春の味覚の代表の1つ、『タケノコ』についてです。
■今週(4/12~4/16)のテーマ:『タケノコ』
4/12(月) 『タケノコとは』
タケノコはイネ科の植物である竹の地下にある茎から地上に伸びた
若い芽のことです。
一般的にタケノコとは大型で厚みのある
孟宗竹(もうそうちく)のことを指しますが、
他にも食用となる種類はいくつかあります。
例えば淡竹(はちく)や真竹(まだけ)、根曲がり竹(だけ)』などです。
そんなタケノコを食用としているのは日本や中国、韓国、
タイやミャンマーといった東南アジアの国です。
タケノコが軟らかくて美味しい状態でいられるのは、
土から出てきてわずかな期間です。
土から頭の部分が出るか・出ないかの時が一番の食べ頃です。
それ以上になるとタケノコは急に背を伸ばしながら、
身を硬くして竹になっていきます。
『筍(たけのこ)』という漢字は“竹かんむり”に
“旬(しゅん)”と書きます。
『一旬(いちじゅん)』という言葉がありまして、
これには『10日間』という意味があります。
そんなところから『筍』という漢字は
“一旬で竹になる”という言葉が由来とされています。
実際、竹は条件が整うと次々に伸び始め、
1日に120cm以上伸びた!という記録もあるそうです。
1日120cm!そんなに伸びることあるんですネ。
私の実家の裏に昔、竹やぶがありました。
“地震が起きたら竹やぶに逃げなさい”と言われて育ちました。
根っこが丈夫なんですよネ。
『破竹の勢い』や『竹を割ったような性格』という言葉、
また『竹取物語』というお話があったり、
日本人にとってなじみ深い竹ですネ。
4/13(火) 『タケノコの皮』
タケノコは皮に包まれていますが、この皮には
イノシシやキツネといった動物に食べられないように、
タケノコを守る役割があるそうです。
さらに皮はタケノコと竹を分ける境界線でもあります。
背が伸びるにつれて、皮は1枚1枚自然とはがれ落ちて、
すべて落ちると竹になります。
皮が全部落ちるのに約30日かかるそうです。
つまり“皮がついている状態”がタケノコで、
“皮が完全に取れた”のが竹ということになります。
タケノコはまさに“脱皮”して、竹になるんですネ。
そんなタケノコの皮ですが、古くから私たちの身近なところで
使われています。
例えば、おにぎりやちまき、羊かんといった食べ物を包む時です。
タケノコの皮には水をはじく性質があるので、
余分な水分をはじくいてくれます。
その反面、湿気を吸い取る性質もあるので、
食べ物が乾燥しないように適度に水分を保ってくれます。
さらに通気性や抗酸化作用、食べ物が傷むのを防いでくれる働きも
あるので、食べ物を良い状態に保ってくれるんだそうです。
他にも、お魚やもち米を包んで蒸す時や、
お魚を煮る時に鍋の底に敷くことで、焦げ付きを防いだりしてくれます。
小学生の時、遠足にタケノコの皮に包まれたおにぎりを持ってくる友達がいて、
珍しいので見ていたら、そのおにぎりから竹の皮のイイ匂いがしてきて
“美味しそうだなぁ~”と思ったのが、竹の皮の効能を知った初体験でした。
皮はタケノコの成長を守って、
脱皮したあとはこうして役に立ってくれるんですネ。
4/14(水) 『タケノコの栄養』
タケノコは食物繊維を豊富に含んでいます。
タケノコのシャキシャキとした食感は、
この豊富な食物繊維によるものだといわれています。
タケノコの食物繊維は腸を刺激して、腸の運動を活発にし、
便通を促進してくれる働きがあります。
カリウムも多く含んでいますが、カリウムには身体の過剰な塩分を
尿と一緒に出してくれる働きがあります。
そのため、高血圧の予防や身体のむくみをとる作用が期待できます。
さらに、身体の中の活性酸素を取り除く働きがある
ポリフェノールも含まれています。
そんなタケノコですが、特に水煮のものをカットした時に、
節(ふし)と節の間に白い結晶のようなものが
付いていることがあります。
これはチロシンというアミノ酸の一種で、
水に溶けにくい性質を持つため、結晶となってタケノコの内部に
残るのだそうです。
タケノコの旨味成分でもあり食べても害はないとされています。
さらにチロシンは“ヤル気”や“意欲”を起こしてくれるホルモン、
ドーパミンとも関連があって、心身のバランスを保つために
欠かせない物質でもあります。
