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2024.07.30

NPO法人 気象キャスターネットワーク」の井田寛子さんに聞く、この夏の猛暑。

8月5日(月)からは、

全国の気象キャスター・気象予報士の団体である、

NPO法人 気象キャスターネットワーク」理事長の

井田寛子さん登場。

ここ数年の夏、どうしてこんなに暑いのか?

 気象キャスターの役割とは?といった気象に関する疑問質問から

 気象と防災、気象予報士というお仕事について伺いました。

 

※ 下にスクロールしていただくと放送内容をご覧いただけます。

 

 

NPO法人 気象キャスターネットワークコチラ

オフィシャルブログ コチラ

X(Twitter) コチラ

猛暑について

この夏の猛暑。40度を超える地域が続々とでている。

気温が上がるメカニズムは色々あるが、

日本の場合、局地的な理由としては、

太平洋高気圧が強いというのがある。

高気圧の場所によって、南風がすごく入りやすい気圧配置というのがあり、

南風が、ちょうど高気圧のふちを回って入ってくると気温が上がる。

また、日本は山が多く、フェーン現象が起こると、

乾いた熱風が吹き下ろす地域の気温が上がる。

近年は地球温暖化でベースが上がっている上に、

気圧配置や南風が複合的に合わさり、40度以上という気温がでている。

地球全体の気温が上がっているというのは間違いない。

一方、今年も、各所で豪雨が発生している。

この理由の1つは、低気圧、前線があることはもちろんだが、

大気の気温が上がると、 たくさんの水蒸気を含むことができるようになるので、

何かのきっかけで、雨が降ってしまうと、ドカッと、

本当にバケツをひっくり返したように降ってしまう。

局地的に、非常に激しい、1時間に50ミリと言われる警報レベルの雨が

近年は多くなってると思う。

東北地方や北陸など、あんまり元々雨が降らないところでも

短時間に100ミリ、200ミリも降るなど、これまで以上の雨がふり、

キャパシティーを超えしまい、大きな災害をもたらしている。

 

 

気象キャスターの道へ

子供の頃から天気や自然現象に興味をもっていた。

物心ついた時から、虫とか生き物がとても好きだった。

どうしてこういう形をしてるのか、どうしてこういう動きをするのか

ということを観察することが好きだった。

大学では科学を学び、科学の面白さを伝えたい、

科学番組に携わりたいという思いからテレビ局を志望。

NHKに入局。静岡放送局配属された。

台風とか大雨が多く、災害、自然の脅威を感じ、

せっかくテレビ局に入ったのなら、災害報道に携わりたいと、

気象予報士の資格を取ろうと思った。

それがNHKに入って5年目ぐらいだった。

日本の天気予報の当たる確率は、85パーセントぐらい。

季節によっては9割ぐらい当たっている。

それぐらい日本の天気予報はとても精度が高い、

それは、まずスーパーコンピューターの精度が上がっていること

そして気象衛星の精度がすごく上がっていることによる。

しかしスーパーコンピューターの精度は上がったとはいえ、

やはり予報士がちゃんとリアルなデータを見て、どこに雨雲がかかりそうで、

何時ごろにどこの地区に・・・という、きめ細かいところは

人の目で見ないといけないので、気象予報士はAI時代でも必要。

 

 

「NPO法人 気象キャスターネットワーク」とは?

現在はNPO法人 気象キャスターネットワークの理事長としても活動。

二百数十名、全国に会員がいて、

テレビやラジオで実際、気象予報をしている人たちが集まっている。

気象予報士は結構孤独で、横の繋がりができなかったりする。

しかし、横で繋がって、情報交換したり、

イベントをおこなったり、講演会をしたりと、

気象情報や、防災、地球温暖化について、

普及啓発活動をしていこう、ということで、立ち上がった

全国で小学校での出前授業もおこなっている。

今の子供たちは、天気や、地球温暖化のことにとても詳しい、

そこにお馴染みの気象キャスターがいって話をすると

すごく喜んでいろんなことに反応してくれる。

子どもたちはすごく吸収が早く、

温暖化や気候変動のことを知ってもらうことは大事なこと。

なので、子供たちに向けた活動はすごく大事にしている。

気象予報士の数は受験者数だけ見てると、2000年代前半ぐらいに

ピークがあったが、そこからそんなに増えていない、横ばいぐらい。

 

 

気候変動と防災

大雨による、水害が増えている。

警報では足りないと、2013年に特別警報というのができたり、

近年では線状降水帯の予測ができるようになったりと、

どんどん、災害に伴って情報が更新されている。

自分の地域にそのキーワードが出た時に、

きちんと反応ができることが必要。

自分たち伝える側では限度があり、その地域の人たちが

動いてもらわないと、なかなか命は守れない。

まずは正しく情報を理解してもらって、いざという時にきちんと行動する。

それも1人で行動せずに複数で行動する、

警報で言うと、レベル1から5まであるが、レベル4の避難指示

というのが自分の地域で出てきたら、反応していただきたい。

まず、そのキーワードをちゃんと理解していただきたい、

そして、避難のマップ。

自分の住んでるところはどういうところなのかということを

ハザードマップで確認して、避難経路を最低限知っておかなければいけない。

災害が起きた時に、単独で逃げるというのは非常に危険なので、

地域では日頃からこのコミュニティを組んで防災対策をして、

避難訓練をして備えている。

都市化が進んでいると、コミュニティがすごく薄れていているが、

都市部の人も近隣の人ときちんとコミュニティを組んで、

都市型水害に備えていくという防災をしていかなければいけない。

 

 

大学院での学びと、これからの夢・目標

2021年に大学院に入学し、2023年修士課程を終了。

もともと、博士をとる、ドクターになるという漠然とした夢があった。

気象予報を伝えていく中で、どんどん気象災害が危機迫っていく。

そして伝えてても伝えても、被害がぐっと減るわけでもなく、

どこか役に立てていないという思いがあった。

気候変動問題に、もっと知見を増やして、そこに役に立ちたいと

思ったのが、大学院にいった大きなきっかけ。

大学院では、その気候変動問題というものについて、

日本のメディアがどういうこうコミュニケーションをとって伝えてきたのか

という研究をした。

そこで実際に、気候変動問題に対する、もっと、科学的な知見であるとか、

対策とか、政治面のことだったりとか、メディアの伝え方ということも、

いろんな角度から学び、気候変動の知見を、増やすことができた。

自分の役割として、この科学の知見を一般の人たちに

繋げていく、橋渡しをずっとしていきたいと思っている。

きちっとした科学の知見をいろいろな産業の分野の人たちに広めていくことで

気候変動問題への動きが加速化していくといいな・・と常に思っている。

気象キャスターとしての役割は、気候科学のコミュニケーターみたいなもので、

そこが求められていて、自分が1番やりたいところである。

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