日本で古くから食べられていて、とてもなじみの深いものの1つ
『梅干し』についてです。
■今週(6/6~6/10)のテーマ:『梅干し』
6/6(月) 『梅と梅干し』
梅干しは、まだ熟していない状態の梅『青梅』の実を塩漬けにして、
天日干ししたものです。
梅干しの材料となる梅ですが、大きく分けて
お花の観賞用の『花梅(はなうめ)』と、実を食用としてする
『実梅(みうめ)』に分かれます。
梅の品種はとても多くて、実梅だけでも約100種類あるそうです。
そんな梅のふるさとは中国です。
歴史は古く、約2000年前に書かれた中国で最も古い医薬品の本に、
梅のことが書かれてあったそうです。
日本に伝わったのは3世紀の終わり頃といわれていて、それ以来、
日本人の生活と文化に深く結びついています。
実は6月6日は『梅の日』だそうなんです。
これは室町時代の天文(てんぶん)14年(1545年)4月17日、
京都・賀茂神社の祭典でのことです。
時の後奈良天皇が、当時は大変貴重だった梅を奉納され、
五穀豊穣と人々の健康を祈願したことに由来しているそうです。
この4月17日が現在の暦では6月6日にあたり、
ちょうど梅が実って収穫が本格的に始まる時期でもあるため、
この日を『梅の日』としたそうです。
私、梅干し大好きなんですネ。
実家でも梅干しを作っていて、
この季節になると縁側で、竹のカゴに梅を干してましたネ。
昔の梅干しは“酸っぱかった”というよりも、
“しょっぱかったなぁ”っていう記憶です。
なんかこう、梅干しの話をしているだけで、
クチの中が酸っぱくなってきますよネ。
でもこの季節、“梅干しは物を腐らせない”っていう
魔法を持っていますので、最適な食べ物ですよネ。
6/7(火) 『日本の梅干しの歴史』
8世紀頃、中国から薬用の『烏梅(うばい)』が
日本に伝わってきました。
烏梅は青梅を燻製し、乾燥させたものです。
色がカラスのように真っ黒いことから、この名前が付いたそうで、
写真を見ると確かに黒くて、“黒い梅干し”というイメージです。
見ようにとっては、黒い石にも見えますよネ。
その後、日本でも梅の薬用としての効果が知られるようになると、
梅の実を塩漬けして、保存食や薬として活用していたそうです。
この“梅の塩漬け”が“梅干しの原型”と考えられています。
平安時代の中頃、時の村上天皇が病気の折には、
梅干しと昆布入りのお茶で体調が回復した・・・と伝えられています。
同じく平安時代の中頃に書かれた、日本で最も古い医学の本にも
梅干しが登場し、その効能が取り上げられているそうです。
そんな梅干しですが、のちの戦国時代には武士の間にも広まり、
戦の際の携帯食として重宝されていきました。
江戸時代になると、梅干しは庶民の間にも広まっていきます。
そして大晦日やお正月、節分といった特別の日には、縁起物として、
梅干しなどが入った『福茶』をいただくようになりました。
それ以降も梅干しは常に、私たちの食生活と深くかかわっています。
梅にはお薬のような効果があると、昔から分かっていたんですネ。
おにぎりが悪くならないように、梅干しを入れて
竹の皮に包むのが良いとか、お粥に入れたりお茶に入れたり、
具合が悪い時に食べるものとして、
おばあちゃん達に聞かされて育ちました。
この季節は湿気が高くなりますので、
あのシャキッとする酸っぱさが本当にマッチしますよネ。
6/8(水) 『梅干しの栄養』
梅干しには様々な栄養素を含んでいますが、そういったことから
昔から『1日ひと粒で医者いらず』といわれているそうです。
梅干しは梅を干して、水分を蒸発させて作りますが、
それによって栄養素が凝縮され、
効率良く摂ることができるといわれています。
梅干しの酸っぱさの成分であるクエン酸には、胃腸の働きを良くして、
食欲を高めてくれる効果があります。
同時に、消化を助ける働きもしてくれます。
また、疲労の原因となる乳酸を抑える働きがあることから
疲労回復に効果的とされています。
さらにクエン酸には、カルシウムの吸収を高める働きがあります。
そこでカルシウムを豊富に含む食品、例えばシラスなどと
一緒にいただくと良いそうです。
他にも梅干しには、ポリフェノールの一種『梅リグナン』が
含まれています。
この梅リグナンには、生活習慣病を防ぐ抗酸化作用や、
細胞の老化などを防ぐ働きが期待されています。
そして梅干しには、『バニリン』という成分が含まれていますが、
このバニリンには、脂肪を燃焼させる効果があるとされています。
つまり梅干しは健康だけでなく、
美容にも効果が期待できるということだそうです。
これは絶対、毎日ひと粒食べないといけませんねぇ。
今、ドラマの現場で疲れてくると、
梅干しを食べて疲労回復をはかっていましたが、
今日からは美容のために食べよう!と思いました。
紫蘇で漬けたもの、ハチミツが入っているもの・・・いろいろありますが、
あの酸っぱい昔ながらの梅干しが私は一番好きだな。
皆さんはどんな梅干しがお好きですか?
