ニッポンチャレンジドアスリート

2025.04.14

三澤拓(パラアルペンスキー/パラゴルフ)

1987年生まれ、長野県松本市出身の37歳。6歳のとき事故に遭い左足の太ももから下を失いますが、8歳からスキーを始め、並行して野球チームにも所属。夏は野球、冬はスキーの生活を送ります。15歳からパラアルペンスキーのナショナルチームに加入。2006年、トリノパラリンピックに出場。立って滑るクラスの回転で5位に入賞。以降、2022年の北京大会まで、5大会連続で冬季パラリンピックに出場しました。現在は第一線から退き、選手の育成に力を入れる一方、新たにパラゴルフを始め、競技者としてさらに上を目指します。

◾️6歳のとき事故に遭い左足の太ももから下を失ったが、長野で育った三澤選手は、8歳からスキーを始める。

「学校の行事みたいのでスキー場へ行ったとき、まだその片足でスキーをやるやり方がね、誰も知らなかったし、ぼく自身ももちろんそうですけど、周りの人もわからなくて。1人で、友達がみんなスキーを楽しんでる中で、ぼく1人でソリをしてたんですね。それがやっぱり悔しくて。その行事が終わって家に帰ってから、親に『俺もスキーがやってみたい』っていう話をしたことがきっかけですかね」

「当時はアウトリガーという手に持つ道具があって。ストックの先に小さなスキーがついてるようなものをイメージしてもらえばいいんですけど。そのアウトリガーという道具を、当時コーチになってくれた方から借りて、スキーのときは片足で両手にアウトリガーという道具を持って滑り出したっていう形ですね」

◾️その後、本格的にスキーを始めた三澤選手。

「小学校5年生のときに、地元にある野麦峠スキー場というところの、アルペンジュニアスキークラブっていうんですかね。そこに健常者と交じって、小学校5年生のときから始めたっていうのが、始めかなとは思ってます」

◾️中学3年生のとき、初めて日本代表チームに招集された。

「中学3年生のときから障害者アルペンスキーチーム、ナショナルチームに入ったんですけど。中学校2年生のときにジャパンパラリンピックっていう、日本選手権みたいので2位に入って、当時1位だったかたがワールドカップとかパラリンピックも出てるかたで。1位になればそういう世界にね、パラリンピックも出られる、世界に行ける選手になるのかな、と自分の中でも意識し始めて」

「で、実際中3のときには1位になってたし、そのときにナショナルチームに、日本代表に入れるんだみたいな。ふわっとした感じでしたけどね」

◾️2006年、高校3年生のときにトリノパラリンピック代表に選ばれた三澤選手。初出場にも関わらず回転で5位に入賞した。

「初めてのそういう大舞台で、無我夢中にやってたっていう感じで。そんなに、どういう滑りだったとかっていうのも、自分自身のそんなに記憶はなくて。ひたすら目の前にあるレースをやりきるっていう感じだったので」

「回転が元々得意だったので、5位に入賞できて。1桁順位っていうのは良かったかなっていうのは、自分でも覚えてますけど」

◾️トリノパラリンピックの後、北京大会まで5大会連続で出場した三澤選手。特に印象に残っている大会は?

「やっぱりトリノのあと4大会、合計5大会出ましたけど。トリノとバンクーバー、既存のスキー場を利用した大会でしたけど。2014年のソチは、ロシアの山をこう切り開いてね、スキー場作ったりとか。2018年の平昌も、北京も、自然をこう切り開いて、スキー場作ったので。元々既存のスキー場ではなくて、徐々にこう、スキー場作っていく大会になっていったので、複雑な思いも正直あったりとかしていたので……」

「いい思い出ばっかりじゃなくて、そういうある意味自然をね、壊してしまう部分も実際現場で見ていたので。こう、本来の姿はどういったものなのかなとか、自分なりにこう考える時間もたくさんあったなっていう風に思ってますね」

◾️三澤選手は、2022年の北京パラリンピック終了後、ひと区切りつけ、来年のミラノ・コルティナ大会は目指さないことにした。競技の第一線から退く決断をした理由は?

「5回っていう、数字的な一区切りみたいな自分では感じていて。出るならやっぱり1番を目指さなきゃいけないと思っていたので。平昌、2018年終わってからは、なんとなく頭の中片隅には『終わりが近いのかな』っていう風には自分でもちょっと考えてたかな、と思います」

◾️現在、パラゴルフの大会にも出場している三澤選手。

「ゴルフは、最初の出会いは、コロナ禍でなかなか外に出ること自体が難しくなってたときに、ゴルフは屋外でやるので『ちょっとやってみるか』と思って、打ちっぱなし行ったのが最初のきっかけで。実際打ちっぱなし行ったら、思ったよりうまく打てなかったけど、当たったときの気持ちよさはあったし……」

「それから奥さんと数回ラウンドして、難しかったけど面白さもあって。こう、スキーではこうパワーだったりを使って取り組むものでしたけど、ゴルフは違った難しさがあって。それが楽しかったので。ゴルフもっとうまくなりたいなと思ったのが、北京大会の前でしたけども。今は結構ゴルフに取り組んでいるていう感じですね」

◾️三澤選手が最近出場したパラゴルフの大会は?

「障害者ゴルフのね、日本選手権があって。それが去年は11月の初めですかね、福岡の方であったんですけど。そのときはちょっとあんまりうまくいかなかったんで。日本選手権が11月にあるはずなので、頑張っていくっていう感じですね」

◾️ゴルファーとしての、三澤選手の今後の目標は?

「まずはパラゴルフの日本選手権でトップを目指したいですし。何年後とかっていう風には今は決めてないですけど、ゴルフは逆に、年を重ねても続けられるスポーツなので。ずっと続けていきたいなって今は思ってます」

◾️三澤選手にとって、パラアルペンスキー、パラゴルフの魅力とは?

「ぼくの場合は、義足になって走るのが遅くなってしまってスピード感を失いましたけど、スキーに乗っていればやっぱりスピード感を楽しめるっていうのは、パラアルペンスキーの1つの魅力だと思ってます」

「パラゴルフの魅力は、当たったときの気持ち良さっていうのはやっぱり、スキーにはない魅力だと思うので。打ったときにこう、うまくいったときの気持ちよさを、18ホールの中で何回も続けたいなっていう風に思っているので。そこが魅力なんですかね、ゴルフの」

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