お正月にいただく食べ物の中から『お雑煮』についてです。
■今週(12/27~12/31)のテーマ:『お雑煮』
12/27(月) 『お雑煮とは』
お雑煮とはお魚や貝、鶏肉、お野菜など、
いくつもの材料を煮たお汁にお餅を加えたものです。
『雑煮』の『雑』という言葉には“入り混じる”という意味があります。
つまりお雑煮とは、いろいろな材料が入り混じって煮たもの、
いわゆる『ごった煮』ということになります。
もともとは『煮雑(にまぜ)』と呼ばれていたものが、
文字がひっくり返って雑煮になったといわれています。
古くからお餅は“稲穂の魂”が込められた、
大切な食べ物といわれています。
それを神様にお供えし、ありがたく一緒にいただくことで、
神様から力を授かり、元気が出ると考えられていたそうです。
そのため、お正月限定のお料理ではなかったそうなんですが、
室町時代の武家社会で、お祝いのお料理としてお雑煮が
出されるようになったことから、お正月料理になったそうです。
このように、お雑煮は“神様にささげる食べ物”なので、
その土地で採れた食材が使われています。
そのため日本各地には様々なお雑煮があって、
その数は100を超えるともいわれているそうです。
私、仕事を始めて、いろいろな地方に行く機会が増えて、
各地のお雑煮を“こんなに違うんだ”と
ビックリしていただいた経験があるんですネ。
私のふるさと・北関東は、お醤油ベースのおつゆで食べますけども、
白味噌だったり、お餅も丸かったり四角かったりと、
100種類以上もあるんですネ。
12/28(火) 『お雑煮のお餅』
お雑煮の主役であるお餅は大きく分けると、
四角いお餅の角餅と、丸いお餅の丸餅の2つになります。
角餅の由来には諸説ありますが、武士が戦(いくさ)を前に、
“敵をのしてしまおう!”と、のし餅を四角く切って、
縁起を担いで食べていた・・・という説があります。
他にも丸餅の場合、1つ1つ手で丸めるため、手間がかかりますが、
角餅の場合、のし餅を切るだけです。
早くたくさんの角餅ができて効率が良いということで、
角餅が広まった・・・という説もあります。
それに対して丸餅には“角が立たずに円満に過ごせますように”という
思いが込められているといわれています。
そのため丸餅を使ったお雑煮の場合、お野菜などの材料も
丸く切って入れるのだそうです。
角餅と丸餅、どちらをお雑煮に使うのか?
これは日本の東側と西側で分かれていて、
一説にはその境目は岐阜県の関ケ原辺りといわれています。
関ケ原より東では角餅、西では丸餅が一般的なんだそうなんです。
但し東日本でも、例えば山形県や岩手県の一部の地域では
丸餅が主流で、逆に西日本でも高知県や鹿児島県の一部の地域では、
角餅が主流とされているんだそうです。
へぇ~、関ケ原あたりで東西に分かれてるって面白いですネ。
関東育ちの私には“お餅は四角いもの”っていう思い込みがあるんですけども、
京都に行った時は丸くてビックリしたんですよネ。
でも、お供えするお餅は丸いし、
本当は丸から始まったのかもしれませんネ。
12/29(水) 『お雑煮の種類①』
全国に数あるお雑煮ですが、“東のお雑煮の原点”とされているのが
『江戸雑煮』です。
『関東風雑煮』とも呼ばれていて、関東の広い地域で食べられています。
焼いた角餅を使い、具材は鶏肉やシイタケ、小松菜、ニンジン、三つ葉、大根などです。
そして汁は、カツオや昆布から採ったすまし汁ですが、
これは味噌仕立ての場合、『みそをつける=失敗する』につながるのを
江戸っ子が嫌ったため・・・といわれています。
それに対して、“西のお雑煮の原点”とされているのが、
京都のお雑煮『京雑煮・京風雑煮』です。
お餅は丸餅で、角餅のように“焼く”のではなく、
“煮る”のがポイントです。
そんな丸餅には“円満”とか“長寿”の願いが込められています。
そして、汁は白味噌で仕立てることが多いのも特徴です。
また具材で多く使われているのが頭芋(かしらいも)です。
頭芋とは“里芋の親芋”のことです。
お雑煮に頭芋を入れるのは“人の頭(先頭)になりますように・・・”とか
“成功して有名になる”とか“子孫の繁栄”
そういった願いが込められているんだそうです。
他には大根、そして『金時人参』などが使われています。
金時人参は『京にんじん』とも呼ばれていて、
鮮やかな赤い色が特徴です。
