おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
4/2は、小さな空間を舞台に、主人公の大きな心を描く感動のヒューマンドラマを2本ご紹介。

2本目は、旅するように美しいパリを巡る珠玉の映像体験。幸せな衝撃に笑い泣き！
『パリタクシー』

パリのタクシー運転手シャルルは、人生最大の危機を迎えていました。休みなく働けど苦しい生活、さらに違反続きであと2点で免停！このままでは最愛の家族に合わせる顔がありません。
そんな彼の下に、郊外に住むマダムをパリの反対側まで送るという仕事が舞い込みます。マダムは92歳のマドレーヌ。ひとり暮らしの自宅を出て介護施設に移り住むことになったのです。車内に乗り込んだ彼女はシャルルにいいます。
「ちょっと、寄り道してくれない？」
生まれ育った家、第二次世界大戦中の思い出、その後暮らした家…ゆかりの場所に寄り道する度にひとつずつ明らかになる並外れたマドレーヌの過去に、ただただ驚くシャルル。
やがて、マドレーヌによってシャルルの心も変化し、ただパリの反対側に行くだけのはずだったドライブが、いつしか2人の人生を大きく動かすドラマティックな旅へと変わっていくのです。
その先に待っていたものとは？

「え？そんなことが？」思いがけない展開に驚きながらも、笑って、泣いて、人生の機微を味わう…こういうお話大好きです！
マドレーヌが本当に素敵なのです。演じたのは、役者としても活躍する国民的スター、今年95歳になるシャンソン歌手のリーヌ・ルノー。
マドレーヌと同世代で、1950年代を生きた女性として同じような辛い経験をしてきたリーヌは、「私はマドレーヌ自身」「これが私の遺言になる映画よ」と話したそうです。
波乱万丈な人生を乗り越えた末、全てを受け入れ何事も笑い飛ばすような彼女のセリフの数々が秀逸！
特に好きなのが「ひとつの怒りでひとつ歳をとり、笑顔で若返る」。素敵ですよね？

そんなマドレーヌとのドライブで少しずつ笑顔が増えていく不機嫌なタクシー運転手シャルル役は、大人気コメディアンのダニー・ブーン。演技派俳優としても高く評価されています。
2人は実生活でも親交が深く、「ダニーは私の息子」と公言するほどだとか。

監督は、『戦場のアリア』でダニー・ブーンを俳優として有名にしたクリスチャン・カリオン。
ほとんどの場面がパリを走るタクシーの車内ということで、撮影監督と共に革新的な技術にチャレンジ！「今後この手法が都市部での撮影の未来になる」と話しています。それは、スタジオのタクシーの周りに４Ｋのスクリーンを設置して、パリの街の映像を流すというもの。
エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、ノートルダム寺院、凱旋門、パルマンティエ通り…タクシーの車窓を過ぎていく美しいパリの街並みに、私たちも一緒に観光しているようです。

不愛想なタクシー運転手が乗せたマダムの人生を巡るパリの横断の寄り道には、素敵な奇跡が待っていました。人生は短い、だから思いっきり生きなきゃ！と思わせてくれるとってもハートフルな物語です。

『パリタクシー』
4 月 7 日（金）新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国公開

公式サイト：movies.shochiku.co.jp/paristaxi/
監督：クリスチャン・カリオン
出演：リーヌ・ルノー、ダニー・ブーン
2022年 フランス語 /91 分 スコープ カラー / 原題： Une belle course/ 日本語字幕：星加久実
配給：松竹
©2022 UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS, PATHE FILMS, ARTÉMIS PRODUCTIONS, TF1 FILMS PRODUCTION