スポーツ伝説

2023.02.03

2023年1月30日~2月3日の放送内容

【フィギュアスケート 坂本花織選手】

 昨年2月の北京冬季オリンピックでは、団体・個人の両方で銅メダルを獲得した坂本選手。しかし大会後は燃え尽き症候群となり、目標を見失ったと言います。その翌月に行われたのが世界選手権でした。オリンピックからわずか1ヵ月後で調整が難しい中、自分を信じて、ジャンプの完成度や振り付け、スケート技術などをあらためて磨き上げた坂本選手。ショートプログラムから圧巻の演技を見せます。女子では世界で7人目となる80点台、80.32点をマークしてトップに立つと、プレッシャーが掛かるフリーのジャンプをすべて完璧に決め、自己ベストの155.77点を記録。2014年の浅田真央選手以来、日本勢6人目の世界女王に輝きました。
 今シーズンは前半から苦戦が続きます。昨年12月、トリノで行われたグランプリファイナルでは、ショートプログラムでトップに立ちながらフリーでミスを連発。まさかの5位に終わりました。この苦い経験から帰国後、心身ともに切り替えを図った坂本選手。厳しい食事制限を乗り越えるため、あえてしっかりと食事を摂る日を設け、美味しいものを食べてリフレッシュ。衣裳も新しいものに変えました。さらに走り込みを行い、体力強化と心肺機能の向上を図ったことで、持ち味のスピードとダイナミックな演技が復活します。昨年12月24日に行われた全日本選手権では、国際スケート連盟の非公認ながら、今シーズン世界最高の合計233.05点をマーク。2位に13点以上の差をつける圧勝劇で全日本2連覇を果たしました。

   
【フィギュアスケート 三原舞依選手】

 昨年、大きな飛躍を遂げた三原選手。早くから才能を認められながら、2015年暮れに全身の関節が痛む若年性特発性関節炎を発症してしまいます。難病と闘いながら競技を続け、シニアに転向した17年には四大陸選手権で初優勝を飾りましたが、その後もたびたび体調を崩したため、2019-20年シーズンは休養。20年10月からリンクに復帰しました。三原選手の励みになったのが、同じ兵庫県出身で、幼い頃から一緒に練習してきた坂本花織選手です。北京冬季オリンピックで銅メダル、世界選手権優勝など坂本選手が活躍するのを見て、三原選手も大いに刺激を受けたと言います。そんな三原選手の夢の一つが「かおちゃんと一緒に、グランプリファイナルに出場すること」でした。三原選手はグランプリシリーズで2連勝を飾り、昨年12月、トリノで行われたグランプリファイナルに初出場。坂本選手も出場しその夢が叶います。
 大会本番。三原選手はショートプログラムを終えて、坂本選手に次ぐ2位につけます。フリーの冒頭でダブルアクセルを決めると、続く3つのジャンプを確実に決めるなど終始落ち着いた滑りを見せ、フリー1位の133.59点をマーク。フリーで崩れた坂本選手を逆転して、グランプリファイナル初出場にして初優勝を飾りました。今年1月には、冬季ワールドユニバーシティゲームズで大会連覇も達成。三原選手の才能が大きく開花するのは、これからです。

  
       
【フィギュア ペア 三浦璃来・木原龍一選手】

 シングルは男女ともにレベルが高く、フィギュア大国とも呼ばれる日本ですが、ペアではこれまで国際舞台で目立った成績を残せていませんでした。その歴史を一気に塗り変えたのが・三浦選手と木原選手。通称「りくりゅう」ペアです。昨年の北京冬季オリンピックでは団体の銅メダル獲得に大きく貢献し、個人戦では日本勢ペア初の7位入賞を果たしました。二人はその1ヵ月後、フランスで開催された世界選手権に出場します。オリンピックの疲労が蓄積し、決して本調子ではない中、心から楽しんで滑り、自分たちのスケートを世界に届けたいと、楽しむことをテーマに出場。フリーの技術点が伸び悩んだ一方、演技構成点でショート1位、フリーでも2位と高く評価され、銀メダルに輝きました。日本のペアが世界選手権で表彰台に立ったのは10年ぶり。銀メダルは初の快挙でした。
 一躍、世界トップレベルとなった「りくりゅう」ペアですが、パートナーになったのは2019年から。決してそのキャリアは長くありません。それでも初めて組んだ瞬間から、絶対にうまくいくとお互いが言うほど相性抜群。年齢は10歳近く離れていますが、仲の良さが演技でも表現されるようになったのです。世界選手権での銀メダルで大きな自信を手にした2人は、新しいプログラムで臨んだ新シーズン、さらなる飛躍を果たします。昨年10月に行われたグランプリシリーズ・カナダ大会で日本ペア史上初の優勝を果たすと、次に出場したNHK杯でも優勝。2連勝で、トップ選手のみが出場できるグランプリファイナルに進出します。この大舞台でも見事なコンビネーションを発揮し、ショート・フリーともに1位の高得点をマーク。日本ペア史上初となる、ファイナル優勝を果たしました。