チロシンはタケノコだけでなく、お味噌や納豆、チーズを
保存しておいた時にもできるそうなんです。
そうそう、タケノコの水煮を買うと確かに白いチーズのようなものがついてますよネ。
私はてっきり灰汁(あく)のようなものなのかと思い、洗い流していたんですが、
チロシンという物質だったんですネ。
ヤル気や意欲に関係するなら、もったいないことをしていました。
これからはありがたくいただきたいと思います。
4/15(木) 『タケノコの豆知識①』
『雨後(うご)の筍』という言葉があります。
雨が降ったあと、竹林ではタケノコが続々と生えてくる様子から、
『同じような物事が、次々に現れてくること』という意味です。
このように竹は繁殖力がとても旺盛ですが、
それは光合成で作った栄養分のすべてを、次の世代である
タケノコづくりに費やすからです。
例えばモウソウチクの場合、春になって出てきたタケノコは
ものすごい勢いで成長して竹になった後、6月頃になると
伸びを止めてしまいます。
そして11月頃には地面の下で竹を支える茎の成長も
止めてしまって、それまで作った栄養分を
茎にためこんでおきます。
そうすることで年が明けて春になると、地下の茎のところから
タケノコが出てくる・・・というわけです。
そんなタケノコの産地と生産量ですが、2019年の調査では
福岡県が約5700トンで最も多いです。
その次が鹿児島県で約4800トン。
そして熊本県が約2900トン、
京都府が約2500トンで続いています。
この4つの地域で全体の7割以上を占めています。
へぇ~、京都よりも九州地方のほうが生産量が多いんですネ。
昔、京都の竹林を散策した時、いかにもかぐや姫が現れそうな景色と静寂さに
感動したことを思い出しました。
でも次の世代のために栄養分を回すなんて、
自然界の摂理や知恵ってすごいですネ。
誰に教わったわけでもないのに・・・。
自然界からは学ぶことが多いですネ。
4/16(金) 『タケノコの豆知識②』
タケノコは鮮度がとても大切で、時間が経つにつれてアクが出て、
苦味やえぐ味が強くなります。
そのため生のタケノコを手に入れたらすぐに、
丸ごと茹でる必要があります。
その際、一緒に米ぬかや唐辛子を入れることが多いですが、
理由があります。
米ぬかにはタケノコのアクのもとになる成分や、
えぐ味を取り除く効果があります。
米ぬかがない時はお米の研ぎ汁や、ひとつかみした生のお米でも
代用できるそうです。
但し、無洗米ですと米ぬかの成分が含まれていないので
ダメなんだそうですよ。
唐辛子に含まれる辛味成分のカプサイシンには、
殺菌や抗菌の効果があります。
さらに米ぬかのぬか臭さを軽くする働きがあるといわれています。
茹でる時は外側の泥のついた皮を、2~3枚だけむきます。
皮をつけたまま茹でるのはタケノコの旨味を逃がさないためと、
しっかりアク抜きするためだそうです。
最後に、ラーメンに使われる具材の1つにメンマがあります。
これは麻竹(まちく)のタケノコを塩漬けにして発酵させ、
さらに天日で乾燥させたものを戻して調味した物です。
タケノコって可愛いですよネ。
ひょこっと頭を出している姿が目に焼き付いています。
掘り起こした時もふわふわっと出てきて、
お刺身でいただいたり、タケノコの煮物も美味しいし、
タケノコご飯も最高ですよネ。
今年もタケノコ、食べたいな。
■今週の感想
今週はタケノコのお話をしましたら、
『タケノコご飯が食べたくなりました』とか
『今夜は青椒肉絲(チンジャオロース)を食べようかな』と思われた方が
いらっしゃったそうなんです。
分かります、その気持ち。
私も頭の中がタケノコでいっぱいになりましたから(笑)。
今は水煮がありますから、1年中、タケノコをいただくことができますが、
それでも今のこの時期、お店でタケノコを見ると
春なんだなぁ~って思いますよネ。
タケノコに感謝です。
【お知らせ② 次週(4/19~)からのテーマ】
私が音楽に目覚めた頃は、CDではなくてこれでした!
『レコード』についてです。
【お知らせ③ 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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