6/9(木) 『梅干しの雑学』
“6月6日は『梅の日』です”とご紹介しましたが、
『梅干しの日』というのもあるそうなんですネ。
それはいつかといいますと、7月30日です。
これは古くからの『梅干を食べると難が去る』という言い伝えが関係していて、
7月30日を“ナンがさる”と読む語呂合わせから
この日になったそうです。
当日は朝6時から8時の間に、その年の恵方を向いて
梅干しを食べると気が高まり、精気がみなぎるんだそうです。
今年の恵方は『北北西』です。
ちなみに、食べると良いとされる時間帯が“朝6時から8時”なのは、
『朝、出かける前に梅干を食べると、その日は災難を免れる』という
言い伝えが、今も根強く息づいているからだそうです。
そんな梅干しですが、同じ梅干しでも“昔ながらの梅干し”と
呼ばれるものは、塩分の量が18%から20%だそうなんですネ。
実際、今でもこの塩分の梅干しはありますし、
それ以上のものもあるそうなんですネ。
これくらいの塩分の量ですと、常温で保存しても
腐りにくいんだそうです。
でも今は“塩分控えめ”、8%や5%の梅干しを見かけることが
多いかと思います。
そういった梅干しの場合、水分が飛ばないようにちゃんと密封して
冷蔵庫での保管を勧めています。
『梅干しの日』 7月30日。恵方を向いて梅干しを食べる。
これ私、初めて知りました。
先日、100年前に漬けられた梅干しをいただいたんですが、
めちゃめちゃ美味しかったです。
だから梅干しは、保存食でもあるだなぁ~と思いました。
梅干しって本当に素晴らしいですネ。
6/10(金) 『梅干しの言い伝え』
昔からある“一緒に食べてはいけない”といわれる
『食べ合わせ』の中に『うなぎと梅干し』があります。
モチロン、これはまったくの迷信で、科学的な根拠はないんですって。
それどころか梅干しには、うなぎにたっぷりと含まれている
脂の消化を助ける働きがありますし、梅干しの酸味成分で
サッパリといただくことができます。
そうなると、どこから『うなぎと梅干しの食べ合わせは良くない』という
迷信が生まれたのでしょうか?
これにはいくつか説がありまして、例えば『食べ過ぎを防ぐため』です。
確かに梅干しには、食欲を増す効果がありますし、
うなぎもご飯が進みますよネ。
そこで“ついつい食べ過ぎないように・・・”と、
この迷信が生まれたのでは?とする説です。
また、『梅干しの消化を助ける働きが、うなぎの栄養分を
消してしまうから』という説もあるそうなんですが、
モチロン、そんなことはありません。
他にも、うなぎは高級食材で、“食べるのはぜいたく”ということで
庶民のぜいたくを戒めるために、
こういった迷信を流したのでは・・・という説もあるそうですよ。
いずれにしても迷信ではあるんですが、うなぎや梅干しに限らず、
どんな食材でも食べ過ぎは良くないですから、
その点では注意が必要ですよネ。
『うなぎと梅干し』は、私は未だに信じていて、
食べていないんですネ。
“先人たちの教え”には、きっと何かあるはず・・・って、
頭が思っちゃっているんですねぇ。
海外に行く時は梅干しをいつも持参して、助かったことが何度もあります。
梅干しは日本人のソウルフードの1つですネ。
■今週の感想
番組でもお話しましたが、私、梅干しが大好きなんです。
そのままいただいても美味しいですが、
梅肉を叩いて、何かとあえたりしても美味しいですし、
お茶に入れても美味しいですよネ。
もし梅干しがなかったら、日本人の食生活はどうなっていたんでしょうか。
ひょっとしたら大きく変わっていたかもしれませんネ。
これから夏場に向けて、梅干しで体調を整えていきましょうネ。
【お知らせ① 次週(6/13~)からのテーマ】
モノの取引の時に必要な『お金』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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