名古屋工業大学教授で建築家の北川啓介さんが登場。
国内外の被災地で活用されている北川さんが研究開発した
わずか数時間で家が完成する簡易住宅「インスタントハウス」について、
どういったものなのか、そして開発経緯や今後の展開など詳しく伺いました。
※ 下にスクロールしていただくと、番組で紹介したギフトをご覧いただけます。
インスタントハウス 北川啓介研究室 コチラ
名古屋工業大学 HPコチラ
インスタントハウスとは
わずか数時間で完成する簡易住宅「インスタントハウス」を
研究開発している。
屋内用と屋外用があり、
能登半島地震の際には、
いち早く名古屋からレンタカーで現地に向かい、
大学にあった段ボール製の屋内用インスタントハウス
約20棟を届けた。
体育館などの避難所で、パチンパチンと組み立てるだけで
屋根付きの個室ができ、寒さを防ぎ、
遮音性も高く、プライバシーを守れる。
小学生でも15分ほどで組み立てられる。
一方、屋外用は、空気膜を膨らませ、
断熱材を吹き付ける方式で、
早ければ1時間ほどで完成し、原価は約30万円と低コスト。
被災地では「家が怖い」と語られることも多く、
建築の専門家として悔しさを感じる。
それでも家を建てると人は笑顔になり、未来を見ようと希望をもつ。
建築には希望を取り戻す力があると能登で教わった。
インスタントハウス開発のきっかけ
自分がインスタントハウスを作ろうと思ったきっかけは、
2011年の東日本大震災だった。
震災後に石巻市の避難所を回り、
夜7時半で室温3度の体育館や、プライバシーのない環境で
着替える中学生の姿に強い衝撃を受けた。
そんな中、小学3、4年生の男の子から
「仮設住宅はなぜ数か月もかかるの?大学の先生なら来週建ててよ」
と言われ、人生が180度変わった。
そこから、困っている人にいち早く、丈夫で快適、
愛着を持てる家を届けたい一心で研究を始めた。
完成まで6年、150回以上の実験を重ね、
数々の失敗を経て辿り着いた。
東日本で聞いた言葉が、諦めず続ける原動力だった。
完成後、最初はグランピング用途で使っていただくことが多かった。
被災地では、2023年の2月にトルコ・シリア大地震の際、
いち早く駆けつけて、技術を伝えた。
「インスタントハウス」という名前に込めたこめた思い
「インスタントハウス」という名前については、
インスタントというと即席のイメージが強いが、
実は語源に「ディスタンス(距離)」の対義語の意味があり、
「寄り添う」というニュアンスがある。
人に寄り添い、いつでもどこでもすぐ届けられる家でありたい、
そんな思いを込めた。
性能面でも、夏は太陽光パネルと最小限の空調で
室温を10度台まで下げ、
冬は小型ヒーター1台で20度を超える。
大学では物を売ることができないというジレンマから、
法人を立ち上げ、起業。
2019年に不動産情報サービス事業などを手掛けるLIFULLと
共同で「LIFULL Archtech」を設立し
研究と社会実装をつなげた。
大学のプロダクトアウトと企業のマーケットイン、
その両方を行き来することで、
本当に必要とされる家を世界に届けられる。
インスタントハウスは国や文化を超え、モスクにも神社にもなった。
より良い世界のために、進化を続けている。
インスタントハウスの可能性
能登半島地震の後、インスタントハウスを
避難所に届けたが、家が足りず、
2月でも外で寝袋生活をしている方がいるという
現実を目の当たりにした。
安心して足を伸ばせる家を届けると、
皆さん自然と笑顔になり、天窓を開けたり、
照明を動かしたりと手を入れ始める。
「もう建築家ですね」と声をかけると、誇らしそうにされる。
その姿を見て、家を持つことは
未来を見る力を取り戻すことだと感じた。
キャンプやバーベキューの経験というのは、災害時に役立つはず。
あんまり難しく考えずに、そういったところから、地域の方と一緒に
何かするというのは、いざ何か起きた時にはすごく役に立つ、
また、避難所というのは寝るか食べるかっていう受け身の状態に
どうしてもなってしまうが、そういった時に、
ご飯を作ったり、みんなでお家を作ったり、ルールをきめたりと
能動的に動くことは人を前向きにする。
インスタントハウスはそのきっかけをつくる存在であり、
どこでも快適で過ごせる丈夫な家。
地球上だけでなく、宇宙にまで可能性を広げていきたい。
今後の展望
自分はインスタントハウスを、
能登半島地震だけでなく、
トルコ・シリア地震やモロッコ地震など世界各地へ届けてきた。
国内でも北海道から沖縄、離島まで広がっている。
家に困っている人がいると知れば、
ただホッとできる居場所を届けたい一心で現地へ向かう。
さらにインスタントハウスが不要になった時、
自然に還ることができるようにも考えている。
食べられる素材で家をつくり、
フードロスを接着剤として活用する実験も成功した。
廃材だけで家が建てられれば、真に人のためになる。
自分が目指すのは、家を届けるだけでなく、
現地の子どもたちに家をつくる技術を伝え、
自立につなげること。
「渡りの建築家」になりたいと思っていて。
今年からアフリカや中東、東南アジアをまわり、
行った先で、共に考え、現地の素材で
安心できる家を作っていくという活動も
ずっとやってきたい。

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