スズキ・ハッピーモーニング 羽田美智子のいってらっしゃい

2020.08.07

2020年8月3日(月)

私が大好きな街の1つ、『京都』について。

 

■今週(8/3~8/7)のテーマ:『京都』

 

8/3(月)  『京都との出会い』

 

私の初めての京都は修学旅行でしたが、

そういう方って結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。

 

二度目の京都は24歳の時で、映画の撮影で

ひと月ほど滞在したことがあります。

 

その映画で、私は初めてヒロインという大役を務めたんですが、

ド新人ということもあって、毎日、しごかれる時間が過ぎていきました。

今から思えばありがたいことばかりなのですが、

当時はどんどん落ち込んで、“ハァ~、早く京都から東京に帰りたい。

京都イヤだ~”と思うようになってしまったんですネ。

 

そして、いよいよ精神的に落ち込みがピークになった時、

自動販売機の前のベンチに座って、ひざをブラブラさせながら

“あ~、もうダメだ。女優をあきらめようかな・・・”と

ため息をついていました。

 

その時、私の隣に”巨匠”と呼ばれるベテランの照明技師さんがドカッと座って、

“映画、何本目や~?”と聞かれたので

“ヒロインは初めてです”と答えると、

“初めてかぁ~。ならしゃあないな~。アンタなぁ、みんななぁ、アンタのこと、

育ててあげようと思って、いろいろ言うてるんやで。

悲しい顔でなぁ、ハイハイ言うんじゃなくて、

笑顔でなぁ、ハイハイ言うてたらいいんや。

そのうち分かるようになるで”と言ってくださった言葉で、

照明技師さんが席を立ったあと、私はしばらくそこで泣いてしまいました。

 

そして、そのひとことで“ヨシッ!せっかくのチャンスだ!

前向きに頑張ろう!”と決意することができたんですネ。   

 

私が京都を好きになったキッカケは、照れ屋の職人、

照明技師さんから頂いた、やさしい言葉でした。

私にとっての京都。それは町並みや景観からではなく、

”京都の人との心の出逢い”から始まりました。

 

 

8/4(火)  『鞍馬山(くらまやま)』

 

鞍馬山は京都市左京区にあります標高584mの山です。

この山には”金星から降って来た隕石がぶつかって出来た”という説があって、

その隕石を”神様の石”として祀っているとされています。

 

また”天狗がいた”という伝説もあって、

『鞍馬天狗』という物語も生まれました。

 

源義経がまだ『牛若丸』という名前だった頃、

鞍馬天狗から剣術を教わった・・・という言い伝えもあります。

 

そんな鞍馬山の参道を昇ったところにあるのが

鞍馬寺(くらまでら)です。

本殿からの眺めは本当に素晴らしくて、

どこからでも天狗さんが現れそうな、

そんな神秘的な雰囲気があります。

 

本殿前の広場には、幾何学模様をした石が敷いてあります。

この石の中心部は『六芒星(ろくぼうせい)』の形をしています。

六芒星は、正三角形と逆正三角形をふたつ重ねた星の形ですが

鞍馬寺の六芒星は”鞍馬山の宇宙観”を表しているのだそうです。

 

私はこの中心に立つことがあります。

立ってしばらくすると、頭の先からズシンと何か重みを感じて、

体が少しずつ上下左右に揺れるような気がしました。

 

聞いたところによりますと、鞍馬山は天と地球の中心を結ぶ

強力なライン上にあって、それがこの六芒星の中心を通っているそうです。

つまり”エネルギーの通り道”なので、パワーをもらえるそうです。

 

 

8/5(水)  『市比賣神社(いちひめじんじゃ)』

 

市比賣神社は京都市下京区(しもぎょうく)にあります。

地元の方からは”いちひめさん”と呼ばれて、親しまれています。

 

こちらに祀られている5人の神様すべてが女性であることから、

”女性の守り神”として知られています。

特に”女性の厄除け”の神様として、厄除けに来られる女性の方が

全国から絶えないそうです。

 

歴史も古く、795年に”京都の市場の守護神”として建てられ、

1591年に現在の五条の地に移転されました。

 

こちらには『姫みくじ』という、だるまさんのような形で

コロンとしていて、とっても可愛いおみくじがあります。

おみくじは人形の下から取り出せるようになっていて、

人形は持ち帰っても神社に奉納して構いません。

多くの方は人形にマジックで願いごとを書いて、

『天之真名井(あめのまい)』という井戸の上に並べています。

 

今から9年前、京都のスタッフの方から1枚のカード守りを頂きました。

真っ赤な織物でできたカードで、

そこには『女人守護(にょにんしゅご)』と書いてありました。

そして裏には『女性の守り神 することなすことうまくゆく

HAPPY CARD 羽田美智子さま』という文と、1年の有効期限が

記されていました。

 

時代に合わせてカード形式にしたお守りですが、

“このカードに守られている”という気が本当にします。

私のカードは有効期限が切れてしまったので、

今年チャンスがあったら更新したいと思います。

 

 

 

8/6(木)  『京都の夏の風物詩』

 

京都の夏の風物詩の1つに『納涼床(ゆか)』というのがあります。

夏の期間だけ、川面や川の上に桟敷(さじき)を設けて、

水辺の涼しい風を感じながら食事をいただく・・・というものです。

 

