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2025.12.05

小説家の小川哲さんに聞く、小説と伏線、そして最新作『火星の女王』

小説家の小川哲さんが登場。

直木賞受賞作家である小川さんが小説家になったきっかけや、

仕事の流儀、

さらに最新作でNHK放送100年特集ドラマの原作、

『火星の女王』についてお聞きしました。

 

※ 下にスクロールしていただくと放送内容をご覧いただけます。

 

 

・「火星の女王」早川書房オフィシャルサイト コチラ

 

・「火星の女王」ドラマの最新情報 コチラ

 12月13日(土)から

 NHK総合およびBSP4K 毎週土曜午後10時に放送

 

 

最新作『火星の女王』

2015年に小説家としてデビュー。

小説家は、デビューした後、

新しい作品出すことが実は結構大変だが、

幸運にも、新作を出すことができ、評価して頂けている。

今年10月に出版された『火星の女王』は、

NHK開局100周年ドラマの原作を

という話から始まった企画で、

「舞台は火星で」と最初から決まっていた。

NHK誕生から100年、そしてさらに100年後の世界を描く

という条件の中で、人間そのものは100年前も100年後も、

根幹はそんなに変わらなのではないかという前提で書いたつもり。

未来の物語だけれど、現代の問題が形を変えて続いているとも言える。

特に火星と地球には片道半年かかってしまうぐらいの距離があり

リアルタイムの会話すら難しい。

直接会うことの大切さを、より強く意識せざるを得ない世界。

そのような自分たちが普通におこなっている

コミュニケーションについて考えるいいきっかけにもなると思った。

また、小説と映像での描けるものの違いをとても感じたので

そういうところも楽しんでほしい。

 

 

小説家になったきっかけ

子どもの頃は小説家になろうなんて思ったこともなく、

「将来の夢は社長」と言っていたらしい。

大学院で研究者を目指していた頃、

組織に向いてないんじゃないかという気持ちが強く、

好きなことをして生きる道を探した結果、小説に行き着いた。

楽器も弾けない、絵も描けない。

でも本だけはずっと読んできた。

本を読み、ここはいらないとか、こうしたら面白くなるのにと

勝手に思っていた。それを自分の作品で実践したら、

もしかするといけるんじゃないかという妙な確信があって、

書き始めたのが運よくデビューにつながった。

小説を書くとき、頭がよく見られたいとか、格好つけたいという

欲望がよぎるが、それが読者にとっては邪魔だと

自分が一番よく知っているから、

自分のために書いてないか必ず見直す。

ご都合主義も嫌い。

しかし、嫌いすぎると物語が盛り上がらないので、

読者がご都合すぎだと思われない程度にちょっと都合がいいよね

みたいなことは書かないといけないこともある。

そのせめぎ合いが面白い。

締め切りに追われても、書くこと自体が嫌になったことは一度もない。

 

 

仕事の流儀

自分はプロットを作らない。

人物もシーンに入った瞬間に生まれてくることが多い。

書く前に全体のあらすじを考えてしまうと、

どうしてもつまらなくなってしまうし、自分自身が興味をなくしてしまう。

書いていく中で偶然生まれたキャラクターや展開が生きてこそ、

1人の人間が頭で組み立てた話を超えられる、そんな感覚がある。

最初からすごいアイデアを思いつける人なら

プロットを作っても上手くいくのかもしれないが、

自分は苦手で、むしろ書く途中で発生する偶然を

どう生かすかを考えている。

もちろんプロットがない分、袋小路に入り込むことは多い。

その度に、まだ道が残っているところまで戻って書き直す。

どこで間違えたのかを考えて原因を直すうちに、

最近は袋小路に入りかける段階で気づけるようになってきた。

技術がついてきたのだと思う。

自分はなるべく人が通ったことのない道を進もうとする。

人が通ったことない道というのは、大体どこにも繋がってないが

それを行くのが好き。

たまに繋がっていると、誰も見たことのないような展開が生まれ、

作品になるのだと思う。

 

 

小説と伏線

「伏線」という言葉が好きではない。

なぜなら小説とは伏線そのものだから。

伏線っていうものをどうやって捉えるかによるが、

前もって説明されたものが、その後の展開で生きてくる、

という意味で、「伏線」というのを使う人が結構多いと思うが、

そもそもその書いた文章がその後の展開に生きてないんだったら

その文章というのは必要ない。

理想論だが、全ての文章は、その後の展開とかで必ず作用してる。

何気なく書かれてる描写とかも、作品の中で必ず、

のちに意味があるから書かれてるものだと思う。

そこまで伏線ってものを広げて考えると、

小説というのは、全てが、そのものが伏線である、というのが自分の考え。

いかにたくさんの要素が絡み合っていくかっていうのは、

良質なエンターテインメントの条件だと思っている。

回収できない、例えば、あれってなんだったのと見終わった後

思うのはすごく気持ちが悪い、そういうのはいらない。

見てる人や、読者に余計な想像させてしまうので

なるべく削った方がいい。

 

 

デビュー10周年を迎えて

2022年発表の『君のクイズ』が実写映画化されることになった。

物語は、賞金1000万円のQ1グランプリで、

対戦相手が問題文0文字で早押しし正解してしまう

──そんな衝撃の場面から始まる。

クイズにおいて「0文字正解」は究極の夢で、

自分もこの設定を思いついた時点では理由が分からず、

読者と一緒にその謎を考えたいと思いながら書いた作品。

映画と原作、どちらを先に触れるかはお任せだが、

双方の解釈の違いを比べて味わってほしい。

今年、デビュー10周年を迎えた。

何年か先までもう執筆のスケジュールが埋まっている。

こうして10年間、小説だけで生活できていることが本当に嬉しく、

自分が思い描いていた状態を実現できていることに、

幸せを噛みしめている。

小説家という道は自分で選び、自分で挑戦した仕事であり、

成功も失敗もすべて自分の責任。

だからこそ、この10年をなんとか走り抜けてきた自分に

「お疲れ様」と言いたい。

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