 

【フィギュアスケート 宇野昌磨選手】

 日本が誇るトップスケーターの宇野選手。2021年までは、オリンピック・世界選手権・グランプリファイナルでの最高成績はいずれも銀メダル止まりでした。偉大な先輩・羽生結弦選手がいたこともあって、真の意味で「世界トップ」といえる成績を残せずにいたのです。21年3月に出場した世界選手権は4位で、表彰台にも届きませんでした。この時コーチから、「世界一のスケーターになるには何が必要か?」と問いかけられたという宇野選手。宇野選手が出した結論は、フリーでの4回転ジャンプ5本というチャレンジでした。1年後の22年3月、世界選手権でそのチャレンジの成果を見せる舞台が訪れます。宇野選手はショートプログラムを首位で発進すると、フリーで4種類の4回転ジャンプ5本を見事に成功させ、ついに世界選手権初優勝を果たしたのです。日本人男子選手の優勝は、高橋大輔選手・羽生選手に続く3人目の快挙でした。
 この初優勝で大きな自信を手に入れた宇野選手。プログラムを新しくした22年秋からの新シーズンでも好調が続き、グランプリシリーズ2連勝を飾ります。宇野選手は好調の理由について、いろいろな選手の練習の仕方や取り組み方を見てどうやったら自分のためになる練習ができるかが分かってきた。それがジャンプの安定感や、試合でのいい演技につながっていると自己分析。その安定感をグランプリファイナルの舞台でも発揮します。世界選手権同様、4種類の4回転ジャンプ5本を見事に成功させ、フリーの自己ベストを更新。今シーズン世界初となる300点越えをマークし、5度目のグランプリファイナル出場で初めて頂点に立ったのです。

  
  
【フィギュアスケート 山本草太選手】

 2014-15年シーズンのジュニアグランプリファイナルで、宇野昌磨選手に次ぐ銀メダル。翌16年のユースオリンピックで金メダルに輝くなど、将来性を期待されていた山本選手。シニア移行前、16年の世界選手権直前にアクシデントが襲います。当日のトリプルアクセル練習中に右足首を骨折。その後も故障を繰り返し、合わせて3回も手術をすることになったのです。長期に渡って欠場を余儀なくされ、一時は引退も考えたという山本選手。しかし一念発起し、21年7月、浅田真央選手らを育てた名指導者・山田満知子コーチに入門したことが飛躍のきっかけになります。昨年11月のグランプリシリーズフランス大会、山本選手はショートで首位発進。その後のフリーは3位ながら、自己ベストを更新する好成績で2位に入り、グランプリシリーズ初の表彰台に立ちました。
 山本選手の快進撃はその後も続きます。NHK杯でも2位の好成績を収め、グランプリファイナル進出を果たします。表彰台を狙うには、手術を繰り返す原因にもなった因縁の技、トリプルアクセルの成功が必須。フランス大会でもNHK杯でもフリーでも、トリプルアクセルに失敗して優勝を逃しました。迎えたグランプリファイナルのフリー。山本選手はトリプルアクセルでしっかり着氷。転倒など大きなミスのない、今シーズン最高の演技を大舞台で決めてみせました。会心のガッツポーズを見せた山本選手は宇野選手に次ぐ2位となり、ここでも表彰台へ。かつてジュニアグランプリファイナルで一緒に表彰台に立ったライバルと再び競い合うところまで戻ってきた山本選手。復活の狼煙となる銀メダルでした。

 

来週のスポーツ伝説は……

2/6(月) メジャーリーグ吉田正尚選手
2/7(火) メジャーリーグ千賀滉大投手
2/8(水) プロ野球 近藤健介選手
2/9(木) プロ野球 森友哉選手
2/10(金) プロ野球 伏見寅威選手

お楽しみに!!

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    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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