ニッポンチャレンジドアスリート

2026.03.30

近藤元(パラ陸上)

2000年生まれ、大阪府出身の25歳。中学校から陸上競技を始めますが、2020年、20歳のときに事故で右足を切断。利き手の右手にもまひが残りました。しかしもう一度トラックに戻ろうと、2021年から、義足でパラ陸上のアスリートとして復帰。100m・200m・走幅跳の3種目をメインに、ジャパンパラ競技大会では2023年から3年連続、日本パラ陸上選手権では2024年から2年連続で3冠を達成しています。去年はNAGASE CUPの800mで世界新記録をマーク。2年後のロスパラリンピックでメダル獲得を目指しています。

◾️子どもの頃からスポーツが大好きだった近藤選手。中学校から陸上競技を始めるが、大学生だった2020年の暮れ、事故にあい右足を失う。2021年10月に退院、その後、パラ陸上界のレジェンドで義足のアスリート、山本篤さんが主宰する「ブレードアスリートアカデミー」に参加した。

「大学の陸上の顧問の先生が山本篤さんを紹介してくださって。それがきっかけで参加することになりました」

「足がなくなってから初めて山本篤さんを知りました」

◾️2023年5月、近藤選手が大学生のときに神戸で行われた、日本パラ陸上選手権。近藤選手はこの大会で、100mでは無敗だった師匠・山本篤さんを下し優勝した。

「1番最初に教えていただいた山本篤様さん、師匠に勝ったって思いました。本当に嬉しかったです。率直に『よし、勝ったぞ!』って思いました」

「山本さんは『もう負けた負けた』みたいな感じで、インタビューでも僕を褒めてくださっていました」

◾️しかし、走幅跳では山本さんに敗れて、悔しい思いをした。ゴール後の優勝者インタビューでは、山本さんはあえて近藤選手に聞こえるように「彼は天狗になっていたんじゃないか」と言った。

「覚えています。勝ち気だったんで天狗にはなってたところはあって……」

「でもそこで学んだことが、競技は他の人との対戦なんですけど、そのほかの人を気にしてたら、競技がおろそかになるというか、自分に集中できないっていうところがあったので。だから山本篤さんに負けて、一番は自分との戦いだなっていう風にそこで感じました」

◾️その1ヵ月後、2023年6月に行われたジャパンパラ競技大会で近藤選手は100m・200m・走幅跳の3種目をすべて制し、3冠を達成。

「3冠はかなり自信がつく大会になりました。でもまだその時も天狗になってたと思うんですけど。でも、嬉しかったです」

◾️近藤選手は2023年7月、パリで行われた世界パラ陸上に、走幅跳で出場。これが国際大会のデビュー戦だった。

「初めての世界舞台だったので、本当にわくわくして臨んだんですけど。まだ経験が浅い状態で7位入賞できたことは、そのときは満足していて。で、大会が終わってから、やりきった感があって。もう練習も、やる気もちょっと落ちていたというか。やる気もなくなっていました」

◾️その3ヵ月後、2023年10月に中国・杭州で行われたアジアパラ陸上で近藤選手は大会新記録の6m16を跳び、金メダルを獲得した。

「アジアで優勝できたので、今まで国際大会でもメダルを取ったことがなくて。で、足がなくなって、義足になってメダルを取れたので、かなり自信になりました」

◾️しかし、パリ・パラリンピックには出場することができなかった。

「パリ・パラリンピックに関しては、自分では行けると思っていました。まだ参加の標準記録も出てなかったので。でも自分は行けると思い込んでいました」

◾️目標のロス・パラリンピックまで、あと2年。100m、200m、走幅跳で課題は?

「100メートルは、スタートが課題だと思っていて。かなりピストルが鳴ってからワンテンポ、ツーテンポぐらい遅いタイミングで僕は出てしまってるんですけど、そのスタートのロスをなくすことで、だいぶタイムは縮めれると思っていて。この冬にかなりスタートの練習はして、まだまだ鍛えないとダメなんですけど……初戦で、3月のこの時期なんですけど、ベストは出すことができました」

「幅跳びで言ったら、助走はある程度早いタイミングで、速いスピードで走れていってるので、あとは踏み切りだけの問題で。その踏み切りを、どういう角度で入ったらいいかとか、どういう足の使い方っていう、細かいタイミングだとか、設置の位置だとかっていうのが1番のポイントだと思っています」

「200は後半の最後のひと伸びっていうところですね」

◾️去年の11月に国立競技場で行われた「NAGASE CUP」では800mに初挑戦。2分39秒18の世界新記録を樹立した。

「800メートルを走る練習をしてたんですけど。最初の1周を走って、2周目に入ることも最初の練習ではできなくて。もうメンタル面でかなりも負けていたというか。しんどい種目なんです。頑張れば走れるんですけど、しんどい種目なんで、メンタル面を鍛える練習にもなりました」

◾️今年10月には、アジアパラ競技大会が愛知・名古屋で行われる。

「一番はアジア大会にピークを持ってきて、そこの大会を最終目標にしています」

「幅跳びでは、また大会新記録を出して優勝することを目標としていて」

「で、100メートルでは前大会は5位だったんですけど、メダルを取りたいなと思っています」

◾️近藤選手にとって、パラ陸上の魅力とは?

「パラ陸上の魅力っていうのは、それぞれの障がいを、皆さん持ってると思うんですけど、その障がいを持った中でもいかにパフォーマンスを出すことができるのか。例えば義足だったら、その義足のバネの跳ねる感じを使って走ったりだとか、飛んだりだとか。健常者にはない考え方、見方で、バネの力を使って最大限に飛んだり走ったりするので。そのバネを使った中での競技の楽しさを感じてもらえるのかなと思っています」

「10月のアジアパラ、自分も恐らく笑って競技に臨んでると思うので。ワクワクしてたら自然と気持ちも昂ぶって、競技を楽しん楽しんだら結果は出ると思います」

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