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2026.01.02

温泉資源庁の三田直樹さんに聞く、資源としての温泉の可能性。

株式会社 温泉資源庁 CEOの三田直樹さんが登場。
温泉成分を濃縮した液体『クラフト温泉』とは何か、
開発のきっかけ、日本の温泉の資源としての可能性
世界も視野に入れた今後の展開など伺いました。

 

※ 下にスクロールしていただくと、放送内容をご覧いただけます。

温泉資源庁公式H P コチラ

 

 

クラフト温泉とは?

自分たちの社名は、もともと「お風呂」を意味する

株式会社Le Furoだったが、

温泉の資源化に取り組んでいることを明確にしたくて、

「温泉資源庁」という名前に変えた。

そして、自然流出する「天然温泉」に対し、

人の手で温泉成分を抽出・再構築するものを

「クラフト温泉」と呼んでいる。

天然温泉は、地下深くで長い年月をかけ、

土壌中の鉱石に含まれる成分が少しずつ水に溶け込んだもの。

そこで自分たちは、その原点に立ち返り、鉱石を細かく砕き、

温度・圧力・ph値など地下1500メートル相当の環境を再現したタンクで

温泉成分を抽出する。すると比重の重い、濃縮された温泉液ができる。

これはいわば温泉の“原液”で、希釈すれば元の温泉に戻せるため、

「持ち運べる温泉」が実現する。

地産地消が当たり前だった温泉を、自宅に届けることができる。

原点は、東日本大震災後に訪れた秋田・玉川温泉での湯治体験。

そこで受けた衝撃は、今までの天然温泉の感覚を

全く覆すような体感だったので

温泉を研究するきっかけになった。

 

クラフト温泉開発への思い

日本には約2万8000カ所もの源泉があり、

数だけ見れば世界の約9割を占める。

どこに行っても温泉がある日本では当たり前の存在だが、

グローバルに見れば温泉は極めて希少な資源。

自分は、1000年以上続く湯治文化という「文化的価値」と、

温泉そのものが持つ「資源としての価値」をセットで、

国内だけでなく海外にも広げていきたいと考えている。

それは世界のウェルネスに貢献するだけでなく、

資源に乏しいと言われてきた日本に、

実は大きな可能性があることを示すことにもつながるはず。

事業は最初、たった一人で始めた。

石油・ガスのトレーディングに長く携わってきた経験から、

どうすれば日本の温泉が石油、ガスのような大きな価値を

国にもたらすことができるだろうと考え、

科学者でも技術者でもなかった自分が、温泉って

どうお風呂のお湯と違うのかというような

素人の視点で研究を重ねた結果、「クラフト温泉」に行き着いた。

これは、30ml程度を家庭用浴槽に入れるだけで、

成分分析上も温泉の成分が結果としてでる点が、入浴剤との決定的な違い。

100mlで約1トン分の温泉に相当する濃度まで圧縮できることは、

資源として流通させる上で極めて重要。

LNGがガスの価値を一変させたように、

温泉も“運べる形”にすることで新たな市場と文化が生まれる。

これから何年間かが、その勝負の時期だと思っている。

 

 

文化を超えて広がる日本の温泉

自分は、日本の温泉を非常に価値の高い資源だと考え

中東など海外への展開にも取り組んでいる。

中東は石油やガスといった資源国で、

資源に対する理解は深い一方、

日本の温泉のような自然由来の資源や、

お風呂文化はほとんどない。

しかし急速に豊かになった反動で健康課題を抱えており、

健康への意識自体は世界共通で高い。

そこで温泉が持つ「ミネラルのスープ」という本質を伝えると、

文化の違いを超えて受け入れられていく。

温泉成分は日本の火山性地質が生んだマルチミネラルで、

人に必要な必須ミネラルがほぼ含まれている。

濃縮することで運搬が可能になり、入浴だけでなく、

飲む・体を拭くといった形で日常に取り入れられる。

ミネラルは体内で他の栄養素を活かす触媒の役割を持ち、

土壌のミネラルの枯渇が進む現代において、

温泉はまさに最後のミネラル資源だと実感している。

 

 

温泉資源の商品化

日本には、先人たちが受け継いできた温泉や湯治の文化があり、

豊かな水と土壌があるからこそ生まれる奇跡のような温泉資源がある。

それが自然な形で広がれば、利用する人も、

源泉を持つ地域の人も豊かになり、誰も損をしない。

マーケティングで無理に売るのではなく、

文化として自然に浸透していく形を目指したい。

温泉の価値は日本人が感覚的に一番理解してきたが、

「気持ちいい」で止まっていた部分を、

ミネラルなどの切り口で言語化することで、

新しいアイデアや文化が生まれるはず。

「ゆるまる温泉シート」というボディシートを開発。

これは温泉を持ち運ぶ最たるもので

ISS(国際宇宙ステーション)での使用を目的に開発した。

水が貴重な宇宙空間で、温泉を体に拭って取り入れることで、

心身の快適さを高められる。

温泉の性能を機能を応用すれば、

ボディシートや温泉のスプレーなど、文化や宗教を超えて使える形にも展開でき、

日本の温泉は世界に新しいウェルビーイングを届けられると信じている。

 

 

温泉を「次世代の資源」に

これまで温泉は地域に根付いた地産地消の文化で、

それ自体はこれからも大切に守るべきものだと思っている。

ただ一方で、多くの温泉は使われないまま掛け流されてきた。

そこで温泉をクラフト温泉として濃縮し、

水のある場所で還元すれば、

地域を越えて使える流通性を持たせることができる。

そうすることで、温泉は地域限定の存在から、

国を越え、さらには地球を越えて活用できる戦略的な資源になる。

温泉を家庭や海外に届け、地球全体を温泉で包むことで、

新しいウェルビーイングの形や発想が生まれてくるはず。

その原料となるのは各地の温泉なので、

必ず地域に対価が還元され、循環も生まれる。

石油が20世紀の工業化を支えた資源なら、

物が成熟したこれからの時代に注目されるのは、

人や生き物に直接作用する水や温泉。

実際、クラフト温泉は飲料や入浴液、ボディシートとしてECを中心に展開し、

また温泉のない地域でも体験できる施設を展開し実証を進めている。

異業種と交わりながら、温泉の新しい価値を広げていきたい。

 

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