同じ『納涼床』でも『鴨川納涼床』、『貴船(きぶね)の川床(かわどこ)』

『高雄の川床』、『しょうざん 渓涼床(けいりょうゆか)』があります。

 

『鴨川納涼床』は、鴨川沿いにある料亭などが設けた桟敷のことで

略して『床(ゆか)』とも呼んでいます。

 

『貴船の川床』の”貴船”とは”京の奥座敷”と呼ばれ、

京都市の中心部よりも気温が10℃近く低いとされることから、

避暑地としても知られています。

貴船川(きぶねがわ)の川沿いにあります料亭が設けた桟敷のことを

貴船では『川床(かわどこ)』と呼んでいます。

 

『高雄の川床』の高雄は、清流と渓谷の美しさで知られていて、

清滝川(きよたきがわ)沿いに川床が設けられています。

 

『しょうざん 渓涼床』は、京都の北側・洛北(らくほく)の

鷹ヶ峯(たかがみね)にあります『しょうざんリゾート京都』の中を

流れる清流、紙屋川(かみやがわ)に張り出した床(ゆか)のことです。

 

今、お聴きいただいたように、同じ納涼床でも

鴨川のように『ゆか(床)』と呼ぶところもあれば、

貴船や高雄のように『とこ・どこ(床)』と呼ぶところがあります。

 

近年、大雨の被害で川の氾濫が起きて、心配な時もあります。

でも床が出ると“今年も夏が来た~!”と思って、嬉しくなります。

暑い夏を乗り切る知恵ですよネ。

 

 

8/7(金)  『京都の夏の文化』

 

京都には”うちわ文化”というのがあって、

『京うちわ』という歴史ある伝統工芸品があります。

『都(みやこ)うちわ』ともいいます。

 

『京うちわ』の一番の特徴は、”うちわの面”と”持ち手の柄”の部分が

それぞれ別々に作られていることです。

細い竹の骨で作られた”うちわの面”に”持ち手の柄”をはめ込む

”挿柄(さしえ)”という技法が使われています。

貼り絵でキレイに装飾がされたものも多く、

繊細な絵柄を”鑑賞用”として楽しむ方もいます。

 

他にも京都には『京扇子』と呼ばれる

京都やその近郊で作られた、

こちらも歴史ある伝統工芸品の扇子があります。

そういったところから京都では、

うちわや扇子のお店をよく見かけます。

 

そして京都の町家では、暑さをしのぐために

『すだれ』や『よしず』を使う習慣があります。

どちらも日差しを避けて風を通す・・・といった特徴がありますが、

別物です。

 

『すだれ』は軒先などに吊るして使いますが、

『よしず』は立てかけて使います。

また、『すだれ』の材料は”細く割った竹”ですが、

『よしず』の材料は『葦(あし)』というイネ科の植物です。

 

京都は夏は暑く、冬は寒いという盆地の気候です。

その暑さと寒さをしのぐ、先人たちの知恵が豊富にあって、

京都の風物詩になっているんですネ。

京都に行きたくなりました。

 

 

■今週の感想 

 

私は取材などで“羽田さんの好きな街はどこですか?”と

聞かれることがあります。

そんな時、“京都です”と答えることが多いのと、

リスナーの方からも“いつか京都のお話をしてください”という

おたよりを頂きましたので、このテーマにしました。

 

月曜日に、私が京都を好きになったキッカケとして、

初めてのヒロインを務めた映画で、上手く演技ができず、

怒られてばかりで落ち込んでいた時、ベテランの照明技師さんからの

励ましの言葉で前向きなれた・・・というお話をしました。

 

実は私が座っていたベンチには、夏目雅子さんも座っていらっしゃって、

初めて京都に来て撮影した時、“何もできない”と言って

泣いてらっしゃったそうなんです。

あの夏目雅子さんもこのベンチで泣いてらしたんだ・・・

私だけじゃないんだ・・・

それを知って前向きに頑張ろう!と決意することができました。

あのベンチでの光景は、今もハッキリと覚えてます。

 

京都の人たちの大切な出逢いに感謝しています。

 

 

【お知らせ① 次週(8/10~)からのテーマ】

 

空にぽっかり浮かぶモノ、『雲』についてです。

 

【お知らせ② 番組で使用しているBGM】

 

◆オープニング 

♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ

 

◆エンディング

♪To Be  /  モントルー

 

 

  • スズキロゴ
パーソナリティ
  • 羽田美智子
    羽田美智子
    羽田美智子

    羽田美智子

    茨城県出身。1988年デビュー。女優として映画、ドラマ、CMなどで活躍中。94年、映画『RAMPO』でエランドール賞新人賞などを受賞。95年、映画『人でなしの恋』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。『花嫁のれん』(東海テレビ系列)シリーズ、『特捜9』(テレビ朝日)シリーズ、『おかしな刑事』(テレビ朝日)シリーズ、『ひよっこ』(NHK)など、数々の人気ドラマに出演している。2019年、実家の屋号である”羽田甚”を引き継ぎ、ネットショップ『羽田甚商店』をオープン。自身の五感を通して「本当にイイ!」と思ったものだけを紹介・販売している。
    羽田甚商店:https://hadajinshop.co.jp/