私は2008年から2019年までアナウンサーとしてテレビ朝日に勤めていたのですが、

やはり一番印象深い方と言えばタモリさんです。

「ミュージックステーション」で、

タモリさんの横で５年間サブMCを務めさせて頂きました。

生放送の後はよく、

タモリさんの行きつけのウィスキーバーにスタッフ含めて連れて行って頂きました。

タモリさんの行きつけのウィスキーバーは、ウイスキーがズラ～っと並んでいて、

バーのマスターが現れて「タモリさん、今日はイイのが入りましたよ」

タモリさんは「おおそうか、飲んでみようか」と。

多分、世界に少ししかない希少なウイスキー、私たちはそのおこぼれを頂くんですけど、

それがめちゃくちゃ美味しいんですよね。

ウィスキーをチビチビ飲んで、一口飲んだらみんなで感想を言い合う感じだったんですけど、

私はそんなウイスキーを飲んだことが無かったので、

飲んだら目の前が万華鏡のようになってキラキラキラッと輝き出すんですよね。

それをそのまま表現したら、タモリさんは凄く嬉しそうに笑っていました。

タモリさんは、ウィスキーを女の人に例えて楽しんでいらっしゃいました。

「これは下町のアパートのベランダでうちわを仰ぎながら、

　道ゆく人を眺めている少し疲れた熟年女性の味がする」みたいな。

そんな表現を楽しみながら飲んでいました。

タモリさんは、こちらが一つ話題を投げかけると、

そこからいくらでも広げられる方で、なんにでも造詣が深い方だなと思いました。

私がテレビ朝日を退社したときに、もちろんタモリさんにもご挨拶にいったんですが、

「この後何するんだ？」と聞かれて、

「コーヒーが好きなので、コーヒーの勉強をしたいです」とお伝えしたら、

「熊本に珈琲アローてお店があるの知ってる？今度行こうと思ってるんだ」

紅茶のように薄い色をしているコーヒーなんだそうですが、

タモリさんてコーヒーも精通されているんだと、

底が知れない方だなって改めて思わされました。

あと、タモリさんはジャズがとってもお好きで、色んな曲を教えて頂きましたね。

中でも私が好きになったのがフランクシナトラの「 Fly Me to the Moon」。

タモリさんがこの曲を教えて下さった時、一つの映画の話をして下さったんです。

それは 「スペース・カウボーイ」という映画です。

ずっと月に行きたかったパイロットが、老人になって、

奇跡が起きて月に行けることになるんです。

月に行って亡くなるんです。

ちょっとネタバレになっちゃってすみません…。

その幸せそうに逝くバックで「 Fly Me to the Moon」という曲が流れるそうなんです。

タモリさんはそんな逝き方をしたい、とおっしゃっていました。

 Fly Me to the Moon　/　フランク・シナトラ

人生の最期に流れる曲としては、やけに愉快でハッピーな曲だと思いませんか？

死ぬ間際に夢が叶って、幸せいっぱいな気持ちを表しているんじゃないかなって思います。

タモリさんは「この映画はこの曲がいいだよ」とおっしゃっていました。

そんなタモリさんから教えてもらった人生のメソッドは

「漠然と楽しむな、感受性を掘り起こさせ！」

これはあくまで個人的にタモリさんから学んだメソッドなんですが、

お酒を飲むにしても、ただ飲むんじゃなくて、心の底から味わう。

周りの人と共有して、自分ならどう表現するかを楽しむ。

色んなことに自分の感情を動かしていくのが、

人生を豊かにする秘訣なんだろうなと思いました。

「ライオン・メソッド presents竹内由恵 人生のメソッド」

来週は、ナインティナイン矢部浩之さんから学んだ「人生のメソッド」です。