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2025.12.26

宇宙スタートアップ企業 株式会社ispaceの日達佳嗣さんと新宅璃子さんに聞く、2027年以降に打ち上げを予定されている新たな月ミッション

宇宙スタートアップ企業「株式会社ispace」の

日達佳嗣さんと、新宅璃子さんが登場。

月周回軌道および月面へのペイロード輸送サービスや月面探査を通じ、

月と地球との間に新しく経済圏の構築を目指す「ispace」。

具体的な事業内容や、これまでに2度おこなわれた月面着陸の挑戦について、

さらに2027年以降に打ち上げを予定されている新たな月ミッションの進捗と

その先の目標も詳しく伺いました。

 

ispace 公式HP コチラ

X(旧Twitter)    コチラ

 

※ 下にスクロールしていただくと、放送内容をご覧いただけます。

 

 

2025年に実施した、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2で使用された

月着陸船(ランダー)および月面探査車(ローバー)のイメージ画

 

 

ispaceが現在開発中の新型次世代月着陸船「シリーズ3ランダー(仮称)」の熱構造モデル

新型次世代月着陸船「シリーズ3ランダー(仮称)」の模型

 

番組内で日達さんが紹介する月面着陸への挑戦は、

ispaceの2023年、2025年に実施した民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」*¹となります。

 

*¹ 民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」は2025年12月7日に終了いたしました。

 

 

ispaceとは

ispaceは、「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界を目指す」ことを

ビジョンに掲げ事業を行っている宇宙スタートアップ。

特に月にフォーカスし、ペイロードと呼ばれる荷物を月へ輸送するサービスや

月面探査を展開しながら、地球と月がひとつとなる経済圏の構築を目指している。

これまでに独自に開発した月着陸船(以下、ランダー)で2度、

月面着陸に挑戦したが、いずれも着陸直前までは順調に飛行したものの、失敗に終わった。

しかし、その過程で得られたデータや教訓は非常に多く、

現在はそれらを活かし、2027年、2028年に予定している

次の2つのミッションに向けて開発を進めている。

日達氏はエンジニアとして入社し、今はExecutive Vice Presidentとして

エンジニアリング室/エンジニアリング部門開発統括としてランダー開発を含む

エンジニアリング全体の統括を担っている。

新宅氏はIRと呼ばれる部署で、投資家や株主の方々に向けて、

決算発表や株主総会などを通じて情報発信を行っている。

月ミッションを行うには莫大な費用がかかるが、ispaceだけで達成できるものでは

なく、多くの企業と協力しながら日々、開発を進めている。

人類が地球と一体となった形で宇宙へと活動領域を広げ経済圏を創ることで、

地球に住む人々がより豊かで持続的に発展していく、それが自分たちの描くビジョン。

 

 

月着陸船:ランダー

2023年と2025年にispaceは、民間月面探査プログラム

「HAKUTO-R」で2度の月ミッションに挑戦した。

ミッション1と2で打ち上げた月着陸船(以下、ランダー)は、

高さ約2.3メートル、幅約2.6メートルほどの円筒形で、

ロケットの先端部分に搭載され地球から打ち上げられた。

ロケットから切り離された後は、ランダー自身が

姿勢や軌道を制御しながら月まで航行し、

最終的には自律的に月面へ着陸する仕組み。

またこのランダーには、最大30キロの荷物(以下、ペイロード)を

搭載することができる。運ぶものは、通信などのインフラ設備や

月面環境情報を取得するための機器、カメラ、月面実証実験装置や

科学研究装置など多岐にわたる。

また、月面では、ローバーと呼ばれる小型の月面探査車をランダーから展開し、

広範囲を移動しながら土壌や環境のデータを収集することも可能。

今後予定している次のミッションでは、輸送サービスとしてより多くの

ペイロードを月に運ぶため、ランダーを大型化する。

すでに熱構造モデルによる環境試験を終え、現在は次の設計フェーズへと進んでいる。

 

 

2度の月面着陸挑戦と次のミッション

これまでispaceが行った2度の月面着陸への挑戦は、

いずれも月面に着陸という意味での成功には至らなかったが、

2025年6月に行ったミッション2では、月面から約200メートル上空まで到達し、

本当にあと一歩というところまで迫った。

初回の教訓を生かし、今度こそという強い思いで臨んだ分、

失敗の瞬間はいろいろな感情が湧き上がった。

しかし、失敗の要因を冷静に分析し、関係者や社会に対して真摯に報告をしながら、

決してここで諦めず、次に必ず活かしていく覚悟を改めて固めた。

ispaceは2040年を目標に、人類が月で生活する世界を実現する

「ムーンバレー」という構想を掲げている。

次のミッションでは、これまでより難易度の高い月の裏側への着陸に挑戦する。

月の裏側は地球から直接通信ができないため、

中継衛星を介した通信が必要になる。

観測機器の条件や着陸地形、月特有の環境を精密に解析しながら

ミッションを組み立てていくことが重要。

大気がなく重力も地球に比べて小さい月面では、

昼と夜の温度差が極端で、昼はセ氏110度、夜はマイナス170度にもなる。

さらに月は2週間ごとに昼と夜が入れ替わるという厳しい条件があり、

将来的に月で長期活動を行うには、夜を乗り越える技術開発が不可欠となる。

 

 

世界の宇宙開発事業

世界初の民間による月面着陸は、米国企業が2024年に成功させており、

宇宙開発といえばアメリカというイメージが強い。

しかし、近年は中国の技術力の台頭も非常に大きいと感じている。

中国は月の裏側や南極域など、着陸が困難な場所への月面着陸にも成功しており、

確実に市場の中で存在感を高めている。

こうした中で、ispaceでは2040年までに月へ年間1万人が訪れる規模の

経済圏を築くという構想を打ち出している。

月に存在すると言われている水資源を活用し、電気分解することで、

ロケットの燃料となる水素を生成することが出来る。

月で燃料補給が行えるようになれば、その先の火星や他の惑星など、深宇宙へも

アクセスがしやすくなるなど、宇宙インフラを軸とした経済が回り始める。

人類がより遠くの宇宙へ進出していくためにも、

月が重要な拠点になると考えている。

 

 

これからの目標

今後2027年以降に控える次のミッションでは、必ず月面着陸を成功させる。

そして、重要なのは、わたしたちが目指すのは、一度の成功ではなく、

継続的に高頻度かつ低コストで月に着陸し、

月への輸送サービスを成立させていくこと。

株主や投資家との協議の中では、ispaceが日本で月面着陸を目指している

唯一の民間企業であることに驚かれる。

世界でも他に3社しか存在しない。

民間だからこそさまざまな企業と連携し、コストを抑えつつ

スピーディーに開発が進められることは、とても意義があると感じている。

ミッション1および2は研究開発の位置づけでもあったため、

運用技術の実証や燃料削減のため打ち上げから着陸まで4〜5か月を要したが、

今後は輸送サービスとして商業化フェーズに移行させるため、

着陸までの期間を短縮する軌道設計にも挑戦していく。

また、世界各国の官民学と連携し、

積極的に新たなペイロード契約を獲得していく点にも注目してほしい。

引き続き、開発進捗の報告や打ち上げ、着陸の瞬間を世界中と共有しながら、

未来に挑み、切り拓いていくことの感動、エキサイティングな感情を

多くの人と分かち合っていきたいと思っている。

 

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