スポーツ伝説

2022.12.23

2022年12月19日~23日の放送内容

【プロ野球 比嘉幹貴投手】

 今年、東京ヤクルトスワローズとの日本シリーズを4勝2敗1分けで制して、日本一に輝いたオリックス・バファローズ。勝因の一つは鉄壁のリリーフ陣でした。中でも、目立たないところで確かな存在感を発揮したのが、現在40歳の比嘉投手です。2009年のドラフト2位でオリックスに入団し、今年で13年目。シーズン中は39歳でしたが、30試合に登板し、5勝0敗1セーブ5ホールドの成績でリーグ連覇に貢献します。右のサイドハンドから繰り出す140キロ台のストレートに、スライダーやシンカー、90キロ台のカーブを織り交ぜて緩急の差で打ち取るピッチングで、オリックスのブルペンを支えました。
 昨シーズン、リーグ優勝を初めて経験し、日本シリーズ第1戦では勝ち投手になった比嘉投手。しかし日本一はヤクルトに阻まれました。その悔しさをバネに、今年の日本シリーズには5試合に登板し、チームのピンチを救ってみせた比嘉投手。「困ったら比嘉さん」と呼ばれたベテランは、陰で日本一に貢献したのです。

  
【プロ野球 阿部翔太投手】

 2020年のドラフト6位でオリックス・バファローズに入団した阿部投手は、当時社会人野球6年目。入団時、すでに28歳になっていた阿部投手は、同期入団の高卒の選手より10歳も年上で、妻も子もあるオールドルーキーでした。プロ1年目の昨シーズンは肩のケガでわずか4試合の登板に終わり、来年もダメならクビもあると覚悟を決めて2年目の今シーズンに臨みました。するとピンチの場面になればなるほどスイッチが入る性格を買われ、4月8日一軍に昇格すると、期待に応える19試合連続無失点を記録します。ピンチを脱したときに見せる渾身のガッツポーズは、ファンの間で“阿部ガッツ”と呼ばれ「ガッツしか勝たん」という言葉まで生まれました。
 今シーズンは44試合に登板し、1勝0敗3セーブ・22ホールド。失点はわずか3点で、防御率0.61と抜群の安定感を見せた阿部投手。首脳陣はシーズン終盤、体調不良になった守護神・平野佳寿投手に代わり一時クローザーに抜擢します。10月2日、東北楽天とのシーズン最終戦は、ソフトバンクが敗れ、オリックスが勝つと逆転優勝という状況でした。オリックスは逆転し、ソフトバンクは逆転されるという劇的な展開で、最終回に突入。マウンドに立った阿部投手はみごと三者凡退で締めくくり、直後にソフトバンクが敗れたため、オリックスの2年連続リーグ優勝が決定。阿部投手は「胴上げ投手」になったのです。

  
       
【プロ野球 宇田川優希投手】

 大逆転でリーグ優勝を果たした、今年のオリックス・バファローズ。その奇跡的な追い上げに貢献した一人が、宇田川投手です。2020年の育成ドラフ3位で入団し、支配下登録を目指した2年目の今シーズンは、開幕前に新型コロナウイルスに感染してしまいます。 隔離生活の間に体重を落としてしまった宇田川投手は、これを機に肉体改造に着手。すると球速がアップし、コントロールも安定。今年7月に待望の支配下登録、そして一軍昇格を果たしたのです。9月8日にプロ初勝利。迎えた10月2日、東北楽天とのペナントレース最終戦、オリックスの優勝には勝利が絶対条件の大一番でした。2点を先制され、なおもノーアウト一・二塁のピンチでマウンドを託された宇田川投手。後続を断ち、大量失点の危機を見事に乗り切ると、その直後にオリックスが逆転。奇跡の逆転優勝を決めたこの一戦で、宇田川投手は勝利投手になりました。
 宇田川投手の武器は、球速が増したストレートとフォークボールだけですが、フォークは2種類あります。空振りを奪える「大きく落ちるフォーク」と、カウントを有利にするときに使う「小さく落ちるフォーク」。東京ヤクルトとの日本シリーズ第4戦、オリックス1点リードの5回、1アウト・三塁のピンチでマウンドに立った宇田川投手は、この2つのフォークで6回まで無失点で切り抜けます。チームはそのまま逃げ切って勝利。宇田川投手は勝利投手となり、貴重なシリーズ初勝利をチームにもたらしました。ここからシリーズの流れが変わり、オリックスは4連勝して26年ぶりの日本一に。宇田川投手は4試合に投げて防御率は0.00。陰のシリーズMVPと呼ばれました。

