuterFilm•Rohfilm Productions

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