イラストレーターなど されている、みうらじゅん さんが登場。
“イラストレーターなど”という肩書や収集癖について、
現在のみうらさんの「マイブーム」は何なのか、
そして、60歳を過ぎて進めている「老けづくり」や
みうらじゅんさん公式H P コチラ
著書:『アウト老のすすめ』(文藝春秋)コチラ
「マイブーム」
自分が生み出した「マイブーム」という言葉は、
1997年の流行語大賞からもう30年近く経つが、
今も息の長い言葉として使われている。
本来は“ミウラのブーム”という意味だったのに、
いつの間にか皆さんの「マイ」になり、結果として
「OUR」=本当のブームになってしまった。
そんな自分の今のマイブームは「人魚」。
メルヘンは苦手で避けてきたが、
ある日突然「人魚」という言葉が降って湧き、
通らずにはいられなくなった。
いきなりコペンハーゲンは重いので、
まずは千葉のアンデルセン公園へ行ってみたら、
水辺ではなく丘の上に干からびたような人魚像がいて、
夏場で触ると異常に熱い。
その違和感に「人魚やばい」と一気に心を掴まれた。
こういう不具合があると俄然ハッスルが出て、
結構な数の人魚像巡りをしている。
ただ、この話をしても興味を示してもらえず
人のハートを掴めないとなるとこの話は「マイブーム」としてはダメ。
もうちょっとおかしみを加えていって、エンタメにした時、
発表しないと。みんな許してくれない。
伝えるのは結構大変。
「老いるショック」 「老けづくり」 「アウト老」
自分は68歳になった。
60歳の還暦のときに生み出した言葉が「老いるショック」。
「オイルショック」から思いついた言葉だが、
若いうちに言ってもパンチがなく、
ちゃんと年を取ってからでないと成立しない。
年を重ねると、「若造が何を言ってるんだ」と
マウントを取る人も出てくるが、
65歳前後で全員同級生でいいじゃないかと思った。
そこで「自分にも老いるショック来てますけど、いいですよね。
同級生ですから」という形で発表し、
痛いところを指差して「老いるショック!」と確認することで
痛みを和らげる運動を始めた。
その次に提唱したのが「老けづくり」。
「マイブーム」の人間としては若作りが流行るなら逆を行こうと考えた。
実年齢より老けて見える格好や振る舞いを積極的にする。
人は簡単に引退できない生き物だから、
老けたまま楽しんでキープするしかない。
「アウト老」は老人の中でもアウトの人。はみだし老人。
「はみだし老人で行こう」っていうスローガンで老け作りとかもやっている。
「人生」は暇つぶしぐらいに考えて、
濁点を取った「しんせい」で生きていきたい。
肩書は「イラストレーターなど」
自分の肩書きは「イラストレーターなど」としている。
職業として名乗れないことをたくさんやっているので
「イラストレーターなど」にしている。
昔ならマルチとか言われたかもしれないが、
世間は概要さえわかればそれでいい。
イラストレーターとしては45年ほどやっているが、
そもそもこの言葉自体が通じなかった時代もあった。
親戚のおじさんに「東京でインストラクターやってる」と
誤解されたこともあるが、
相手が納得しているならそれでいいと思った。
重要なのは何のインストラクターかのはずだが、
世間はそこまで気にしない。
そこで「イラストレーターをやってるけど、
ほとんどは“など”です」と説明するのが一番わかりやすいと気づき、
この肩書きにした。
新聞掲載で「そんな職業はない」と言われ、
「じゃあ“など業”で」と提案したが却下され、今の形に落ち着いた。
「業」というのはカルマみたいなものだとも思っている。
本業を聞かれることもあるが、人間の本業は生きることじゃないかと思う。
「趣味」から「癖」へ
自分は小1の頃は怪獣少年で、小4で仏像少年にシフトした。
好きになったのが、仏像の中でもとりわけ密教仏。
目が四つあったり、千手だったりと異形な仏像が多く、
その荒ぶる感じが怪獣少年にとってはビビッときて共通点があった。
だからウルトラマンのルーツが弥勒菩薩にあるんじゃないか、
という発見にもつながった。
怪獣少年と仏像少年を両方やってきたからこその気づきが
あったことが何よりの喜びだった。
特撮の世界観がヒンズー教の神々に通じていることがわかり、
ますます好きになった。
仏教好きから生まれたのが「アウトドア般若心経」。
街で般若心経の文字を集めるというもの。探すと結構あった。
そうした収集癖は今も健在で、
趣味は癖になるまで追い込まないと燃えない。
宇崎竜童さんの曲の歌詞で、「ここまで来たらサクセス」というのがあるが
自分は「癖まで来たらサクセス」。
そこまで行って初めて、人に面白く伝えられる。
それが自分のいう「など業」の真髄だと思っている。
『アウト老のすすめ』
自分は『アウト老のすすめ』という本を文藝春秋から出したが、
根っこにはずっと「普通の人間であること」へのコンプレックスがあった。
中高時代にロックなど衝撃的なカルチャーに出会い、
漫画『アイデン&ティティ』も、普通コンプレックスのやつが
どうロックに向かうのかという話だった。
そうした修行を重ねてきた以上、ノーマルな老人にはなれないし、
「おじいさん」と名乗るのもしっくりこない。
そこで考えたのが“アウト老”。
そのぐらいなら世間も「あの人アウト老だから」と
許してくれるだろうという発想だった。
今は「それアウト老じゃないよ」と言われないよう、
自分をしつけ直している。
冷蔵庫に「アウト老は家でブツブツ言わない」と貼るぐらい。
人はみんなノーマルな老人になると思いがちだが、
実はみんな違ってみんな変。
だからこれからはいろんな老人が出てくると思う。

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