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2021.08.01

サンデー早起キネマ『アウシュヴィッツ・レポート』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
8/1は、3つの国の物語をご紹介。

先週、「第二次世界大戦の時の知られざる事実が映画化されている」というお話をしましたが、1本目の作品もその一つです。
ヨーロッパや戦争の歴史に詳しい方はご存知かもしれません。

ヴルバ=ヴェツラー・レポート、通称アウシュヴィッツ・レポートという報告書が存在します。
これは、1944年4月10日にアウシュヴィッツ収容所を脱走した、アルフレート・ヴェツラーとルドルフ・ヴルバがまとめたもので、収容所のレイアウトやガス室の詳細が書かれています。
このレポートが連合軍に報告され、ハンガリー系ユダヤ人がアウシュヴィッツへ強制移送されることが中止され、12万人以上の命が助かったのです。
この事実を元に作られた作品が、その名も
『アウシュヴィッツ・レポート』

遺体の記録係、スロバキア人のアルフレートは、毎日沢山の人々が殺される過酷な実態に我慢できず、偉い人に伝えてここを空爆してもらおうと証拠を集め、同じスロバキア人のヴァルターと2人で脱走。
しかし、それがバレてしまい、同じ9号棟に収容されていた囚人たちは、昼夜関係なく何日も寒空の下に立たされ、ラウスマン伍長から命を脅かす尋問を受けています。そんな仲間の助け・思いを背負った2人は、ひたすら山林を国境に向けて歩き続けるのです。
今にも死にそうなほど疲れ切っていた2人ですが、偶然出会った人たちにも助けられ、脱走22日後、ついに赤十字職員に、アウシュヴィッツの信じられない実態を報告し始めました。
果たして彼らの訴えは世界に届くのでしょうか?

「過去を忘れるものは、必ず同じ過ちを繰り返す」という哲学者ジョージ・サンタヤナの名言で始まるこの作品。
スロバキアのペテル・ベブヤク監督は、「この作品で最も伝えたいことは、同じ過ちが繰り返されることは絶対に許されないということだ」といいます。
自分や大切な人の命が、日常的に危険にさらされること、そして迫害されるということを、戦後75年が経って実感できない私たちは、同じ過ちを繰り返さないために、人類の過去の失敗に学ぶしか、方法がないのかもしれません。
過去の失敗を見ていると、人は、何かに突き動かされる時は周りが見えなくなり、バランス感覚も失い、自分たちが思っているほど賢くないのかもしれないなと思います。

監督によると、スロバキアでは、近年過激派勢力が議会の議席を得る状況になっているそうです。
ヨーロッパ全土でも、以前より多くの人々がファシスト思想を持つ政党を支持、もしくは容認し、過激派とその共感者は次第に勢いを増している、とも。
私たちの周りでも、形は違っても同じようなことがおきているのではないでしょうか?
コロナ禍で思想はより過激になり、過激さを求める人も増えているのではないでしょうか?
教科書は過去の失敗の中にあります。どうか一人でも多くの方にこの作品をご覧いただけますように…

『アウシュヴィッツ・レポート』

7月30日(金)、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

公式サイト:auschwitz-report.com

監督・脚本:ペテル・べブヤク 共同脚本:トマーシュ・ボムビク 製作:ラスト・シェスターク  
出演:ノエル・ツツォル、ペテル・オンドレイチカ、ジョン・ハナーほか
2020年/94分/カラー/シネスコ/5.1ch /PG12/英・チェコ・ポーランド・スロバキア・ドイツ語/スロバキア・チェコ・独 
原題:Správa 英題:The Auschwitz Report 日本語字幕:川又勝利 後援:スロバキア大使館
配給:STAR CHANNEL MOVIES
©D.N.A., s.r.o., Evolution Films, s.r.o., Ostlicht Filmproduktion GmbH, Rozhlas a televízia Slovenska, Česká televize 2021

 

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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