スズキ・ハッピーモーニング 羽田美智子のいってらっしゃい

2022.03.11

2022年3月7日(月)

今年もこの季節になりました。『卒業』についてです。

 

■今週(3/7~3/12)のテーマ:『卒業』

 

3/7(月)  『卒業とは』

 

『卒業』という言葉を辞書で調べますと、

『学校のすべての課程を学び終えること』とあります。

同じ学校でも小学校や中学、高校、大学では

『卒業』という言葉を使いますが、大学院や専修学校などでは

卒業ではなく、『修了』という言葉を使います。

修了は『学業などの一定の課程を終えること』という意味です。

 

つまり、同じ学校でも“すべての課程”と“一定の課程”の違いで

『卒業』か『修了』になるというわけなんですネ。

 

また卒業には『ある段階や時期を通り過ぎること』という

意味もあります。

例えば“ゲームから卒業しました!”“実家暮らしを卒業しました!”

“ネガティブな自分から卒業します!”といったように、

卒業という言葉を使いますネ。

 

他にも『束縛や規則から解放されること』という意味でも、

卒業が使われています。

尾崎豊さんの曲『卒業』にも『この支配からの卒業』という歌詞が

出てきますよネ。

 

さらにメディアでは“レギュラー番組からの降板”や

“バンドやグループから脱退”の意味で、

『卒業』という言葉がよく使われています。

 

このように『卒業』という言葉は、いろいろな場面で

様々な意味で使われています。    

 

 

この頃は離婚することも『卒婚』という言葉を使う方たちも

いらっしゃいますよネ。

『卒業』、学び終えてそこから巣立っていくイメージです。

寂しいイメージもありますが、新しく始まることに

ドキドキしたりワクワクしたり、未来を感じる言葉でもありますよネ。

 

 

3/8(火)  『卒業式の歴史』

 

『卒業式の歴史学』の著者で、『卒業式』をテーマに研究されている

有本真紀(ありもと・まき)さんによりますと、

日本の卒業式は“日本特有の学校文化”といえるんだそうです。

 

そんな日本の卒業式の歴史は、1876年(明治9年)

現在の東京・新宿にあった陸軍戸山学校で

始まったそうです。

その翌年には東京大学で初めての卒業式が行われ、その後、

他の公立学校などでも行われるようになっていきました。

 

ただ当時の卒業式は“試験の場”とか

“成果の発表の場”という意味合いが強かったそうなんですネ。

その後、1892年に全国の小学校が『4月始まり』で統一され、

同時に“卒業式=3月”というスタイルが全国化されていきます。

こうして卒業式が3月に行われるようになったことから、

“卒業=桜”のイメージが出来上がったそうです。

 

やがて卒業式は現在のような“学校生活の集大成”として、

位置付けられるようになります。

同時に、卒業生や教職員の方々の感情も伴うものになり、

これが“涙の卒業式”の始まりと考えられています。

 

そして戦後になると卒業式は、“学校生活最大の節目”として

重視されるようになり、より感動的な卒業式を目指す傾向が

強まっていったそうです。

 

 

卒業式。

慣れ親しんできた友達との別れ。

これから外の世界に向かう不安感。

文句を言いながらも、いつもやさしかった先生たち。

いろんな感情が入り混じって感動するんですよネ。

卒業式って、素敵な行事ですネ。

 

 

3/9(水)  『卒業式の服装』

 

今では“女性の卒業式の服装=着物に袴姿”というスタイルが

すっかり定着していますが、このスタイルが出来上がったのは

明治から大正の頃です。

 

教育者の下田歌子さんが、女学生のために

“マチのないスカート状の袴”を開発し、とても評判となりました。

やがて“袴に革靴、髪に大きなリボン“というスタイルが完成し

全国に広まっていきます。

 

ところが昭和になると、女学校の制服にセーラー服が

取り入れられると、着物と袴は段々と姿を消していって、

卒業式の時に女性の先生が着るくらいだったそうです。

 

そんな女性の袴姿が復活したのには、大きなキッカケがあります。

それは1975年(昭和50年)に発表された、

漫画家・大和和紀(やまと・わき)さんの『はいからさんが通る』です。

大正時代を舞台にしたラブ・コメディで、ヒロインの

『花村紅緒(はなむら・べにお)』の服装が袴姿です。

 

この作品はのちにアニメや舞台、ドラマ化され、

話題になっていきます。

さらに1987年(昭和62年)には、南野陽子さん主演で映画化され、

大ヒットしました。

    

この『はいからさんが通る』に影響を受けた女子大生の方々が

着物に袴姿で卒業式に出席するようになり、

その後、全国に広まって定着したものと考えられています。

 

 

そうだったんですネ。

私も短大の卒業式の時は袴姿になりましたが、

気分が上がって良いものでした。

『はいからさんが通る』、大好きな漫画でしたよ。

袴姿で自転車に乗るんですよねぇ~。

懐かしいなぁ~。

 

