あなたは「秘伝のタレ」と聞いて何を思い浮かべますか?
あなたの家の近所に鰻屋さんはありますか?うちの近所には2軒ほどあって、店の前を通ると蒲焼の香ばしい香り。落語のフレーズにもある「この匂いだけで、ご飯を一杯食べられちゃう」というやつです。老舗の鰻屋さんになると、創業当初から「継ぎ足し、継ぎ足し、受け継がれている秘伝のタレ」を使っています。なんてことを店主が言っているでしょ。「うなぎのタレ」のベースは「醤油、みりん、砂糖、お酒」と、家庭でも作れそうな気がするのですが、老舗のあの味は絶対に出せません。やはり「継ぎ足し」がミソのようです。ちょいと調べると、タレを継ぎ足して使い続けることで「深み」がでます。そこに「燻製の香り」などがプラスされ、独特の風味になるそうです。要は「継ぎ足しの回数が増えれば増えるほど、深みと旨さが増す」。まさに、この世に二つと無い「秘伝のタレ」ってやつですね。今回取り上げるのは、岐阜県海津市に、今年で創業100年の「いなりや」という老舗のうなぎ屋さん。そのお店が「うなぎの秘伝のたれを使った、スイーツ」を販売しているのですって!鰻屋さんがスイーツ?一体どんなスイーツなのか?
「いなりや」の河合克英さんにお話し伺います。
晴の輔 「いなりや」さんが作られた「秘伝のタレ」使用スイーツとは、ずばり何でしょう?
河合「うなぎのタレを『カラメル』に見立てたプリンです。当店のメイン食材の『うなぎ』と、当店がある『日本三大稲荷』の1つともいわれる『お千代保稲荷』さんの『いなり』を組み合わせて『うなりプリン』と名付けました。」
晴の輔 近くのお稲荷さんが、有名な「日本三大稲荷」ですか!「うなぎ」と「いなり」を組み合わせた「うなりプリン」。お稲荷さんは「きつね」で、プリンは卵、鶏ですか!「うなぎ」「キツネ」「鶏」の日本三大生き物!と言われていることは多分ないと思うのですけど(笑)。どのような種類があるのでしょう?
河合「地元産の新鮮たまごを厳選し『卵黄のみを使用したイエロー』と『卵白のみを使用したホワイト』の2種類があります。イエローの方は、濃厚でなめらかなタイプ。ホワイトの方は、ちょっと硬めで甘さ控えめなタイプです。また今年の3月に、2ndバージョンとして新作2種類を発表しました。今年の秋頃には3rdバージョンとして、また新作を発表するべく、試作している段階です」
晴の輔 2ndバージョン、3rdバージョン!2ndアルバム、3rdアルバムみたい!
河合「一発屋で終わらないように、2作目、3作目も続けていきたいなって思っています。来年創業101年、さらに200年に向けて『タレの可能性』を模索しております。その一環としてプリンを始めさせていただいています。」
晴の輔 タレは代々受け継がれているのですよね。
河合「継ぎ足し、継ぎ足し、100年伝承されてきた『宝』です。」
晴の輔 河合さんは何代目なのですか?
河合「私で4代目となります。」
河合「攻めているのかもしれません。ただ、100年の伝統は、私が100年やったわけでもなく、先代がいたからこその、おかげ。今後、同じようなことをやっていて何もせずに150年、200年となるとは、思えなかったですから、良き伝統を引き継ぎながらも、新しいテイストを加えたいと思っていました。」
晴の輔 うなぎのタレとプリンの相性は。
河合「『う巻き』という料理があります。卵とうなぎのタレの相性がいいのです。ですから、『玉子で出来たプリン』と『タレ』は行けるのではないかと、思っていました。試作して食べてみたところ、最初はちょっとウナギのタレをかけずに、そのまま召し上がっていただきます。その後、うなぎのタレを、2、3滴落とすと『キャラメル』『カフェオレ』『甘いみたらし団子』のような味わいに変化したのです。名古屋飯の代表『ひつまぶし』のように『味の変化』を楽しんでいただける面白さがあります。」
晴の輔 なるほど!それをヒントに!
河合「そうです。当店も『ひつまぶし』が代表的なメニューです。」
晴の輔 ポイントは味変。そしてタレ。
河合「先代、三代目である私の両親は、健在で一緒に仕事させてもらっているのですけど、腹の中ではどう思っているんかな(笑)。」
晴の輔 (笑)なるほど。
河合「納得していると思っています。」
晴の輔 お父さんがお墓参り行った時に、初代と3代目にタレこんでいるのでは?
河合「(笑)そうかもしれません。」
晴の輔 鰻屋さんから、プリンという発想が凄い!タレを、100年守り続ける。でも商品は100年をきっかけに、どんどん攻めています。
河合「攻めることが、守ることだとも思います。伝統を守りながら、攻めていきたいですね。」
「どっちだ!?晴の輔」。
毎週スタッフから二者択一のお題が出ます。私がそれを選ぶというコーナーでございます。
「晴の輔さんが『いなりや』さんに行って、食べたいのは・・・
【うなりプリン】
それとも
【蒲焼】
どっちだ!?晴の輔」
「いなりや」さんにお邪魔したら、プリンか蒲焼か、どっちを食べたいか…よし…
決めました!
「食べたいのは、ひつまぶし」
どっちも選ばない。どうだ!たまには、こんな日があってもね。うなぎじゃないけど
今日は「岐阜県海津市の老舗うなぎ料理店が発売した商品は秘伝のタレを使ったスイーツ?!」というトピックスでお届けしました。100年守り続けている秘伝のタレを、ちょんちょんとかけて食べるプリン。100年の深みの味、どんな味なのだろう?食べてみたい!
そんな「いなりやのうなりプリンに」に
それではまた、次回もお会いしましょう!立川晴の輔でした。
-WEB版こぼれ話し1-
晴の輔 100年守り続けている「秘伝のタレ」、新しい可能性を感じられていますか?
河合「『うなりプリン』によって、タレの可能性は、最初の段階において開拓することができました。それから2020年に近隣店舗、地元生産者さんらと、連係、コラボ商品を作ることができました。これを『うなり起承転結』と発表しました。」
晴の輔 うなり起承転結!
河合「私の中では、昨年は特別な年でしたし、コラボも初めての試みでした。」
晴の輔 どのような商品なのでしょう?
河合「当社の『うなりプリン』と地元パン屋さん『ブーランジェリー・アン・パン』の『クロワッサン』でサンドして、うなぎのタレをかけたもので『うなりハニークロワッサン』。
他には、うなぎのタレを塗りこんだ『ラスク』である『うなり塩キャラメルクロワッサンラスク』を作りました。また、その『ラスク』と『うなりプリン』『地元生産者の農作物』を一つの器に盛り込んだパフェのような『うなりプラス』。」
晴の輔 「うなりプリン」も進化している!
河合「今年に入ってからも、夏に向けた新作として「うなぎのタレ」と麺を使用したコラボ商品を試作中です。」
-WEB版こぼれ話し2-
河合「色々とコラボさせていただいて感じたのは『鰻屋という狭い視野でしか、物事を捉えられなかった』ということです。それを多くの方とお話ししていくうちに、多くの発想、違う使い道など、学ばせていただくことができました。そして、本来のうなぎ料理に生かすヒントも得ることがありました。」
2024.10.07
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