私は以前、京都の『杉本家』という由緒ある商人の方のお宅で、
代々伝わるお雑煮の作り方を教えてもらったことがあります。
全部が丸くて白味噌で、ほんのり甘くてやさしいお味で
大好きでした。
鰹ベースの関東風も好きだし、白味噌ベースの関西風も好きだし、
両方イイですよネ。
12/30(木) 『お雑煮の種類②』
全国にはたくさんの種類のお雑煮があって、地域ごとによって
そのスタイルも違っています。
例えば北海道の場合、明治時代に開拓のため全国からたくさんの
人々が集まった影響で、様々なお雑煮が食べられています。
ほんの一例をご紹介しますと、鶏がらベースのすまし汁に
焼いた角餅や鶏肉、大根、ニンジン、ゴボウの千切りなどが入っています。
お砂糖が入っていて、ちょっと甘いのが特徴なんだそうです。
山陰地方では、小豆を入れた『小豆雑煮』を
いただく所があるそうです。
別のお鍋で煮た丸餅を、甘い小豆の汁に入れたものです。
小豆の赤い色には邪気を払う力があり、縁起が良いとされています。
また香川県の一部の地域では、
『あんもち雑煮』というのをいただく所があるそうです。
これはお魚のいりこのだし汁で、あんこが入ったお餅を煮て、
白味噌で仕立てたお雑煮です。
具材には里芋や金時にんじん、大根などが使われています。
そして、最後に青のりが散らしてあります。
このあんもち雑煮の由来ですが、幕末から明治の頃、香川県で
和三盆(わさんぼん)など、お砂糖が作られるようになりましたが、
とても貴重なもので庶民はクチにできなかったそうです。
そこで“せめてお正月三が日だけでも”と、
お餅に甘いお砂糖のあんをたっぷりと入れた
あんもち雑煮を作るようになったといわれています。
へぇ~、小豆雑煮はまるでお汁粉のような姿なんですネ。
お食事というよりも甘味みたいに見えます。
あんもち雑煮は京都風の白味噌の中に、
大福が入っているようなイメージでしょうかねぇ。
お雑煮ひとつとっても、みんな美味しそうですねぇ。
12/31(金) 『お雑煮の種類③』
お雑煮の具材にお魚を使う所があります。
例えば北日本ではサケ、西から南の地方ではブリです。
ブリを使ったお雑煮の1つが、福岡の『ぶり雑煮』です。
別のお鍋で煮た丸餅を『あご』と呼ばれる
“トビウオを干したもの”でとっただし汁に入れたお雑煮です。
具材はブリの他に焼き豆腐、干しシイタケ、カマボコ、
そして、『かつお菜』と呼ばれる高菜の一種などが使われています。
今週はお雑煮のお話をさせていただいたんですが、
実は私の茨城の実家では『三が日にはお餅を食べていけない』という、
先祖代々伝わる“羽田家ならではのお正月の習わし”がありまして・・
ですから、お雑煮を食べるのは三が日が明けた4日からなんですネ。
お餅の代わり・・・なのかは分かりませんが、
羽田家のお正月に欠かせないのが、『とろろ芋』なんです。
元日の朝は山芋をすって、生卵や削り節、たっぷりの刻んだネギと
海苔をかけていただくのが、子供の頃からの習慣なんです。
山芋は古くから“滋養のある食材”として知られていますので、
“1年の始まりに胃腸の調子を整えて、その年の健康を祈りましょう”
そういった意味が込められているのかも知れませんけども、
我が家はそういう風習がありました。
皆さんのご家庭にもそれぞれ言い伝え、風習が残っているかも知れませんネ。
■今週の感想
お雑煮をテーマにしながら、実は羽田家ではお餅を食べるのは
三が日を過ぎてから・・・というオチになってしまいましたが(汗)。
お雑煮の世界の幅広さ、そして奥深さを改めて知りました。
お雑煮という日本の風習、いつまでも受け継がれてほしいですネ。
さて、今年も1年、この番組をお聴きいただき、
本当にありがとうございました。
大晦日が今年最後の放送だなんて、キリがイイですよネ。
新年は1/3(月)からの放送になりますので、
引き続きよろしくお願いいたします。
また新年に元気にお会いしたいと思います。
どうぞ良いお年をお迎えください。
【お知らせ① 次週(1/3~)からのテーマ】
初詣の時にひかれる方も多いのでは・・・?『おみくじ』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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