 

3/10(木)  『卒業ソング』

 

昭和の中頃まで、卒業式で歌われる歌は『蛍の光』、

または『仰げば尊し』でした。

但し、『仰げば尊し』のほうが歌も伴奏も難しいこともあって、

『蛍の光』を歌う学校が多かったそうです。

 

その後、ドラマ『3年B組金八先生』の主題歌、

海援隊の『贈る言葉』の大ヒットとともに、

卒業ソングのスタイルが変わっていったそうです。

 

そして平成になって誕生したのが、

今や“卒業式の定番ソング”となっている『旅立ちの日に』です。

この曲、もともとは1991年3月、

埼玉県秩父市の影森(かげもり)中学校の卒業生のために、

先生方が作られた曲なんですって。

 

そこには“卒業式前に、学校が生まれ変わる原動力となった

3年生のために世界に1つしかない贈り物をしたい・・・”

そういった先生方の思いがあったそうです。

 

こうして出来た曲を『3年生を送る会』の時、サプライズで、

先生方全員で歌われたそうなんですネ。

このように、本来はその1回きりの『3年生を送る会』のために

作られた曲なんです。

 

ところが翌年からは生徒さん達も歌うようになり、

それがキッカケで周囲の中学校でも歌われ始め、

“卒業式の定番ソング”になっていったそうです。

 

 

へぇ~、このエピソードを聞いて曲を聴いてみてください。

泣けてきます。

生徒さんたちも素晴らしければ、先生たちも素晴らしく、

その愛の力が全国に広がっていったんですネ。

名曲です。『旅立ちの日に』。

卒業ではなくても、心が折れそうになったら聴いてみると、

温かいものがこみ上げてきますよ。

 

 

3/11(金)  『卒業アルバム』

 

一般的に卒業アルバムには、卒業生や先生方の顔写真や

学校の行事での様子の写真などが載せられています。

 

そんな卒業アルバムも、時代とともに大きく進化しています。

例えばその昔、写真撮影の時にお休みしてしまった生徒さんは

丸抜きで表示されていましたよネ。

今はほとんどが自然に合成されて、

一緒に写っているように見えるんだそうです。

 

ここに先生方を写した写真があるんですが、当日お休みした先生方が

上手に合成されていて、見ていてまったく違和感がありません。

凄いですねぇ。

 

また大勢で撮影した時、誰かしら目をつぶってしまうことって、

ありますよネ。

これも別の写真から、開いている目を持ってきて

合成することができるですって。

さらに『眼鏡の反射』とか『風で乱れてしまった服装』なども

合成で直すことができるそうなんです。

これを聴いて“私の卒業写真、直してほしい!”って思われた方、

いらっしゃるんじゃないでしょうか。

 

また昭和の時代にはあった住所録、

これも個人情報の問題からなくなったことも、大きな違いですよネ。

 

今日は3月11日。東日本大震災が起きた日です。

津波によって、大切な卒業アルバムが流されてしまったという方が

たくさんいらっしゃると聞きました。

アルバムはなくなってしまっても、被災された方の心に

思い出の写真たちが残っていることを、ただただ願うばかりです。

 

 

 

■今週の感想 

 

学校を卒業して、もう何十年も経っているのに、

毎年この時期になって、『卒業』という言葉を聴くと、

胸の奥がキュンとしてしまう私です。

 

今年、卒業ですという皆さん、

そんな卒業生がいらっしゃるご家族の皆さん、

本当におめでとうございます。

4月からの新しいステージでの生活も頑張ってくださいネ。

 

そして3月11日の東日本大震災から、今年で11年です。

当時、小学校を卒業というお子さんも、今では立派な成人です。

この年、様々な思いの中、卒業された皆さんの未来が

いつまでも輝き続けることを願っております。

 

 

【お知らせ① 次週(3/14~)からのテーマ】

 

海にはお魚以外にも、いろいろな生き物たちが暮らしています。

『海の生き物たち』についてです。

 

【お知らせ② 番組で使用しているBGM】

 

◆オープニング 

♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ

 

◆エンディング

♪To Be  /  モントルー

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パーソナリティ
  • 羽田美智子
    羽田美智子
    羽田美智子

    羽田美智子

    茨城県出身。1988年デビュー。女優として映画、ドラマ、CMなどで活躍中。94年、映画『RAMPO』でエランドール賞新人賞などを受賞。95年、映画『人でなしの恋』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。『花嫁のれん』(東海テレビ系列)シリーズ、『特捜9』(テレビ朝日)シリーズ、『おかしな刑事』(テレビ朝日)シリーズ、『ひよっこ』(NHK)など、数々の人気ドラマに出演している。2019年、実家の屋号である”羽田甚”を引き継ぎ、ネットショップ『羽田甚商店』をオープン。自身の五感を通して「本当にイイ!」と思ったものだけを紹介・販売している。
    羽田甚商店:https://hadajinshop.co.jp/