 

【プロ野球 山﨑颯一郎投手】

 身長190㎝の長身右腕、オリックス・バファローズの山﨑投手は、プロ3年目の2019年に右ひじを故障。戦力外から育成選手として再出発を経験します。本格的に復活を果たした21年には、初めて一軍に昇格。待望のプロ初勝利を挙げ、6年目の今年は開幕ローテーション入りを果たしました。ただ先発ではなかなか結果が出ず、制球難もあって二軍落ちを経験。加えて肩のコンディション不良で投げられない時期を過ごします。この間、ウエートトレーニングに励んだ山﨑投手。体重と筋力がアップし、課題だった制球難が改善されただけでなく、ストレートの威力も増したのです。一軍復帰後、9月以降はリリーフに配置転換されると、 9・10月は10試合・15イニングを投げて、わずか1失点と抜群の安定感を披露し、オリックスの逆転優勝に大きく貢献しました。
 さらには、ソフトバンクとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第4戦で日本人投手では球団最速の160キロをマーク。圧巻だったのは、東京ヤクルトとの日本シリーズ第4戦です。1点リードの7回から登板した山﨑投手は、イニングまたぎとなった8回、ワンナウトの場面で、令和初の三冠王・村上宗隆選手と対戦。7球中6球、ストレートで真っ向勝負し、最後は159キロのストレートでレフトフライに打ち取りました。山﨑投手は、日本シリーズ7試合中4試合に登板。日本一に貢献したのです。

  
【プロ野球 ジェイコブ・ワゲスパック投手】

 身長198㎝の長身から投げ下ろすストレートと、多彩な変化球が武器のオリックス・バファローズ、ワゲスパック投手。来日1年目の今シーズン、当初は先発投手として期待され、6月のDeNA戦で初勝利を挙げました。真価を発揮したのは、リリーフに転向した夏場以降です。7月24日の福岡ソフトバンク戦、それまで守護神を務めていた平野佳寿投手が体調不良で投げられず、ワゲスパック投手が9回のマウンドに立ちました。味方のエラーやフォアボールなどでノーアウト満塁の大ピンチを迎えますが、コントロールに自信があるワゲスパック投手は、最速159キロの快速球を武器に2つの三振を奪うなど相手打線を打ち取り、初セーブを記録したのです。
 その後もワゲスパック投手は勝ちパターンの一角を担い、オリックスのリーグ連覇に大きく貢献しました。日本シリーズでは守護神としてチームを支えます。2敗1分けで迎えた第4戦では、リリーフの宇田川優希投手・山﨑颯一郎投手が守り抜いた1点のリードを受けて最終回のマウンドに立つと、見事にシャットアウト。チームにシリーズ初勝利をもたらしたこの継投リレーは、宇田川のU、颯一郎のS、そしてワゲスパック投手のファーストネーム・ジェイコブのJを取って、大阪名物“USJリレ”と名付けられ話題を集めました。ワゲスパック投手はこの試合を含め、チーム最多タイの5試合に登板。1勝3セーブで4勝すべてに絡み、26年ぶりの日本一を決める胴上げ投手となったのです。

 

来週のスポーツ伝説は……

12/26(月) プロ野球 村上宗隆選手
12/27(火) プロ野球 山本由伸投手 
12/28(水) プロ野球 山川 穂高選手
12/29(木) メジャーリーグ アーロン・ジャッジ選手
12/30(金) メジャーリーグ 大谷翔平選手

お楽しみに!!

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    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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