あなたは最近、「マッチ」を使いましたか?
僕が学生の頃は、喫茶店やホテルには当たり前のように「マッチ」が置いてありました。
喫茶店に置いてあるマッチ箱は、お店のロゴと電話番号が書いてあって、店それぞれのデザインに味わいがありました。今、あのマッチ箱を見たら、逆にレトロでオシャレかもしれませんね。
そんな「マッチ」が誕生したのは19世紀。1827年にイギリスのジョン・ウォーカーという人が、摩擦によって発火する「摩擦マッチ」を考案。「こするだけで火をつけることができる」というので、当時、大きなセンセーションを巻き起こしたのだそうです。一方「日本のマッチの歴史は?」というと、明治8年、1875年に清水誠という人によって、日本のマッチ製造がスタート。その後、日本のマッチは安くて高品質と評判になりまして、海外にも輸出されるようになり、明治・大正時代にはなんと、スウェーデン、アメリカと並ぶ、世界3大マッチ生産国になりました。日本はマッチ産業が盛んだったのですね。その後は、ライターなどの普及によって次第にマッチの需要が減っていき、今のような状態に至ります。
今回はそんな「マッチ」にまつわる話題を!岡山県岡山市にある「中外燐寸社(ちゅうがいまっちしゃ)」というマッチメーカーが「HOWARI」という、今の時代に合ったコンセプトのマッチを販売して、注目されているのです。一体どんなマッチなのでしょうか?
「株式会社 中外燐寸社」の代表取締役、田中礼一郎さんにお話し伺います。
晴の輔 時代に合ったコンセプトの新商品「HOWARI」とはどのようなマッチなのでしょう?
田中「『HOWARI』は、一見マッチ箱とは思えない、ピンク、オレンジ、黄緑、空色などの淡いグラデーションの6色の箱から2色の箱をセットにして、それを窓付の紙製BOXにパッケージして売っています。2色はランダムにアソートされているので、店頭では、お好きな色の組み合わせのマッチ箱をお選びいただけます。さらに、マッチ箱の中には1本1本丁寧に選別された白い頭のマッチ棒が約40本入っています。」
晴の輔 頭の色は白?イメージするのは赤色です。
田中「赤色は一番多いと思います。白い頭にしたのは、どのような色にでも染まっていけるというイメージを表しています。」
晴の輔 しかもマッチ箱がピンクやオレンジ…あまりピンク色というイメージ浮かびません。時代にあった「マッチ箱」自体からデザインされている。
田中「こだわった部分がありまして、日常使いだけではなく、ご自宅でお香やアロマキャンドルを楽しむ時にも似合うスタイリッシュで美しいセレクトマッチ棒を使って心を癒して頂けたら、という想いで開発しました。また使ってくださる方への『健康のこだわり』もあります。弊社が製造しているマッチは全て約50年前に特許を取得した『脱硫マッチ』というものなのですね。『脱硫マッチ』マッチの頭薬に硫黄を使っていないので、火をつけた時に喘息発作の原因となる有毒な亜硫酸ガスが出ないのです。それと硫黄を使用していないので一気に激しく燃え上がることはなく、擦るとやわらかい炎が『ほわり』と立ち上がり、見ていると安らぎと温もりを与えてくれますよ。また『ツン』とした刺激臭がしないため、アロマキャンドルやお香の香りを十分楽しめるのですよ。」
晴の輔 なるほど!そこから「HOWARI」なのですね。とても美しい表現です。
田中「マッチは化石燃料を燃やすのではないので『カーボンニュートラルな製品』であるので今の時代に『マッチ』したものであると。(笑)」
晴の輔 上手い!(笑)時代にマッチしたマッチ!「マッチ箱くらいの大きさ」という表現があります。
田中「マッチをすったことが無い方も増えてきています。」
晴の輔 確かにそうです。いつのまにかちょっと見なくなっている。
田中「おっしゃる通りです。マッチの需要は年々減少しています。」
晴の輔 日本国内にマッチを製造しているメーカーも減っているのでしょうか。
田中「最盛期には全国に200社を超える燐寸会社があったようですが、現在は岡山県に弊社1社と兵庫県に2社の合計3社残っているのみです。」
田中「そんな状況でして『新しいマッチのニーズ』を掘り起こしていこう!と『HOWARI』をご提供し始めました。」
晴の輔 田中さんから見たマッチの魅力はどのようなところ?
田中「人間は炎を見つめることにより、心が癒されることがあります。ですからマッチには人の体を物理的に温めるだけでなく、心も同時に温めるという魅力があるのです。もちろん、キャンプなどで火起こしに使って余暇を楽しむこともできます。まさに人々の生活をあたため、心をあたため、人生を豊かにしていくということがマッチの魅力だと思いますね。それから、マッチをするときの『シュッ』という音も心に残る独特の美しい音だなぁと感じるのは私だけでしょうか。皆様いかがでしょうか」
中外燐寸社の代表的なマッチの商標「太鼓獅子」
【どっちだ!?晴の輔】
毎週スタッフから二者択一のお題が出ます。私がそれを選ぶというコーナーでございます。
「晴の輔さんが、マッチを使って火を付けたいのは・・・
『お線香』につけたい
それとも
『アロマキャンドル』につけたい
どっちだ!?晴の輔」
落語家に似合うのはお線香でしょう。円楽師匠、たい平師匠もCMで歌われていますよ。ちょっと待って…これはね…あ…決めました!
火を付けたいのは「アロマキャンドル」
落語家にアロマキャンドルって似合わないでしょ?
今日は「岡山市のマッチメーカーが、時代のコンセプトに沿ったマッチを発売!そこに込めた想いとは?」というトピックスでお届けしました。驚きました。マッチを作っている会社は今3社しかないのですね。その現実も含めて改めてマッチの魅力をどう知ってもらうか?その想いが新商品「HOWARI」に込められていると思います。皆様是非!
それでは、次回もお会いしましょう!立川晴の輔でした。
-WEB版こぼれ話し1-
田中「現在のマッチ業界全体の出荷量は最盛期の140分の1で、毎年5~10%の減少傾向になっているのです。」
晴の輔 そうなのですか。ちなみに創業はいつ頃なのでしょう。
田中「現存するマッチ会社の中で最も古く、1890年/明治23年です。今年で創業133年目になり私で五代目となります。」
晴の輔 伝統を背負われています。
-WEB版こぼれ話し2-
晴の輔 新商品の「HOWARI」をはじめ、どんなことを発信していきたいですか?
田中「私どもの工場を見ていただくと、一つの製品を完成させるまでに、多くの材料が必要で、人がたくさん関わり、数多の工程を経て、作られているのが分かると思います。工場にはこつこつとメンテナンスをして50年稼働している古い機械がたくさんあります。そうしたマッチ作りを見ることは凄く勉強になると思うので、小学校の社会科見学の場として弊社の工場を提供するべく、現在工場内整備を進めています。」
鉄板に軸木をさして、パラフィンと頭薬(とうやく)塗布後、乾燥させている工程
軸木を頭薬中に浸して引き上げると、表面張力により、マッチの頭が形成される。
マッチの外箱を制作している工程
マッチを外箱に詰める工程
晴の輔 それはいいですね!
田中「昔はやっていたのですが、復活させたいですね。マッチをすれない子も増えていますね。」
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